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昔話

少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 昔々のお話をしよう。

 スィルース大陸南西部に精霊王国と名高い国があった。

 その国の名はローレル王国。

 小国ながら、大陸国の中でも取り分け精霊が多く存在し、人との共存を果たしていた緑豊かな国であった。

 国王夫妻は温厚で人柄も互いの仲も良かったが、残念なことに長いこと子どもが出来ずにいた。

 そんなある日、王妃がついに御子を授かった。

 夫妻は喜んだ、さらに嬉しい事に産まれた子供は男の子であった。王妃に似た青みがかった銀髪の王子はリディアンと名付けられ、王も国民も皆喜び幸せの絶頂にいた。


たが、悲劇は突然沸き起こる。


国王が王子誕生の祝いに宴を催した時であった。その場には4人の国内最高峰の精霊使い達も祝いに駆けつけていた。

「王様、そして王妃様。このたびは御子の誕生おめでとうございます。」

精霊使いの一人が祝いの言葉を告げる。赤いマントを身に纏った彼は、火の精霊使いだ。その後ろに土、風、水の精霊使いが続く。


「我らから王子に誕生のお祝いがごさいます。まず私から、自分が信じたものを護れるだけの強さを身に付けられるよう、火の精霊の加護を授けましょう。」


「でわこの爺からは、健康で元気な御子に育つように。土の精霊の加護を。」


「風の精霊使いである私からは、心根の優しさを贈りますわ。」


「最後は私ですね。」


 水の精霊使いが一歩前へ進み出たときであった。

 突如、場内に黒い風が吹き込んだ。

 次第にそれは形を成し、人の姿へと変わる。そこに現れたのは血のように紅い髪と瞳の男であった。男は言った。


 我は王、漆黒と虚無の王。その赤子15に成りし時、黄泉の闇へと落ちるであろう。これは呪い、覆ることはないであろう。


 男はそれだけ言うと、低く笑いながら消えていった。

 騒然とする室内に王と王妃の嘆きが響く。産まれたばかりの王子を抱きしめながら泣く王妃。王妃を支えながらも心痛に顔を歪ませる王。何も出来ず只々佇む彼らのなか、


「大丈夫です、まだ希望はあります。」


 一人、水の精霊使いが王と王妃の前に進み出た。


「私が加護を授けましょう。ただし、私には呪いを解くことは出来ません。出来るのは呪いを弱めることだけです。」


 さらに精霊使いは続ける。

「王子は死にません。15歳になったら王子は深い眠りにつきます。100年後、王子は目覚めるでしょう」


 精霊使いの言葉通り、王子は15歳で眠りについた。

 王子は眠りについたあと西の城の塔に移される。

 それから100年。王子は今も目覚めの時を待っている。



 

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