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四二、日米戦!!〜ソロモン返り討ち作戦発令!!・夜襲!〜

 1942年7月3日、ラバウルへ続々と設営隊の人員・物資が投入された。



 7月7日、米軍はラバウル占領を受けて急造ながらもガダルカナルに飛行場を完成させた。






 同7日深夜、第二機動艦隊旗艦天城司令艦橋




「う~ん…やっぱり、アメリカの工業力恐るべしだな…」


 源三郎は、爆撃に出撃した連山が撮影した高解像度の偵察写真を見て呆れる。



「それでも行かなければならないか?」


 今まで気配を消していたかのように後ろから静巴が現れた。



「そうですな…今回はこれを機にソロモン海から米海軍を一掃します。一掃出来たら外務省が講和を打診するそうです」


「何、我々は和平への道筋を開くまでのこと。やるぞ」


「はい」


 依子の決意に、源三郎は堅くはいと返す。彼も和平への道筋を抉じ開ける位の志を持っている。






 同じ頃、米ソロモン艦隊旗艦ワスプ




「…大統領は南進なのか北進なのか分からん指示を出したな?」


 司令官室で、奇妙な指令書を受け取って首を傾げるフレッチャー少将。



〝輸送船団と共に豪州後方支援基地で待機させよ。尚、新型艦はダッチハーバーに配置する〟



「今頃、ガダルカナル基地に海兵隊5000名が上陸している。最終の荷揚げは明日だな。その後に豪州へ後退か」


 だが、最終の荷揚げと後退を明日に回したことが拙かったのかもしれない。






 一時間後、ガダルカナル島南の沖合い




「まさか戦艦群を囮にするとは…」


 機動打撃艦隊の司令長官、角田中将は苦笑いをして夜の海を見詰める。



「しかし、重巡・駆逐艦を主体とした奇襲部隊と突っ込ませて、敵護衛を壊滅。あわよくば、輸送船団を拿捕し、我々が敵飛行場攻撃を敢行する。良い作戦だな、戦艦は陸上艦砲射撃で絶大な効果を発揮すると例の大佐から言われたが…」


 角田中将は帽子を被り直した。



「無線封鎖解除!戦闘用ー意!」


「無線封鎖解除!戦闘用ー意!」


 角田中将の下命に、機動打撃艦隊が戦闘配置に入る。




 重巡最上艦橋



「砲雷戦用ー意!」


 奇襲担当に抜擢された木村少将は気合い十分だ。尚、奇襲部隊は重巡八隻・駆逐艦二の陣容である。



「11時方向!距離5000!重巡二!駆逐艦四!輸送船多数!」


 見張りの水兵が敵情を報告する。



「よし!魚雷調整!目標敵重巡二!」


「宜候!」


 テキパキと攻撃準備が出来上がり…



「司令!全艦攻撃準備完了しました!」


「そうか…」


 木村少将は報告をただ聞いただけだった。して、何故この全艦の攻撃準備が完了したと分かったのか?灯火管制や無線封鎖も行っている状況で…



「まあ、これだけの時間で準備が出来れば存分に暴れられるな」


「練度も士気も高いですからね。猛訓練を潜り抜けた証拠です」


 将校・下士官・兵士全員に到るまで、一致団結して猛訓練を積んでいた。そして、時間を設定してそれに合わせる至難の技をやってのけたのだ。



「艦載機より発光灯投下!」


 暗闇に光放つ発光灯。そして、真下には敵重巡と敵駆逐艦、敵輸送船が照らし出された。



「全軍突撃せよ!」


 木村少将、勝機ありと判断して突撃を下命する。



「魚雷発射!続けて砲撃開始!!」


「射てっ!」


「撃ち方始め!!」


 舷側からは九七式酸素魚雷が吐き出され、砲口からは20.3センチ砲弾が火炎を吹いて敵へ突撃して行く。




 豪重巡キャンベラー



「敵襲!戦闘配置!ウワア!!」


 水兵が敵襲だと気付いたが、砲撃により艦が揺さぶられてよろける。



「あんな近くまで…」


 そして少し遅れて…



「ウヲッ!」


 今度は酸素魚雷が命中して艦が傾く。




 この「ガダルカナル夜襲海戦」は帝國海軍の一方的な攻撃において圧勝し、護衛を壊滅させられて全輸送船は降伏した。



 しかし、フレッチャー少将率いる戦艦六と空母二を主幹とする艦隊が、ガダルカナル島近海に居た筈である。だが、ある電報により事態が急変した。それは、機動打撃艦隊が戦闘配置を終えた頃だった。




 米ソロモン艦隊旗艦ワスプ



「司令官!ガダルカナルに敵艦隊接近中との報告が!!」


「何!?」


 フレッチャー少将は驚愕した。敵が艦隊を派遣したことを…



「尚、夜間の為に敵情は把握出来ておりません。戦艦の数は二隻ぐらいしか見えなかったと…」


「分かった。戦闘用意!輸送船の護衛の為に、少数だが重巡と駆逐艦を置いていく。敵を迎撃せよ!!」



「アイアイサー!」


 米ソロモン艦隊は、重巡二と駆逐艦四を残して、全力で敵艦隊の迎撃に向かった。



「相手が第二機動艦隊なら、輸送船を脱出させることが出来るだろう」


 フレッチャー少将の考えは間違ってはいないと思われた。第二機動艦隊の戦艦は七隻。引き摺り込むだけなら、十分に成功する公算があったからだ。




 そして、一時間が経過した。



「敵艦隊発見!……………こ、これは…」


 無理矢理着けたレーダーディスプレイを見て、担当の水兵が震える。



「どうした!報告しろ」


「大型艦の反応が16!その内3つが他に比べて大きいです!!」


「何だと!?」


 絶叫に近い水兵の報告に、フレッチャー少将は報告を聞いて肝を冷やした。



「敵艦隊より一斉攻撃!!」


「何!?」


 見張りの水兵の報告により、回避運動をしたが…



「ウワアアアアア!」


「ギャアアアアア!」


 少なくとも各戦艦に二発の直撃弾を食らった。旗艦のワスプも至近弾を数発食らう。



「な、何が起こって…」


「大型艦は全て戦艦です!しかもデカイが三隻居ます!」


 見張りの水兵が言う方向を双眼鏡でのぞきこむ。



「な、何だ?あの戦艦…」


 フレッチャー少将はとてつもなく大きい戦艦を見て、暫く目を離せなかった。




 機動打撃艦隊旗艦戦艦大和艦橋



「よし、首尾は上々。艦隊決戦を存分にやるぞ!」


「「「「「おお!」」」」」


 角田中将の掛け声に、司令部要員や艦橋要員が奮起する。



「天城より発光信号!我予定通リニヘンダーソン飛行場付近ヘ行ク。貴艦隊ノ成功ヲ祈ル。内親王依子ヨリ。以上です!」


 水兵が天城からの発光信号による通信を読み上げた。


「よし!返信!我コレヨリ敵ヲ壊滅セントスル。貴艦隊モ成功ヲ祈ル。機動打撃艦隊ヨリ。送れ!」


「了解しました!」


 水兵は角田中将の返信内容を聞いて直ぐに艦橋を出た。



「皆!内親王依子様直々に激励が出た!!総員!奮起せよ!!」


「「「「「「「「「「オオー!!」」」」」」」」」」


 機動打撃艦隊の勢い、絶好調なり。




 第二機動艦隊旗艦天城艦橋



「角田中将以下機動打撃艦隊は、張り切っておるの〜…こちらもやるとするか。艦隊速力30ノット!ヘンダーソン飛行場を砲撃する!」


「「了解しました!」」


 第二機動艦隊は高速でヘンダーソン飛行場を目指していた。



 数十分後、ヘンダーソン飛行場沖7kmから第二機動艦隊所属の戦艦七隻ゆによる陸上艦砲射撃を開始する。



 尚、これらの戦いは二時間にも及んだ。




 二時間後



「機動打撃艦隊より入電!我敵艦隊ヲ壊滅。残存艦は降伏セリ。以上です」


「艦載機より報告!ヘンダーソン飛行場の壊滅に成功!」


「艦長!連合艦隊司令部より緊急電です!」


 米ソロモン艦隊壊滅、ヘンダーソン飛行場壊滅の報告と同時に連合艦隊司令部より緊急電が入って来た。



「おう。…そうか、分かった。下がってよし」


「ハッ!」


 源三郎は通信兵を下がらせて溜め息を吐く。



「どうした?」


「どうやらアリューシャンがキナ臭くなってきたらしい。俺が軍令部に出向いて対策を講じる。その間は、長官と主席参謀に留守を頼みます」


「うむ、分かった。軍令部の相手を頼む」




 翌日、トラックへ戻った第二機動艦隊だが、源三郎は直ぐに二式飛行艇に乗り込んで軍令部へと急ぐ。

 御意見・御感想、御待ちしております。



 尚、諸事情により遊撃艦隊は一時休載とさせていただきます。


 御理解と御協力をお願い致します。

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