五、卒業して帝國技術研究所へ…
かなりの急展開ですので御容赦ください。
1935年3月・横須賀海軍兵学校講堂
「横須賀海軍兵学校二期生の卒業式を閉式する!」
〝ウオオオオオオ!!〟
学校長の閉式の辞が終わって、卒業生は帽子を高く飛ばして講堂の外へ駆け走る。
その中に、笑顔で走り抜ける源三郎と静巴の姿もあった。
二人の配属先は、去年の半ばに新設された〝帝國技術研究所〟という国の技術水準を底上げしようという目的を持っている公的機関である。人材は様々で、民間技術者や大学教授・陸海軍技術者等々だ。
4月某日・帝國技術研究所
二人は、帝國技術研究所に向かっていた。
「静巴さん…本気で田麩発動機作るんですか?」
「そうだとも!それに、源三郎君の作る精密縮尺模型も入れるから行けるぞ!!」
「そうは言っても…あ~頭が痛い…」
既に頭を抱えている源三郎と意気揚々としている静巴…
一体何が有ったかと言うと、それは起床から始まった。
05:55・帝國技術研究所附属施設宿舎2F個室
源三郎と静巴は愚かにも同じ部屋となっていた。
「すぅ~…すぅ~…すぅ~…すぅ~…すぅ~…」
源三郎は二段ベットの下で睡眠をしていた。
だが…
「おはようございま~す♪」
上で寝ていた静巴が起きて、源三郎に夜這いならぬ朝這いを敢行した。
「ふっふっふっ★今度こそ、源三郎君の童t」
「すぅ~…フガッ……………静巴さん?」
「……………おはよう!源三郎君!!」
「また朝這いですか!?」
結局、静巴の朝這いは叶わなかった。あ、間違えた。源三郎が頭を抱える原因をそこではない。もう少し後の会話からだ。
06:20・帝國技術研究所附属施設宿舎1F食堂
あの後、二人は作業着に着替えて食堂で朝食を食べている。
「源三郎君、ちょっと話があるのだが…」
「なんですか?」
「実は…」
静巴は源三郎を寄せて、耳元で内容を話す。
「…え?マジでやる気ですか…」
話の内容を聞いて理解した源三郎は、ジト目+え~っと嫌な顔をする。
「まあ、やってみる価値はある…丁度、皇室直属の諜報機関から〝指定サレタ資源得タリ〟という電報が入ったのだ。それに、人材・資料・機械があれば出来ないことはない」
「確かに…試作程度なら一ヶ月位で出来ますが…」
「だが、その内に量産型を配備させる!」
源三郎は考える人になったが、静巴は自信満々である。
「…三年半は必要ですよ?」
「大丈夫だ!問題無い!!可能だ!!」
「は~…全く…」
その後、朝食を食べ終えた二人は鞄を持って帝國技術研究所へと向かう。
そして、時系列は戻る。その後のミーティングで、源三郎・静巴直属の開発者達に〝田麩発動機開発プロジェクト〟の主旨を伝える。開発者達は、顔を暗くさせた。
「以上が概要だ!」
静巴がそう言い包めると、今度は源三郎が立ち上がる。
「尚、この開発は既に予算確保の目処がついています。新型発動機開発という名目で、既に設計図は描き終えて上層部と陸海軍からの承諾は得ています。そこは心配しないでください」
源三郎の言葉に、半分の開発者達は胸を撫で下ろす。
「源三郎君!準備が良いね!」
「その前に、エンジン開発を指示されてますからね…1500馬力級と2000馬力級の二つですよ?それですから予算確保して、その上で最新型のエンジン開発に乗り出すだろうなと予想して、その予算確保もやって置きました」
「気が利くな!」
「ただし!」
静巴が満足そうに笑っているのを見計らい、源三郎は注意を促す。
「試作品を二ヶ月以内に出せとのことです」
〝…………………………〟
二ヶ月以内という言葉に、開発者達の体が固まる。
「余裕で出来る!」
静巴は言い切ってしまったが…
ということで、田麩発動機開発プロジェクトは今日から開発することに…
勿論、1500馬力級と2000馬力級の発動機の開発も並行して開発する。
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