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二六、冬戦争介入

 遅れて申し訳ございません(汗)



 尚、この章ではネタで遊んでいる所がございます。御了承ください。(おいおい)

 1939年12月13日、独逸第三帝国はフィンランドへの支援を発表。ソ連から抗議があるも、それを突っ撥ねて支援を強行した。



 更に、ソ連は日本との国交を断交した。理由は様々で憶測もあるが、信憑性が高いのは「ノモンハンの屈辱を薙ぎ払え」と「親独派だからついでに」が有力らしい。



 対して、大日本帝國政府の返答は「派遣部隊へのフィンランド支援指令及びソ連との交戦許可」であった。



 こうして、12月17日から日独連合軍はフィンランドの本格的援軍を行うこととなった。




 12月18日・フィンランド・ヘルシンキ沖1km




「ここがヘルシンキか…」


 源三郎は空母翔鶴の艦橋からヘルシンキの風景を見ていた。



「まあ、そろそろ上陸じゃな…」


 源三郎の後ろから依子が現れて来た。



「はい。確か、カール・グスタフ・エミール・マンネルへイム陸軍元帥と会う予定です」


「ああ、あのフィンランドの英雄…私達は凄い人物に会うことになるな…」


 静巴はやや興奮したが、直ぐに冷静になって空を見上げる。



 数時間後、源三郎・静巴・依子の三人はフィンランドの首都ヘルシンキに入った。



「初めまして、大日本帝國海軍大佐・空母翔鶴艦長の山塚 源三郎であります」


「初めまして、フィンランド軍総司令官のカール・グスタフ・エミール・マンネルへイムだ。よろしく」


「こちらこそ」


 源三郎は、先にマンネルへイム元帥と面会をしていた。理由は、帝國海軍の支援策打ち合わせだった。海軍側の支援策は、武器弾薬食糧その他諸々の船団輸送とフィンランド湾の哨戒・海上からの航空援護である。尚、陸軍は陸軍でまた個別の支援(陸戦参加・武器貸与・支援爆撃等々)の打ち合わせが行われている予定である。



「ありがたいですな…そちらの陸軍は、この一時間後に打ち合わせに来るようですね?」


「こちらもこちらで、陸海軍双方共に打ち合わせをして御互いの腹の中は良く見えていますよ」


「それは安心しました」


 マンネルへイム元帥は微笑んだ。



 その後、源三郎と入れ違って陸軍の今村中将が入ってきて陸軍側の支援策を打ち明けていた。




 そして、数時間後…



「初めまして、旭日宮 依子です」


「初めまして、プリンセス依子。私は、カール・グスタフ・エミール・マンネルへイムです。我が国への支援、心より申し上げます」


「いえいえ。ソ連に脅威があるのは御互い様ですよ…」


 その後も、各国の高級将校等との立話をしていた。






 12月20日・フィンランド湾



 この日の早朝から、帝國海軍の長門・白露・時雨がフィンランド湾を哨戒していた。哨戒程度なら阿賀野型軽巡洋艦とかで十分なのだが、昨夜未明にソ連領のレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)の港にガングート級戦艦一隻とキーロフ級巡洋艦二隻を確認という九六式警戒機からの通報が有ったからだ。



「朝から霧か…」


 そう呟くのは、戦艦で初の女性艦長である、宮本(ミヤモト) 真弓(マユミ)海軍大佐であった。



「しかたないさ。自然は気紛れで、敵味方問わずだ…」


 双眼鏡で周辺を見回しているのは、翔鶴に居る筈の静巴だった。



「…静巴さん。何故に第一機動艦隊航空兼主席参謀のあなたが、ここに居るんですか?」


「いや~私は第二次・第三次近代化改装に関っているからね…攻防速探伝の五種類でね?」


「…ああ、確かに…」


 宮本大佐はそう思い出し納得して、双眼鏡を覗きこむ。



「…ん?待て、それだと乗艦理由にならんだろ?」


「大丈夫だ。この長門と同型艦である陸奥は、実戦を経験して無い。だから、機器のトラブルにおいて応急処置等を行う。私は長門・陸奥の改装工事の主任者なんだよ…まあ、実験要素が半分入っているような改装工事だが…」


「国民の人気的象徴たる戦艦を実験艦にするか?」


「残念ながら今の所で最新鋭機器等を、戦艦として搭載出来るのが長門型戦艦二隻しか居ないのでね…」


「はあ~…困った時は頼みますよ?主席参謀…」


 だが、その他愛もない会話が直ぐに終わった。何故なら…



「こちら電探室!艦長!応答御願いします!!」


「こちら艦長!どうした?」


「ハッ!水上電探に感三!方向十二時!距離45000!!」



 電探室からの情報を聞いて、宮本大佐は頭の中の情報を整理した。



「三の内一は反応が大きくないか?」


「大きいです!それと、推定速力は電算室に回して算出中!!」


「よろしい!警戒を厳にして電探監視をしろ!対空も忘れるなよ!!」


「了解!」


 ここで、電探室との通話が途絶える。そして、宮本大佐は全艦放送にチャンネルを変える。



「艦長の宮本だ!作業を続けて聞いてもらいたい!本艦は正面45000に艦艇三隻を発見した!我長門の実戦は今までに無いが、もし敵ならば初の実戦である!総員!気を引き締めるように!!」


 宮本大佐はそう言って無線機を切る。



「現時刻を以って、本艦及び白露・時雨に合戦準備を下命」


「了解!」


 長門の通信長は急いで信号士官に伝える。



「さて、どういう戦法で取るか…」


 宮本大佐が考えようとした時、無線が入る。



「こちら電算室!敵速力は16ノットの模様です!!」


「了解した。射撃時の諸元算出にも全力を傾けるように」


「了解!」


 電算室からの報告を受けて、再度宮本大佐は考えに入る。出来る限り気付かれずにさっと最小時間去りたい。



 燃料消費の関係上とかも含めて26ノットまで艦隊速度を増速して、33分後の会敵となった。勿論、攻撃等準備もする時間も考えてだが…



「宮本さん、私に考えがあるのですが…申して宜しいでしょうか?」


 静巴が宮本大佐の所へ歩み寄っていた。更に顔は悪戯子そのものだった。



「…聞きましょう…」


「もし、霧が晴れなければ…1500まで近付いて、主砲一斉射撃で仕留めるというのはどうでしょうか?」


「……………マジで?」


 宮本大佐は呆然としてしまった。




 30分後・フィンランド湾


「居た…前方5400に戦艦らしき艦影有り!!」


 固定脚付の双眼鏡を覗き込んでいた見張員が叫ぶ。



「…確認した。電探室からも確認が取れた」


 宮本大佐も、静巴から渡された新型の双眼鏡で艦影を確認した。



「さて…山口大佐?流石にここまで来るとなると分かるのでは…」


 宮本大佐の指摘は最もであった。霧が濃いとは言え、長門は戦艦で大きいのである。



「まあ、こんな濃い霧だ…それに、あの見張員が覗き込んでいる双眼鏡は、赤外線可視双眼鏡だぞ?普通の双眼鏡じゃあ、この霧でも分からんよ…」


「…」


 宮本大佐は、静巴にそう言われて自分が持っていた双眼鏡を覗いたが、艦影は見れなかった。



 そして、攻撃予定距離の1500まで差し迫っていた。まだ相手は気付いていない…



「艦影はガングート級と(ミトム)…主砲砲撃用ー意!」


 宮本大佐はこれを逃すかと指令を発する。



「主砲砲撃用ー意よし!!」


「撃てッ!」


「撃てッ!!」


 宮本大佐の怒号を砲術長が復唱して、主砲から46cm砲弾八発がガングート級戦艦目掛けて飛んでいった。




  ドォォォオオオオオン!!




 至近距離からの艦砲射撃と緻密に計算したおかげか全弾が命中した。




  ボガーーーーーーーーーーン!!




 更に、大きな爆発が発生した。



「…え?」


 流石の宮本大佐も唖然とした。だが、まだ二隻が近くに居る筈だ。宮本大佐はそんなことは構ってられなかった。



「砲術長!今のは見事だった!!だが、まだ近くに二隻が残っている!早く撃破するぞ!!」


「了解!」



 その後、巡洋艦と主砲弾同士の殴り合いをしたが、巡洋艦の装甲が戦艦の主砲弾に勝てる筈も無く、弾薬庫や機関室に命中して爆沈していた。尚、生存者が居る為、内火艇や短艇を用いて救出活動をして、白露・時雨と共にヘルシンキ沖へと帰還した。




 この海戦は、「フィンランド湾早朝遭遇海戦」と言われた。遭遇と付いたのは、濃霧の中での「遭遇に近かった」と帝國海軍所属の戦艦長門の艦長である宮本大佐がそう説明したからだ。




 ともあれ、この海戦は世界中を駆け巡った。




 そして、スオムッサルミの戦いではフィンランド軍と日独連合軍が連携を取って、ソ連軍を史実以上に追いやった。






 1940年1月5日・ラーッテ林道付近




 ここにはフィンランド軍第九師団の他に、ドイツ軍第五歩兵大隊+戦車一個中隊と日本軍第三歩兵中隊+砲戦車一個小隊が投入されていた。その上、数名の有名人が参加していた。



「狩りじゃ…久し振りの狩りじゃ…」


「狩りだな…」


「我らの狩りは時々過激になるぞ…」


 依子・静巴・ゾフィーの目が狩人の目になっていた。



「何これ怖い」


 源三郎の表情は、言葉とは逆に苦笑していた。



「いやいや!表情と発言が一致してませんよ!!」


 独逸機甲師団第一戦車大隊第一三女子戦車中隊隊長、パウリーネ・フォン・アイスラー陸軍大尉は、三人に怯えながらも源三郎にツッコミを入れる。



「大丈夫だ、大尉。ゾフィー閣下は分からんが、静巴さんと依子さんは抑えること出来るから」


「私としましては、総統閣下も御願いしたいのですが…」


 既にパウリーネはややションボリとしていた。



「まあ、頑張れ…あの人、愛人居るみたいだからその人に…」


「その愛人があなたなんですよ!」


「ええ!?」


 パウリーネの発言に源三郎は素で驚く。


「気付かなかったんですか!?」


「待て!その前に二年前位と今回の総統官邸襲撃事件に打ち合わせとか入れて数回しか会ってないぞ!?」


「それでも総統閣下は公言してましたよ!!」


「ゾフィー閣下!!」


 あまりのカミングアウトに、源三郎はゾフィーに迫真する。


「いや~あの情熱的なキスに魅了されてな~///」


「ああ…俺、死んだ…心身共に…」


 ゾフィーの顔を紅くした返答に源三郎は何かを悟った。



「大丈夫だ。事後とは言え、静巴大佐と依子殿には言っておいた。まあ、女の話し合いだから少し時間は掛かったが…」


 ゾフィーは、額の角にある痣の様な名状し難いものを源三郎に見せ付ける。



「…モウシワケゴザイマセン…」


 源三郎は魂が抜けた様になっていた。



「ちょっとおおおおお!!山塚大佐!?確りしてください!!」


 パウリーネは源三郎を激しく揺らす。ここで倒れては、三人の暴走を食い止められないと考えていたのだろう…



「…ダイジョウブダ。ワタシガイナクテモアノサンニンナラ、カクジツニナシトゲテクレルダロウ…」


「何を成し遂げるんですか!?何か成し遂げてはいけないものを感じますけど!!」


 源三郎の意味深長(?)な発言は、パウリーネを混乱させた。




 数分後…



「さて、九九式狙撃銃の最終点検でもしますか…」


 源三郎は正気に戻ったが…



「総統閣下…今回の獲物は何ですか?」


「そうだな…戦車は戦車をやってくれ」


「了解しました」


 …今度はパウリーネが毒された。



「「「「狩りじゃ…狩りの時じゃ…」」」」


「もうこいつら何とかしてくれ」


 源三郎は空を仰いだ。



 そして、ラーッテ林道にソ連軍第44機械化狙撃師団が進軍して来た。目的はソ連第163狙撃師団の救出であるが、前日にソ連第163狙撃師団は壊滅していた。しかし、欺瞞電文の「我、マダ奮戦セリ」と送って、ソ連司令部は裏付け調査もせずにソ連軍第44機械化狙撃師団を派遣した。




 そして…



「よ~い……………撃てッ!!」


 林道の奥から銃弾が飛んで来て、ソ連軍第44機械化狙撃師団はいきなりの奇襲に戸惑った。



 他の所でも…



「撃てッ!」




  ダンッ!…ドーーーーーン!!




 九六式砲戦車が、遠距離からT-26やBT-7を撃破していた。勿論、フィンランド軍が鹵獲して使いたいという要請もあるから、怯ませる程度の撃破だけだが…



「右翼の援護を行う!!」


 源三郎は直ぐ様動いて右翼へと駆け走る。右翼の弾幕が若干不足と見たからだ。



「援護するぞ!」


 源三郎が持っている九八式自動歩兵銃が連射をする。



「助かった!」


 フィンランド兵の一人が礼を言う。



「礼なら後だ…今は敵を倒すぞ!!」


「おう!」


 その後も戦闘は続いたが、各地で同時的にモッティ戦術によりソ連軍第44機械化狙撃師団は壊滅した。尚、多数の鹵獲品がフィンランド軍の物となった。



「「「「いや~狩りは終わったな~」」」」


「…そうか…」


 源三郎は、四人の反応にどうリアクションしたら良いのか迷ったとか?




 そして、ソ連の再度攻勢は2月と判断され、1月末にレニングラードにある補給拠点や軍港を空爆することとなった。日本側は、張鼓峰事件やノモンハン事件に活躍した九七式爆撃機・連山である。実は、陸軍の輸送船に密かに輸送していたという。



 そして、日独連合爆撃隊はレニングラードを空襲した。



 更に、夜の空襲+放水により倉庫・格納庫や工場等が丸ごと氷漬けとなって、ソ連軍の補給能力は喪失した。



 2月の再度攻勢を目論んでいたソ連軍司令部は作戦を変更して、白海経由でコラ半島からフィンランド北部に再度攻撃を掛けて、そこから南進をしてフィンランド軍の兵力分散を目論んだ。



 だが、これも帝國陸軍の連山の空爆により白海の海底へと消えた。



 スンマ・ホンカニエミの戦いにおいては、ドイツ軍が防御戦の穴埋めをしたりとか戦車が来たら帝國陸軍の戦車隊と共同してソ連戦車を撃破する等、マンネルハイム線の維持に奮闘した。



 結局、3月30日にヘルシンキにおいてフィンランドとソ連の不可侵条約・ヘルシンキ講和条約を締結した。内容はフィンランドの要求(領土不変・相互不可侵等)を認めることだった。フィンランドはそんなに多く要求をしていなかった為、ソ連はやや我慢して講和条約に調印をした。




 ここに、冬戦争は終結を見た。

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