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三七、日米開戦!!~砲音響き疾風の風が吹く太平洋!~

 大変遅くなって申し訳ございません(汗)

 12月7日午前九時(現地時間)…ハワイ南東沖で、日米の主力艦隊が砲撃戦を展開した。






 米太平洋艦隊旗艦ウェストバージニア艦橋



 天城・浅間以下七隻から撃ち込まれた主砲弾は、ウェストバージニア以下米戦艦八隻に至近で水柱を立たせた。



「くっ!…いきなり至近だと!?」


 キンメル大将は、日本艦からの射撃精度に舌を巻いた。




 第二機動艦隊旗艦天城艦橋



「至近弾…よし…長官!」


「全艦に告ぐ!計画通りに砲撃を実行せよ!!」


 依子のこの指令は重大な意味を持つこととなる。



「敵駆逐艦に対して弾種散弾!」


 散弾とは、砲弾の中に有る爆弾や焼夷弾等を時限信管や電磁信管等でばら撒いて散布界の目標を破壊する砲弾のこと。尚、開発は源三郎をアドバイザーとした「爆弾協会」という何とも危なっかしい協会が行った。無論、協会に所属しているのは技術畑出身の軍人である。源三郎曰く、「狂っているが情熱は天下一品だ」とのこと。



 それはともあれ、散弾が装填された。



「主砲発射準備完了!電算室!情報はまだか?」


 砲術長が電算室長に電話をする。



「待ってくれ…今出た!電送する!尚、これは紙が出て来た30秒後の予想データだからあまり宛にするなよ?」


「何言ってんだ!自信持てよ!!…よし!そろそろだから切るぞ?」


「当てろよ?」


「分かってる」


 電話が切れた。



「砲術長!情報が届きました!!現在、砲身角度と砲塔旋回を調整中!」


「よし…約20秒後に発射だ!急げ!!」


「了解しました!!」


 かなり無茶だが、天城はそれを可能としている。



「準備完了!発射まで5秒前!5!4!3!2!1!」


「ウテッ!!」


 天城の主砲、空に轟く。天城から撃ち出された散弾は、低い放物線を描きながら米駆逐艦数隻の上空へと飛んでいった。



 ケースの砲弾が割れて、中から爆弾が舞い落ちる。そして、米駆逐艦、爆弾に直撃され火を吹く。中には主砲塔天井を貫かれて弾薬庫に誘爆する艦もあった。



「クッ…」


 前衛の駆逐艦を見ていたキンメル大将は歯を食い縛った。



「長官…」


「全軍突撃せよ!!日本艦隊なぞ、我太平洋艦隊の脅威にもあらず!!」


 将兵の士気を奮いただせる為に、キンメル大将は咆える。




 第二機動艦隊旗艦天城



「敵艦隊との距離を保ちつつ退避!敵快速部隊を脅しに掛けろ!!」


 依子はまた奇妙な指示を飛ばした。



 第二機動艦隊はやや蛇行航行をしている状況であり、対して米太平洋艦隊は突撃体制を崩していなかった。



「敵が戦意旺盛で助かりましたね」


「源三郎…御主がたてた作戦であろうに…」


 源三郎の苦笑いに、依子は呆れていた。



「だがこれで作戦の半分が完了した…連絡の潜水艦からは[真珠湾ニ突入ス]と連絡があった」


 静巴は通信兵が持って来た電文を見てニヤリと笑う。



「確か…第一次・第二次攻撃隊の主力攻撃機は九七艦攻で…」


「第三次攻撃隊・第四次攻撃の主力攻撃機は一式艦攻かな?」


「だが、第三・第四次攻撃は白紙で、第三・第四時攻撃隊をそのままW作戦に投入する手筈…というか、それも源三郎の立案じゃろ?」


 三人が第三次・第四次攻撃隊やW作戦という単語が出てくる会話をしてたが、見張りを担当している士官が駆けつけて来た。



「水雷戦隊より報告!我、敵巡洋艦ト敵駆逐艦ヲ翻弄中!魚ハ網ニ掛カッタ!以上です!!」


「…木村少将、勇猛果敢の噂は聞いてはいたけど…」


 源三郎は苦笑いをしていた。〝聞くと現実の乖離は大きく、又イメージとも違うな〟と…



 その頃、元第七戦隊を率いる木村少将はというと…




 元第七戦隊旗艦最上艦橋



「…よし!網に矢を放て!!」


 木村少将が威勢良く指示を出す。



「魚雷発射!!」


 最上の艦長が水雷科に指示を飛ばす。



 帝國海軍自慢の酸素魚雷が発射管から出て、海に飛び込んで水中を疾走する。だが、これは九三式酸素魚雷ではない。九三式酸素魚雷の後継魚雷、九七式酸素魚雷だ。



 九七式酸素魚雷とは、九三式酸素魚雷の航続距離減少と引き換えに、速度向上・炸薬増量という能力を手に入れた新型酸素魚雷で、弾頭部分には自己誘導装置の先駆けとも言える、音響・磁気探知式誘導装置を装備していた。これは音響・磁気探知機から送られた数値を電気信号に変換しリレーを介して、方向舵を動かして軌道修正をしながら目標に突っ込んでいくというものだ。正直に言って化け物である。炸薬は爆弾協会が開発した、九七式爆薬(史実より1.5倍の威力)である。



 ともあれ、60ノット(111km/h)の酸素魚雷本が襲い掛かってくる。



 彼我距離5000…約162秒で到達する計算となる。



「良くて命中率は10%かな?」


 木村少将は、カイゼル髭を少し触って呟く。



「まあ、あの二人が作ってくれた酸素魚雷だ…」


 その間にも、両軍は砲撃の撃ち合いを演じていた。




 ホノルル艦橋



「ジャップの駆逐艦の砲撃命中精度良すぎる!?」


 軽巡ホノルルは、軽巡ヘレナと共に駆逐艦一二隻を率いて、突入してくる日本水雷戦隊を封じ込めようとしたが、次の瞬間に軽巡や駆逐艦が被弾する。



「軽巡ヘレナ被弾!!」


「くっ…」


 米快速部隊は、戦闘開始早々から一方的に日本水雷戦隊にやられる状況であった。しかも、高速で5000mまで近付いたので、ど肝を抜かれた水兵も居たとか…



 そして、駆逐艦に砲弾とは別の水柱が立った。



「今度は何だ!?」


「今度は被雷!!駆逐艦六隻に命中!!」


「気付かなかったのか!?」


 その時、ホノルルに大地震の様な衝撃が走る。中央部に九七式酸素魚雷が命中したのだ。そして、船体を真っ二つにした。




 元第七戦隊旗艦最上艦橋



「敵快速部隊全滅!!」


「…合掌してやれ…」


 木村少将らは敵に対して合掌をした。彼らも人間であるという観念から来るのだろう。




 米太平洋艦隊旗艦ウェストバージニア艦橋



「報告!敵大型巡洋艦の主砲は12インチにあらず!16インチの可能性有り!!」


「何!?では…ほぼ互角というのか!!」


 キンメル大将は、浅間型が大型巡洋艦ではなく戦艦だと初めて認識した。



「くっ…これでは…」


「駆逐艦二隻が吹っ飛びました!!」


 その後も激烈な戦闘は数時間続く。




 そして、米太平洋艦隊が戦艦八・巡洋艦〇・駆逐艦四まで減少した時…



 周りを護衛していた駆逐艦四隻が、水柱を立てて沈んで逝った。



「な、何が…」


 尚、日本の駆逐艦は魚雷を撃ち尽くしている状況だ。



 それなのに、駆逐艦四隻が雷撃に遭った。



「…敵艦から発光信号…〝降伏セヨ〟」


「ここは…夜陰に乗じて逃げるか…主砲を撃ちつつ突っ込むか…」


 まだ主砲弾があるとはいえ、護衛が無くなった今どうするか考えていた。



「…」


 キンメル大将は決断に迷っていた。



 その時、アリゾナとペンシルべニアに水柱が立つ。だが、沈む気配が無い。



「…信管を抜いた魚雷か…次は無いぞと言うことか…」


 キンメル大将の意味深い言葉に、幕僚は声が掛け辛くなった。






「全責任は私にある…降伏旗を掲げよ」


「…イエッサー…」


 これにより、激闘の砲撃戦は大日本帝國海軍第二機動艦隊戦艦部隊が勝利した。



 だが、ハワイにこの凶報が届いた時、受け取ったのは帝國海軍であった。



 何故なら、第二機動艦隊と米太平洋艦隊が砲撃戦を開始したと同時に、ハワイ上空には単冠湾から出撃した帝國海軍第一機動艦隊の航空機が殺到していた。




 午前九時(現地時間)・真珠湾上空



「上空に敵機影無し!」


「よし!トラトラトラを打電!!」


 零式艦戦・九七式艦攻が真珠湾上空から米軍航空基地へ攻撃を開始した。



 朝からの地響きの様な振動や爆音、そして上空を悠々と飛行する日本軍機に米軍は目を点にした。



「ジャップだ!」


「何でジャップが居るんだよ!!」


「そんなことよりジャップを撃ち落せ!!」


 米軍将兵は左往右往していた。日本が宣戦布告するというのは耳に入っていたが、まさかハワイに来るとは思ってもみなかったのである。



「急いで艦隊と本国に報告を…」


「隊長!通信施設が壊滅しました!!」


「何!?」


 真っ青で報告して来た軍曹が報告してきた内容は、余りにも頭が痛い事態だった。



「更に全飛行場の滑走路に爆撃による穴が多数!航空機の離陸が出来ません!!」


「同時攻撃か…」




 ハワイ北方二百海里海域・第一機動艦隊旗艦翔鶴



「報告!ハワイ・オワフ島の全飛行場の無力化に成功!!」


「…よし…第二次攻撃隊発艦後、予定海域Jに急行せよ!!」


「了解しました!」


 山口中将の発令に第一機動艦隊、慌しく動く。



 そして、続く第二次攻撃が敢行されて、米軍航空戦力は完全に撃滅された。勿論、撃墜される機も有ったが被弾しながらも海上に出て不時着水して、味方潜水艦にパイロットを救助してもらった。




 午後六時・第一機動艦隊



 第一機動艦隊は、上陸に借り出され海軍陸戦隊五千名を乗せた輸送船を護衛して、上陸地点付近の海域に進出していた。



 だが、その前から海軍挺進部隊が空襲と同時に上陸予定地点付近を偵察していた。



 そして、陸戦隊が上陸すると同時に挺進部隊の隊員が、指揮官に偵察結果を報告して、迅速な橋頭堡確保や兵力展開が可能となった。



 尚、在ハワイの米軍が降伏するのは、数日後のことである。



 だが、まだこの日に戦場となったのはここハワイだけではない。




 午前一一時(現地時間)・ミッドウェー島上空



「攻撃開始!!」


 零式艦戦・新型の一式艦上攻撃機が、ミッドウェー島の飛行場を攻撃せんと殺到してきた。尚、この部隊は第二機動艦隊空母部隊の飛行団であった。



「第三爆撃隊は対空陣地を叩け!第四爆撃隊は通信施設を叩け!!第一・第二爆撃隊は俺に続け!!」


〝了解!!〟


 この一式艦攻は、雷撃・水平爆撃・急降下爆撃が出来る多目的攻撃特化型艦上攻撃機であり、名前は流星である。史実ではあまり戦果を挙げれなかった機体だが、静巴の手直された設計によって、格段に強化されていた。



「よ~い…てっ!!」


 爆弾を一斉に投下する。その数五つ。しかも重量はどれも800kgである。これは、静巴が「目標は搭載量3000kg以上積めたA-1スカイレイダーを越えることだ!!」と豪語した結果である。


 一式艦攻・流星のスペックは次のとおり。



一式艦上攻撃機一一型・流星

(九七式艦上攻撃機の後継機・陸軍名:一式爆撃機)


全長11.5m×全幅15m×全高4m・自重3800kg・全重9500kg


最高560km/h・巡航400km/h・航続距離5000km


急降下制限速度970km/h・発動機:愛知製 田麩発動機三三型(出力3500PS)


武装:20ミリ機銃六挺(主翼)・12.7ミリ機銃二挺(機首)


250kg爆弾一六発又800kg爆弾五発又航空魚雷四発(最大搭載量4000kg)



 一体何処にそれだけ兵装・燃料を積めるのかは、静巴の優秀な設計の賜物と理解してもらいたい。



 いや本当に、作者である私も時々制御不(以下略by作者




 ミッドウェー飛行場対空陣地



「ジャップの攻撃機は化け物か!?」


 大重量爆弾の上に、五つもの付けている攻撃機に急降下されれば誰だって驚く。



「オイ!何か滑走路に変な筒状なものが転がってるぞ!!」


 一人の兵士が叫んで、聞いたものは滑走路の方へと向く。



「あれ爆弾じゃねぇのか?」


「じゃあ、ライフルで試してみるか?」


 一人の兵士がライフルに弾を込めて狙いを定める。引き金を引いて、発射音と共に反動が来る。そして、発射された弾丸は真っ直ぐ筒に目掛けて飛んでいく。



 当たった瞬間、その筒は爆発した。



「やっぱりか!!」


「これじゃあ、戦闘機や爆撃機が出せれねぇぞ!!」


 ここに、ミッドウェー島の航空戦力は大幅に削ぐわれた。



 数時間後に来た海軍陸戦隊が、起爆用の装置で起爆ボタンを押して滑走路にある全ての爆弾を起爆させて、飛行場再建に取り掛かった。






 この日だけで、アメリカ海軍の主要基地:ハワイ・ミッドウェーが奇襲並びに占領をされた。

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