三八、日米戦!!~富士一二〇八号作戦快調ナリ!~
12月10日午前七時(現地時間)・ウェーク島近海
第一機動艦隊はハワイに駐留しているのに対して、第二機動艦隊はウェーク島へと進出していた。
第二機動艦隊旗艦天城艦橋
「ハワイ占領・ミッドウェー占領に続いて、次はウェーク占領…」
「第二機動艦隊はこの作戦が終わり次第、与えられた作戦を一応終了しますね…」
「ああ…まあ、そろそろ戦闘爆撃機となったF4Fがお出迎えする筈…」
依子・源三郎・静巴の三人が双眼鏡で、ウェーク島への攻撃を眺めていた。
「電探より報告!ウェーク島から数機の戦闘機を探知!!」
電探兵が無線を通じて報告する。
「艦橋より砲術科対空係へ!対空戦闘下命…射程に入り次第撃ち落せ」
「こちら対空係!了解しました!!」
ここで、遅いながらも戦艦天城及び浅間型巡洋艦改めて浅間型戦艦のスペックを見てみよう。
戦艦:天城
基準排水量52000屯
予備浮力35000屯
満載排水量60000屯
全長250m×全幅36m×吃水10m×全高45m
水線長248m×水線幅34m×甲板高6~8m×艦橋高35m
機関ディーゼル八基四軸
(200,000馬力・軽油3600屯)
最大速力36ノット
航続距離20ノットで12000海里
武装
50口径九九式46cm連装砲四基八門
65口径九八式10cm高角連装砲六基
65口径九八式7.6cm速射砲六基
九八式40ミリ機銃連装四基単装六基
九六式25ミリ機銃連装六基単装八基
12.7ミリ機銃六挺(移動可)
陸戦装備他
艦載機:搭載機数4(カタパルト一基)
零式水上戦闘偵察機×2機・九九式回転翼機×2機
電子装備
九九式対空電探
九八式水上電探
九七式水測
九八式射撃指揮装置
九五式多機能無線機(電話・電信・電送)
九六式現在位置検出装置
零式電子計算機
浅間型戦艦
同型艦:浅間・常磐・八雲・吾妻・出雲・磐手
基準排水量40000屯
予備浮力36000屯
満載排水量48000屯
全長240m×全幅30m×吃水9m×全高50m×甲板高6~8m×艦橋高30m
機関ディーゼル八基四軸
(200,000馬力・軽油3600屯)
最大速力38ノット
航続距離20ノットで12000海里
武装
55口径九八式41cm連装砲四基八門
零式連装魚雷発射管二基酸素魚雷二〇本
65口径九八式7.6cm速射砲八基
九八式40ミリ機銃連装四基単装六基
九六式25ミリ機銃連装六基単装八基
12.7ミリ機銃六挺(移動可)
陸戦装備他
艦載機:搭載機数4(カタパルト一基)
零式水上戦闘偵察機2、九九式回転翼機2
電子装備
九九式対空電探
九八式水上電探
九七式水測
九八式射撃指揮装置
九五式多機能無線機(電話・電信・電送)
九六式現在位置検出装置
零式電子計算機
これにより、日本の戦艦事情が劇的に変化した。勿論、静巴と源三郎が設計を担当したのは言うまでも無い。
「撃ちー方始め!!」
対空係長の号令と共に、九八式40ミリ機銃の銃口が火を吹き銃弾が空へと飛び出す。向かうは三機のF4F…既に爆撃体勢に入っていたが…
「一機撃墜!!」
「二機被弾!!…あ!錐揉みしてます!!」
ある機体はエンジンと燃料タンクに直撃して、またある機体は主翼に直撃して錐揉みしながら海面に激突していた。
その後、陸戦隊が上陸した、数時間後には、ウェーク島に旭日旗が翻る。
正午・ウェーク島日本軍仮本部
「しかし、F4F一機が鹵獲出来たとは想定外だな…」
静巴はトラックで分解輸送されるF4Fを見つめる。
「まあ、これでアメリカ軍の戦闘機対策になれば良いけどな…」
「源三郎、ここは捕虜をどうする?」
「即時内地に輸送。二ヵ月後の英国行きの貸切貨客船を使って返還させます」
「うむ…それで宜しい」
依子は陸戦隊幹部と打ち合わせをした後、源三郎・静巴と護衛兵数人を率いて捕虜代表:ウィンフィールド・スコット・カニングハム海軍少将と会談した。
尚、会談内容は捕虜に関することであった。12日ウェーク島を出発して、一旦内地にある松島捕虜収容所に送り、二ヵ月後に英国行きの貨客船に乗って、英国経由で米本国へ送還することを話し、合意した。
因みに、米領グアムは臨時編成した重巡四・駆逐艦八・爆撃機十数機による攻撃と陸軍一個連隊により開戦と同時に上陸、即日占領となった。捕虜に関することでも、ウェーク島やミッドウェー島と同じ扱いだった。
一方、本間雅晴陸軍中将率いる陸軍第十四軍(フィリピン攻略軍)は、フィリピンにある米軍航空戦力殲滅及び上陸予定地点への陸上艦砲射撃終了と同時に、揚陸艦から大発を発進させた。
「…これから、厳しい戦が始まるのか…」
本間中将の目はフィリピンではなく、空を睨んでいた。
「(米国の…いや、あのルーズベルトの思い通りにさせて堪るか…)」
史実より増強されたフィリピン攻略軍は、各上陸地点へ瞬く間に橋頭堡を築きつつあった。
一方、米軍航空隊は帝國陸海軍航空隊の空中及び地上撃破により殲滅された。
制空権確保は帝國陸海軍航空隊の急を要する問題だったが、何とか零戦や隼が配備されて作戦の実行が可能となった。
フィリピン攻略の二日目以降の制空権は、帝國軍航空隊にあると言って良かった。
米軍は地上戦力だけで帝國陸軍と対峙することとなったが、M3戦車を投入しても九六式中戦車の砲撃で一方的に撃破されてしまう。
フィリピンの戦いは、史実とは違う戦いを繰り広げていた。
だが…
12月11日・海軍軍令部
「う~む…史実通りとなってしまったか…」
海軍軍令部総長:山本五十六大将は、珍しく一つの懸案に溜め息を吐いた。
書類には臨時と赤文字に書かれており、題名は「対蘭領インドシナ作戦」と書かれてあった。
実は、オランダが大日本帝國に対して宣戦布告をしてきたのだ。理由は、亜細亜にある植民地保護という名目であったが、大日本帝國に対する不満も有った様だ。対する大日本帝国は、渋々ながらもオランダに宣戦布告をした。
「さて…これは…あいつに任せるかな?」
山本大将は、電話の受話機を手に取りある所へ電話をした。
数時間後、軍令部に一人の男が現れた。
「角田覚治、出頭しました」
同郷の角田海軍中将が、総長室に入ってきた。
「久し振りだな?どうだ?機動打撃艦隊を任せられて…」
「聞いた時は驚いたよ…でも、あの三人が説明しに来た時にハッと分かった」
「だろうな…」
同郷の両雄、互いに笑いあう。
「早速なんだが…」
「対オランダ戦の海軍担当最高指揮官…だろ?」
「なら話が早い」
山本大将は、茶封筒を角田中将に渡す。
「堀とは話を着けてあるが、基本お前に任せる。堀と協議して…思う存分暴れて欲しい」
「了解…」
一週間後、呉・横須賀から機動打撃艦隊が沖縄本島沖で集結した。
機動打撃艦隊とは一体何か?
機動は字の如くだが、打撃は何から出てきたのかと言うと…
「戦艦九隻・空母四…これが機動打撃艦隊の主力か…」
戦艦が主の艦隊、これが機動打撃艦隊であった。以下が機動打撃艦隊の陣容である。
機動打撃艦隊
戦艦:大和・武蔵・信濃・長門・陸奥・伊勢・日向・扶桑・山城
空母:蒼龍・飛龍・紅龍・緑龍
巡洋艦:妙高・那智・足柄・羽黒・天龍・龍田
駆逐艦:省略
正に、打撃というに相応しい艦隊となっていた。しかも、戦艦群は新鋭艦の大和型を除いて改装を施して、防御・速度については文句無しに仕上がった。これも、静巴・源三郎の改装計画と工事指揮をした結果である。
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