2話
大幅改編をいたしました。
「復讐したいか?」
何もない闇一色の世界に突如響き渡った。
「復讐したいか?」
何度も何度も問いかける。
とても人類には出せない声で。
「………。」
孝作は力いっぱい叫ぶ叫ぶ。
しかし何も音を発することはできない。
しかしそんなことはお構いなしに叫ぶ叫ぶ。
「それなら、復讐を楽しめ。」
その言葉を最後に世界に静寂が戻った。
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「ご誕生おめでとうございます。」
ん?なんだこの綺麗な人は。
しかも元の世界にあった男用のスーツに似たものを着ている。
髪は雪みたいに白くて、ルビーのような赤い目がとても綺麗だ。
孝作はしばらく自分を覗き込んでいる女性の顔を見つめ、ゆっくりと辺りを見回し自分の置かれている状況を即座に理解した。
「そうか、俺は魔王か…。
ははっ皮肉なものだ。」
孝作がいる場所は魔王と死闘を繰り広げた場所であり、今孝作が座っているのは魔王が腰掛けていた玉座なのである。
不思議そうな顔をしているイシスを無視して目を閉じ、感慨にふけるようにゆっくり深呼吸をした。
「聞きたいことがあるのだが。」
今は何年か世界情勢はどうかなど、様々な質問をイシスにぶつけた。
イシスはゆっくり丁寧に正確に孝作の質問を答えていった。
「要するに前魔王が滅ぼされて10年後って事でいいんだな。」
「はい。」
イシスは丁寧なお辞儀をして答えた。
「わくわくしてきたな。」
再び目を閉じてゆっくり思考をはじめた。
どうやって殺すか、いたぶるか、絶望をあたえるか、滅ぼすか…。
顔の頬は自然に吊上がり黒い笑顔が孝作の顔を覆った。
「しかし、いつまでその格好でいるのですか?」
「え?」
イシスに指摘されゆっくりと目線を下に向けると、久しぶりに息子と再開した。
「さすがに私もどこをみたらいいのか困ります。ポッ」
今更ではあるがイシスは目を手で覆い隠し、建前上見ないようにしている。
言うまでもないが、指は開かれており孝作の息子はガン見である。
「最初にいってよ!
そして目を隠すなら指は閉じようね!」
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「さて…。」
魔王城から適当に服を拝借して何とか息子を隠した孝作だが、今後どうするかを思考していた。
イシスが何かと理由をつけて着替えを手伝うや見張るなどをしなければ断然早く行動できたことは言うまでもない。
勇者時代に比べるとほとんど力を失ってしまっているように感じる。
多分魔力や筋力から考えて、勇者だったときの1000分の1が関の山だろうな。
エクスカリバーもあいつらは持って帰っているはずだから、武器も調達しなければならないし、まずは何からしていこうかな。
そういえば勇者をしてたときは、迷宮詣りからだったな。
「ふむ…。
迷宮詣りをするかな。」
「迷宮詣り…?ですか。」
迷宮詣りとはこの世界にある11の国に一つずつある迷宮と呼ばれるダンジョンのことをさす。
ダンジョンの最奥にはその国拝めている神が存在しており、力を示すと力を与えられるいわれている。
勇者時代も迷宮詣りを行ったが最奥までは到達しておらず孝作も伝わる伝説が本当だとはわからないが、ダンジョンで鍛え上げることは効率的であり今の自分にピッタリだと思ったためこの案をだした。
「ああ、あまり知られていないが最奥で力を示したらそれ相応の物がもらえるんだ。」
「では、迷宮に行き最奥を攻略しましょう。」
イシスは満足そうに微笑んだ。
読んでくださりありがとうございました。