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二九、陸海軍挺進部隊

 1941年5月・富士麓陸軍野戦演習場




 源三郎・静巴・依子・多萌は、陸軍の縄張りである陸軍基地に来ていた。だが、変な目線では見られていない。何故なら、人事改革と併行して意識改革も実施して、陸海軍の犬猿の仲を解消させた。つい最近ではあるが…




「しかし、挺進部隊…挺進連隊があるのによく作ったな?」


 多萌は、挺進部隊の訓練風景を見ながら源三郎に声を掛ける。



「まあ、挺進部隊は私の世界で言う特殊部隊という奴ですよ…しかも、性格的にも似ていますからね…」


 実際「挺進奇襲の参考」に書かれている任務は、敵戦力の奇襲撃破・情報収集・後方撹乱となっていて、今日の特殊部隊でも通じる所がある。



「まあ、それを挺進連隊に波及させる…という思惑だろ?」


「山口少将には敵いませんね…」


「まあなんだ…海軍も作るとなるとな…」


「大丈夫ですよ…海軍挺進部隊の活動範囲・戦力と即応性は、陸軍挺進部隊の正反対の様なものですから…」


 その後、挺進部隊は陸軍と海軍と分かれて合戦演習を行った。結果は互角の結果を示した。



「…やはりやるな…陸軍の滑空機強襲といい、海軍の回転翼強襲といい…」


 演習をじっくり見ていた依子はそう呟く。



「まあ、私からの提供された情報を元にやっているからな…」


 静巴は自信を持って言う。



「では、その情報提供者として出来はどうじゃ?」


「最初としては、上出来である!あとは、情報収集とかそこらへんだな…」


「これは、皇室直属の諜報部と共同研究や合同訓練をした方が良さそうじゃな…わらわから、一筆入れとくかの?」


「出来れば…」


「承知した…今夜は、源三郎と一緒に寝かせて貰うぞ?」


「…負けました」


「「…フッハッハッハッハッハッ!」」


 その夜、源三郎はいきなり布団の中へ依子が這入って来たので心臓をドギバギさせて、一晩眠れなかったとか…






「こんなの毎日だったら泣ける&死ぬ…色んな意味で…」


 まあ、源三郎がそう気が気でない理由は相手にあるのだが…




 だが、運命の日まで残り七ヶ月と迫った。彼等は、あの悲劇を阻止する事が出来るのだろうか?






 それは、神のみぞ知るである。

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