三、釈放されて自由の身…になりませんでした。
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長門の営倉で一晩を過ごした二人(源三郎・静巴)は釈放された。二人は、てっきりあと数日は営倉で寝起きするだろうと思っていたからだ。
その後、晴れて自由の身…とはならなかった。
今度は大和丸に連れられて、倉庫を開けろと言われた。だが、二人はあまりこの船に関することは分かっていない。
故、倉庫を開けろと言われても困る。だが、現実…そんなことは御構い無しだった。
輸送船:大和丸倉庫扉前
「静巴さん、俺らこの扉の開け方知りませんよ?」
「だが、私はその扉を開けるのだ!」
源三郎の不安をよそに、静巴はやる気十分と言った御様子である。
「…え~っと、手伝うこと有りますか?」
「そうだな…じゃあ、鍵を解いた後の御開帳の手伝いをしてくれ!」
「…この中に仏像とかでも入っているんですか?」
静巴のボケに、源三郎は状況が状況なので呆れることしか出来なかった。
「さて!どの解読本を使おうかな!」
静巴は子供の様に笑いながら懐から掌サイズの本を取り出す。そして、1~0の数字が並んでいるタッチパネルの前に立つ。
「え~っと…これだな!」
そう呟くと一心不乱にタッチパネルの数字を押していく。
「よし!」
そして、最後に決定ボタンを押した。
すると、ガチャリという音がした。
「源三郎君!」
「合点承知」
静巴の呼び掛けに、源三郎は左の掌と右の拳をぶつけて倉庫の扉の前に立つ。
「…フッ……ウオオオオオオオオオオ…」
扉のノブ部分を掴んで自分の所へと持って行く。大きな扉だから、自分の体も移動させる。
扉が開かれてライトが自動で点いた。
「…静巴さん…これって…」
「うん、工作機械だな…」
そして、戦艦長門及び軍令部から派遣された軍人らと一緒に積荷を調べた所…
「出るわ出るわのわんさか出るわ…」
「NCの旋盤とフライス盤に、MC…おお!三次元立体物製作可能の最新鋭のNCフライス盤まであるぞ!!」
呆れる源三郎にややはしゃぐ静巴…
積荷を調べた結果…どれもこれも、現代の日本が誇る工作機械の山々であった。8万トンという輸送能力にこぞって入れた…というような感じではあるが…
「…それにしても凄い数…どうやって入れたらこんなに積めるのやら…」
源三郎ははしゃぐ静巴を置いて、近くにいる海軍中尉に声を掛ける。
「すいません、この中にある積荷の数…分かりますかね?」
「そうだね…ザッと大小合わせて600は行くんじゃないかな?」
「そですか…でも、上にもまだ未調査のコンテナが有ります。これと同じ…とは無いにしても、同じ様なものが入ってたりすると思いますから、出来ればそれも…」
「同感ですな…」
その後、甲板上にあるコンテナを調べることになった。
輸送船:大和丸甲板コンテナ場
「…明らかに嫌な予感しかしない…」
源三郎が冷や汗を掻いた。それもその筈で、コンテナの扉には〝WEAPON〟と書いて有ったからだ。つまり〝武器〟である。
「…開けてみますか?」
海軍中尉が冷や汗を掻いている源三郎に確認を取る。
「…私が開けます…」
源三郎は、海軍中尉を下がらせてノブ部分に着いている南京錠を外す。
「…どうやって解除したんですか?」
「秘密です」
そして、ノブを回して扉を開ける。
「…まあ、そんな感じがした…」
扉を開けた源三郎はまた溜め息を着く。
「こ、これは一体…銃…なのか?」
海軍中尉は、〝似たり寄ったりだが何か違う〟銃を見て目を点にした。
「…こいつはAK74…ロシア製の自動小銃ですよ…」
「ソ連のか!?何故ここにある!?」
「それにこいつはM16…アメリカ製…」
「アメリカのもか!?」
「それとこいつは89式小銃…これは日本製ですよ」
「そ、そうか…木材を使っている様には見えないが…」
源三郎は海軍中尉に真実を打ち明ける。
「こいつらも未来から来たんですよ…」
「未来にはこんな武器が…」
海軍中尉は、ただただ見惚れるばかりであった。
後日、残りの二隻も似た様な感じの内容物であった。
因みに、二隻は「武蔵丸」・「信濃丸」という輸送船で大和丸と同一輸送船だということが判明した。
そこからは、74式戦車・90式戦車・10式戦車の戦車や73式大型トラック・74式特大型トラック・高機動車等の輸送車両等の陸戦装備が発見された。陸上自衛隊の装備であはるが、年式が若干古くて〝あと10年使えれば御の字〟状態の為、モスボール状態かスクラップとして売却の二択の品であった…ということで、割愛させて頂く。その他、艦艇船舶・航空機等の設計図や電機溶接機等も積まれていた。
これらについては、後日調査の結果が出る間は立ち入り禁止で、注意を促す札も貼られた。
しかし、この輸送船三隻の置き場所には苦労する。位置が三浦半島沖で、横須賀鎮守府にある軍港は浅いので湾内投錨不能…結局、三浦半島沖南2キロで投錨した港外停泊をすることとなった。
その後も、陸軍も加わって色々と調べられて質疑応答…というなの精神的拷問から、源三郎と静巴は解放された。が…
「「海軍(陸軍)と陸軍(海軍)、どっちに入る?」」
と、次は勧誘のような名状し難い入隊希望調査が待っていた。
どうやら、当分の間は民間人として解放はされないようだ。
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