4話
大幅に改編いたしました。
「どこからいこうかな。」
この世界には全部で11の国とその国に囲まれた聖魔戦争跡地と呼ばれる何も育たず全ての生物を受け付けない土地がある。
なぜそのような土地があるのか、それを語るには人々に語り継がれてきた伝承を紐解かなければならない。
昔この世界は一人の創造神によって造られた。
しかし創造神はいつも一人でいるのが寂しくなり、自分の魔力を使って13人の神を造り上げた。
1番目に聖神ゼウス,2番目に火神イフリート,3番目に水神ウィンデーネ,4番目に雷神ペルーン,5番目に地神カグヅチ,6番目に光神アマテラス,7番目に風神アネモイ,8番目に氷神ユミル,9番目に闇神ハデス,10番目に木神ククノチ,11番目に獣神アヌビス,12番目に武神アテナ,13番目に魔神サタン。
13人の神は初めこそ仲良くしており、お互いの魔法を見せ合って楽しんでいた。
しかし13番目に生まれた魔神サタンの異様さから皆は敬遠するようになりサタンは徐々に一人になっていった。
サタンは一人でいるのが辛くなり、創造神に頼み込み自分だけの大陸を造ってもらった。
大陸には一つしか入り口が無く、蚊取り線香のような形をしており大陸の外から誰か来るのを拒むようにできている。
そしてサタンは自分の側近として72柱の悪魔を生み出した。
さらに悪魔によって造られたのが今の魔族である。
そうしてサタンが自分の大陸を構築しているときに、他の12体の神は創造神に与えられた大きな一つの大陸を分割し、自分の家と人を造り始めた。
聖神ゼウスは4柱の強力な大天使と無数の天使を造り、他の11神は自分の得意である魔法や技が使える人間を造った。
1番目に造られたことから1番真ん中の領地を治め、黄金の国アトランティスを造りあげた。
11人の神は造った人間の中から一人を選び、自分たちの領地を治めるように命令しそれぞれ自分の家で眠りについた。
その選ばれた人間が今の王族であり、自分をファイヤー,ウォーター,サンダー,グラウンド,ライト,ウィンド,アイス,ダーク,ウッド,アニマル,ジークフリートと名乗った。
王達は尽力を尽くし自分たちの国を反映させ、豊かな生活を送っていた。
しかし魔神サタンが自分の側近と魔族を連れて聖神ゼウスが治めるアトランティスに攻め込んだのである。
これが聖魔戦争の始まりである。
サタンは自分が仲間はずれにされたのをゼウスが発端と思っており、その恨みを晴らすべく着々と戦争の準備を整えていたのであった。
それに対しゼウスは領地の開拓や優美さを追及していたことから、サタンにより自分の最も気に入っていたバベルの塔を破壊されてしまい、怒り狂って天使達が止めるのを振り切りサタンとの一騎打ちを行ったのである。
サタンとゼウスの戦いは熾烈を極め、47日間経っても決着がつかないことからお互いこの地での再戦を約束し、サタンは地中深くにある地獄でザウスは雲の上にあるといわれる天空に去っていったのであった。
サタンとゼウスの戦いによりアトランティスは焦土となり、生物が一切住めない呪われた土地となったのである。
そしてサタンとゼウス以外の11人の神の家が迷宮とよばれている。
迷宮は地下深くまで続いており、深くなればなるほど強固な魔物が出てくる。
そのため魔王になった自分の正確な強さを把握しなければならない。
「とりあえず大陸を出よう。」
「それなら時間がかかると思われます。」
魔王城は大陸の中心に存在し、入り口から中心に近くなればなるほど強いモンスターや魔物が出現する。
始めの方は上級スライムや上級ゴブリンがいたりするが、最後の方になると上級ドラゴンや下級魔族が巣くっていたりしている。
ちなみにモンスターや魔物のランクは下級・上級・特級・災害級・神話級があり高ランクになるほど数は少ないがより強固な存在となっていく。
モンスターや魔物に一定値の生け贄や魔力または経験を与えるとランクを上げることができ、中級のモンスターや魔物が上級になったりする。
また上級になったものはモンスターや魔物の種類のランクが一つ上がり、低級に戻る。
例えば上級のスライムが低級のキングスライムとなるのである。
これを進化といいこの現象が起こるのは稀である。
「ここらへんならどんなモンスターがいる?」
「魔王城から出たすぐのここならレッドドラゴンの群れがいますよ。」
「ほぅ。」
レッドドラゴンとは赤い鱗を持ち、自分の魔力を火に変換し巨体を使い破壊のかぎりを尽くす最もメジャーなドラゴンである。
一体のレッドドラゴンが国に侵入するだけで国が持つ兵を総動員しなければならない。
しかし普通レッドドラゴンだけでは島の中心に居座ることはできない。
だからこの大陸のレッドドラゴンは独自の進化をとげた。
それは普通のドラゴンではまず作らない群れを作ることである。
これによりレッドドラゴンはより厄介な存在になる。
群を作ることにより集団で狩りを行うようになり、ドラゴン自身の知識も上がったことになる。
「魔王様の魔力に当てられてレッドドラゴンの群れの一つが近づいてきましたよ。」
「そうみたいだね。」
空を見上げると10匹程度のレッドドラゴンが飛んで来ているのが遠めに確認できる。
まるでカモの群れの様にV字の形で飛んできていて一番先頭のレッドドラゴンが威嚇をしているのか、4km離れている孝作も耳を塞ぎたくなるような鳴き声をあげた。
勇者時代の孝作なら聖剣エクスカリバーを使い、殲滅していたが今の孝作は武器という武器を持ち合わせていない。
しかも今の自分は何ができるか分からない状態であり、何をしたらいいのかも分からないままである。
さてどういう魔法が使えるのかな?
【百目之弓】
ん?
孝作が使える魔法のことを考えると自然に頭の中に浮かび、まるで魔法自身が使って欲しいかのように感じた。
それに従うようにゆっくりと目を瞑り、まるで以前から使っているかのように唱えた。
「【百目之弓】」
「……!」
急に現れた弓矢にイシスは絶句した。
不気味過ぎる弓矢の形にそしてその大きさ…。
矢全体が10mはゆうにあり、丑三つ時の空の色よりも不気味な黒色をしていて、矢摺と鳥打とゆずかの部分が巨大な口であり、押付の上部に巨大な一つの目がついている。
「我に絶望と血の雨を捧げよ。」
孝作はまるで知っていたかのように言葉を発した。。
すると矢の巨大な目がゆっくりと開きまるで獲物を探すライオンのように黄色い目をギョロギョロと動かしている。
そしてレッドドラゴンが視界に入るとおもちゃを見つけた子供のようにニタリと笑いながら巨大な口を開けて、口の中からゆっくりと姿を現すのは鋭過ぎる矢先を持つ弓。
さらによく見ると細かい返しが数え切れないほどついており一度刺さると抜けそうに無い。
最後に口の真裏の場所に穴があき、弓が弦に触れゆっくりと力強くミリミリと引かれていく。
シュッ!
風を切る音を出しながら、一番前のリーダー格らしきドラゴンに一直線に飛んでいく。
グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ、グチュッ…。
放ったのは1本の弓のはずなのだがいささか音の数が合わない。
イシスは強化魔法を使い自分の視力を上げてドラゴンを見ると、一番最初に弓が刺さったドラゴンがら鋭い枝のみたいなものが無数に突き出している。
無数の枝が周りに飛んでいたドラゴンに向かって伸びており、まるで彼岸花の花が咲いているような光景であった。
「美しい。」
イシスは無意識に言葉を発していた。
その光景を見て満足したのかイシスの言葉を聞いて満足したのか、矢は満足そうにゆっくりと目を閉じ、消えていった。
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