二八、忘れかけていた亜米利加大統領府&日米交渉
そろそろアメリカ勢を出さないと、内容に支障が出ると懸念しました。他意はありません(汗)
突然だが、1941年現在の国際状況を見てみよう。
欧州は冬戦争が有った位だが、不穏な空気が有りつつも平和が続いていた。
特にドイツはフィンランド側について冬戦争を戦った為、ソ連との仲が悪化の一途をたどった。まだ戦闘するには至ってないが…
その最中に、ドイツでは各地方の活性化を促していた。ゾフィーの政治手腕により、ドイツはヨーロッパ有数の経済大国になろうと突き進んでいた。
大日本帝國は、1933年から「大日本帝國総合国力向上計画」に基づいた政策の下、軍事や産業の拡充や教育や行政等の更なる向上等に励んでいた。
では時は少し遡って、1939年のアメリカの状況を見てみよう。
やっとこさ、何とかして大不況を乗り切ることに成功したアメリカ。まだ、1929年の水準には達してないが…
1939年9月1日(現地時間)・大統領府
「ふっふっふっ…これで奴等を孤立させることが出来るぞ…」
執務室に座っているのは、第三二アメリカ合衆国大統領:フランクリン・D・ルーズベルトだ。
最近、彼は不機嫌であった。日本を利用して中国と戦争をやらせて、弱った所でアメリカが日本を一掃して亜細亜の市場を得るという思惑が上手く行かない状況にあるからだ。
だが、今日はご機嫌だ。
「ジャップ…貴様らが満洲だけでなく、ソ連の領土も狙っているという情報を得た…これで、ジャップに我々の正義を突きつけることが出来るぞ…ウハハハハハハハハ!!」
その情報は、一八、会合に出て来た「満洲帝國の領土を外満洲まで広げようと日本が画策している」…これがルーズベルトのもとに届けられた情報である。
「だが、まだ表舞台に出す訳には行かないな…ノモンハンは満洲の軍隊を全面的に活躍させている…今、批判すればこっちが孤立するな…」
まあ、自分の立場を安易に危うくする賭けをしないのは賞賛に値しないでもないが…
「それに、日中反共同盟を崩す工作をするとヤバイな…最近、ジャップはスパイ狩りとかに熱心だからな」
ここで、日中反共同盟と諜報体制強化が実を結んだこととなった。表には出てないが…
そして、次々と来る情報を聞きつつ日本の動向を見ていたルーズベルトだが、10月に大変なことが起きた。
10月・大統領府
「…な…何…イギリスとドイツとジャップが…北海と東プロイセンで合同軍事演習…だと…」
ルーズベルトは、諜報部からもたらされた情報に冷や汗をかく。
「こ、これでは…ジャップを叩けんではないか!」
この意味は後々に更なる意味として圧し掛かることとなる。
「ま、まあ…ソ連に近付くのだから…そこでへましてくれれば、叩くことが出来るのだがな…」
まだ前向きなルーズベルトだが、現実はそんなことは御構い無しである。
12月1日・大統領府
「うむ…ちと拙いな…」
ルーズベルトはまた9月以前の不機嫌に戻りつつあった。何故なら、ソ連がフィンランドへ侵攻して来たからだ。
「これではジャップを陥れるのに、非常に困難だが…暫く様子を見るか…」
だが、今度こそは大変なことになった。
12月12日(現地時間)・大統領府
「大統領!大変です!!」
秘書官がノックも無しに、執務室に駆け込みこんだ。
「どうした!?ノックもしないで…」
「ドイツがフィンランドに全面的な支援を発表しました!」
「何、そんなことか…え?マジで?」
「更にソ連が日本に対して国交を断交すると通告した模様です!!」
「何…」
ルーズベルトは、顔を青くした。ソ連が侵攻を全面的に打ち出して来て、ここまで行くと最早暴挙だ。容共的だったルーズベルトも、ここに至ってはソ連を擁護出来ない。
翌日には、日本はソ連に対して演習部隊を実働部隊に変えてフィンランドに全面的支援とソ連との交戦許可を出した。
これに国際世論は大歓迎した。日本とドイツは、ソ連の侵攻に鉄鎚を下す〝正義〟の友だと…まあ、世界に正義など有りはしないが…
1940年3月30日には、ヘルシンキにおいてフィンランドとソ連の不可侵条約・ヘルシンキ講和条約を締結して、翌月15日には日独連合軍は完全撤退をしていた。
そして、1941年4月19日(現地時間)・大統領府記者会見室
「日本は新型艦艇を多数配備したとの情報があり、太平洋上の安全が脅かされております。ここに、私は日本に対して新型艦艇の破棄を求めるものであります」
これがルーズベルトの日本に対する声明であった。
これに日本は反発した。これは軒並み20年前後を越える戦艦・空母の更新だと…
だが、アメリカは頑なに拒否した。
続いて、アメリカは関東軍の満洲撤兵を要求してきた。
だが、今度は日本がこれを拒絶した。理由は、1943年から1950年までに段階的撤兵をする予定があるからだと声明した。
アメリカはこのことについてかなり論議をした。元々撤兵すると腹を決めた相手に、予定通りに進めさせるか、急かすかのどちらにするかが議会を二つに割っていた。
だが、来るであろうハルノートは史実の内容を実現させるには無理がある。
先ず中国からの撤兵だが、そもそも当事国:中華民国国民党政府の了解有っての駐屯であり、第三国が口出し出来る状況にない。満洲撤兵に対しても、満洲帝國が日本と協議した上でのことだ。
次に内政不干渉であるが、もう帝國海軍の新型艦艇破棄要求の時点でアメリカが既に内政干渉していると解釈出来てしまう。
そもそも、日本側の要求はこの根も葉もない情報の撤回であった。
それでも頑なにアメリカは自分の都合を通そうとする。日本はこれ以上の外交カードは余り無い。
ここに、日米交渉は8月半ばから息の詰まる展開となった。
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