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5話

大幅改編しました。

おばばの予言がうまくできているか不安です。

明らかに今発動した魔法は普通のものではない。

勇者時代様々な国を回り、様々な魔族や魔物も倒してきた。

しかしあれと少しでも似た魔法は聞いたことも見たこともない。

そして前魔王であるザンダクルスもあのような魔法は一切使わなかった。

あの死闘で出し惜しみをするなど考えられない。

ならば俺が使った魔法はなんだ?


孝作が思考の沼に囚われ深く深く沈んでいるころ、孝作の隣に座っているイシスも思考の沼に囚われようとしていた。


私もレッドドラゴンの群れくらいなら軽く倒せますが、一発の魔法であのように全てを即死させようとなるとかなりの魔力を消費し、魔王様のように平気な顔をしていられません。

しかも見ただけで悪寒が走り、弱者が見れば発狂しそのまま狂ってしまってもおかしくないほどの異様さ、これはどうなっているのでしょうか。

一つ言える事はこの方の下僕となり正解だったということですね。


隣でニマニマとしているイシスを発見し何か悪巧みでも考えているのかと思い、思考を中断させるためにあえて声をかけた。


「凄くニマニマしてるよ。」


「自分がいかに恵まれてるかを気づきまして。」


夕焼けに赤く染められ、雲ひとつ無い空にむかって両手を挙げ笑顔で孝作の顔を見るイシスであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


鎧を着た兵士達に囲まれ、黒に限りなく近い紫のロープを着ている老婆がいた。

彼女は瞑想を繰り返しているのか、深く呼吸をしている。

顔には幾重にものしわが目立ち、人生の長さを語りかけていた。。

そして現在そのしわをさらに深く深く作り額に汗をかいていた。

老婆の前に立ててある蝋燭の火が激しく揺れ、老婆の顔も次第に引き攣っていき、呼吸が乱れ今にも死んでしまうのかと思われたとき、かはぁと大きく息を吐き出した老婆はゆっくりと目を開けた。


「こりゃ、大変なことになる。」


辺りに立っていた兵士達に動揺が走る。


「静まれ!」


しかし、一人の異彩を放つ若い男が一言声を上げると兵士が静まりピリッとした空気が辺りを充満させた。

その者はこの国で最も有名なものであり子供達の憧れの存在となっている。

元勇者パーティーの剣士アトラスである。

現在アトラスは武の国の王様と帝佐になり武の国を治めている。


帝佐とは10年に一度、国ごとに開催している武踏会で優勝したものが得ることができる称号である。

この称号は一度勝ち取ると、10年帝佐となる権利を得ることができ10年経つと帝佐の称号を王様に返還しなければならない。

その後武踏会での優勝者が帝佐となることができる。

帝佐の称号を得ることで王様の次に地位が高くなり、自軍のトップとして君臨することができる。

また、帝佐になることでこの世界で最も大きな武踏会である魔武術聖人会に出場する権利を得ることができる。

そして魔武術聖人会に優勝すると自国の王宮にある謁見の間に自分の肖像画が掛けられ、永遠に聖人として名を残すことができる。

しかし帝佐の任期が10年なのに対し魔武術聖人会は100年に一度行われるだけなので、ほとんどの者が魔武術聖人会に出場すらできない。

結果、魔武術聖人会が行われる年の帝佐を決める武踏会は普段行われるものより熾烈を極めるのは言うまでない。


アトラスに話を戻すとしよう。

アトラスが王様と帝佐を両方行っているのにも理由がある。

それは武の国独特の価値観から生まれることであり、他の国では絶対にありえないことである。

武の国では強い者が正義で偉大とされるので、国で最も強い者が王様を担うものだと決められており、この国の強者は絶対権力者となれる不思議な国なのである。


「おばば、それでどうしたんだ。」


老婆は静かに頷くとゆっくりと自分が見えたことを話し始めた。

老婆は千里眼と呼ばれる特殊な能力を使い未来に起こることを予知する。

幾度もこの能力に助けられており、魔王ザンダクルスの誕生も数十年前から予知し、十分準備を整える時間を与えるという功績も残していた。


「災いの王この地に舞い降り、始まりと終わりの約束を果たすだろう。

これがおばばの読めた未来です。」


こういうのはお約束というやつで、なぜ分かり難い言葉を使うのかはつっこまないでほしい。


「災いの王…これは魔王のことが?

いや、魔王が誕生するには早すぎる。

始まりと終わりの約束を果たす…こっちはわけが分からないな。」


しばらくおばばの予言について自分なりの考えを導きだそうとしたが、全く最後の言葉は検討がつかず思考を打ち切り腰に刺している刀と剣に目線を向けた。


「まぁいい俺にはこの弐本があれば何も悩む必要は無い。」


アトラスの腰には光る天叢雲剣と寂しげなエクスカリバーであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うん、最初に行く場所を決めたよ。」


両手をパンと合わせて、迷いの無い声を上げた。


「どこに行かれるのですか?」


首をコテンと少し傾けて、不思議そうに尋ねた。


「最初マシュリンのいる光の国に行くことにするよ。」


「それはなぜですか?」


「光の国にある王宮には大陸で最も早く新しい情報が並ぶ蔵書室があるんだよ。」


光の国は他国より情報を最も持っており、政治に少しでも有利になるようにしてる。

なぜ情報集めに力を入れているのかというと、光魔法自体が他の魔法や武術よりも攻撃や防御に限り劣っているためである。


「では、光の国の王女マシュリン=ライトを?」


意味深な視線を孝作に向けて孝作の考えを読み取ろうとしていた。


「そうだね、もったいない気がするけど仕方ないよ。」


孝作の顔から感情が消え去った。

ありがとうございました。

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