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二三、北海合同演習~対潜演習前編~

 今回は、スペック掲載が多いので御注意ください。

 12月10日・北海海上




「今日は対潜演習か…護衛空母と最新鋭の軽巡洋艦連れて来て良かった…」


 源三郎は内容を見て安堵する。尚、源三郎が乗って居るのは翔鶴では無く、護衛空母天神山である。



 この艦は、副長職の坂田(サカタ) 藤吉郎(トウキチロウ)海軍中佐が艦長を兼任していた。理由は、大日本帝國海軍流対潜防御戦術・作戦を変幻自在に操れるのが源三郎しか居ない為である。



「坂田副長、今回の演習は我々には未体験だ。気を引き締めてくれ。尚、天神山・高天神に計六本の魚雷が当たれば我々の敗北だ。相手は英海軍潜水艦6隻・独海軍潜水艦20隻だ」


「了解しました」


 坂田副長は兵学校出身で、闘志溢れる古参佐官である。



「しかし、潜水艦が我々に対して幾ら何でもそんなに投入は…」


「まあ、これが実戦なら彼等の相手は輸送船だ」


 源三郎の言葉に、坂田副長を含む艦橋要員の背筋が凍る。



「彼らの潜水艦運用思想…まあ、これは専ら独逸に当てはまるのだが、彼らの主目的は敵勢力の根本的弱体化にある。輸送船を狙う通商破壊は、その為の手段であり目標でもある」


「…第一次世界大戦が既に示したUボートの活躍ですね?」


 源三郎の話に耳を傾けていた、高天神の航海長が口を開く。



「そういうことだ。イギリスはそれで飢えに苦しんで、アメリカからの援助で何とか凌いだ…これが島国の特性でもある。それ即ち、我帝國にも言える事だ。帝國はイギリスと同じ無資源国かつ海洋国家だ。故に海軍力は不可欠であるが、海上交易・輸送も重要であることには変わりない。敵は戦争時にそこを着く!必ず着く!だから今回の演習は我が身に起こることと思え!」


『了解しました!』






 数十分後…




「艦長、時間です」


「まあ、実戦なら今頃一発来てもおかしくないけどね…」


 源三郎は士官の報告に苦笑する。



「九九式回転翼機を発艦せよ!」


 制帽を被り直すと、源三郎は顔を変えて演習へと望む。因みに、九九式回転翼機とはヘリコプターのことである。遠州海上輸送会社の子会社、遠州航空が開発した九九式回転翼機は、対潜哨戒と山山岳地への任務対応を目的としていた。今は、遠州航空一社で総力を上げて量産を行っている。




九九式回転翼機一一型(乗員四名)

全長11m×全幅4m(メインローター12m)×全高3.5m

自重2000kg・全重3500kg

航続距離500km

最高200km/h・巡航100km/h・超過禁止220km/h

発動機:遠州航空 水冷空海一二型(出力1500PS)

武装:

7.7ミリ扉機銃二挺

対潜爆弾60kg六発

対潜魚雷500kg一発

装備:

九九式多機能無線機(電話・電信・電送)

九九式電探逆探装置

九九式対潜検出装置

九八式現在位置検出装置

九七式写真機




「それと九六式警戒機もだ。対潜哨戒仕様で一個小隊を数時間低空飛行の様子見だな」


「阿賀野より連絡!我対潜哨戒ヲ実施ス!」


「返信、敵潜ハ手強イノデ注意サレタシ」


 尚、高天神と阿賀野のスペックは次の通り。






天神山型護衛空母

基準排水量20000屯・満載排水量26000屯

全長230m×全幅30m×吃水8m×全高45m×甲板高12m×飛行甲板高17m

機関ディーゼル八基四軸(160,000馬力・重油3000屯)

最大速力34ノット・航続距離18ノットで12000海里

武装:

65口径九八式7.6cm速射砲六基

九八式40ミリ機銃連装四基単装六基

九六式25ミリ機銃連装六基単装八基

12.7ミリ機銃六挺(移動可)

陸戦装備他

飛行甲板:230m×26m

射出機100m一基

格納庫:200×20×8

艦上機:搭載機数45(補用20)

九六式艦上戦闘機25+15

九六式艦上警戒機12

九九式回転翼機8+5

電子装備:

九九式対空電探

九八式水上電探

九七式水測

九八式射撃指揮装置

九五式多機能無線機

九六式現在位置検出装置

九六式電子計算機



 マル四計画に基づいた護衛空母で、史実の飛龍のスペックを基に建造された。




阿賀野型軽巡洋艦

基準排水量8000屯・満載排水量10500屯

全長180m×全幅15m×吃水6m×全高30m×甲板高6m×艦橋高18m

機関ディーゼル四基四軸(120,000馬力・重油1000屯)

最大速力36ノット・航続距離18ノットで12000海里

武装:

65口径九六式10cm高角三連装砲六基

65口径九八式7.6cm速射砲八基

仮零式連装魚雷発射管二基酸素魚雷二〇本

九八式連装軽対潜呂弾五基一五〇発

九八式40ミリ機銃連装四基単装六基

九六式25ミリ機銃連装六基単装八基

12.7ミリ機銃八挺

九九式爆雷40発

投射機一基

掃海具一式

陸戦装備他

電子装備:

九九式対空電探

九八式水上電探

九七式水測

九七式射撃指揮装置

九五式多機能無線機

九六式現在位置検出装置

九六式電子計算機



 対空・対潜を重視した軽巡洋艦。天龍型・球磨型・長良型(この三型は哨戒艦やタイ・満洲での創設海軍の主力となる)の代艦として建造された。一応、水雷装備もあるがそれは緊急の敵快速部隊撃破を前提としている。設計は艦政本部であるが、基本設計者は源三郎と静巴である。だが、建造経歴が異色であった。建造開始が1933年に始まったのだが、武装の開発が着いて来て居ないので窮余の策として12.7cm高角砲等で代用。武装開発終了後の計画武装への改装を待ったという。






 十分後・九九式回転翼機高天神所属第三号機




「…機長!対潜検出装置に反応あり!深度20~50!!」


「よし!対潜爆弾投下用意!」


「宜候!」 


 哨戒員の報告で機長は即時に対潜爆弾投下を決める。



「対潜爆弾の信管が試作の磁気信管…大丈夫ですかね?」


「大丈夫だろう…まあ、訓練弾だから沈みはしないさ…漏水はあるかもしれないけどな…」


「うわ~(汗)」


 操縦席に就いている機長と副操縦士の会話である。意外と機長は冷えてる感じだ。



「爆弾投下用意ヨシ!」


「了解!空中停止!!確り狙えよ!!」


「了解!!」


 対潜哨戒員が対潜検出装置の画面の反応を見詰めて、反応が最も大きい時を狙う。



「投下用意…投下!」


「投下!」


 対潜哨戒員の合図で対潜爆弾を投下する。投下地点に水柱が立つ。



 一分も経たずして、小さな水柱が立った。




「爆発確認!」


「潜水艦はどうだ!」


「浮上中の模様!」


 直後に潜水艦が浮上して姿を現す。



「艦はUボートXXI型です!」


「…天神山に打電!我XXI型ヲ確認シタ、注意サレタシ!」


「了解!!」






 機長はXXI型の特徴を把握していた為、急いで天神山に通報した。

 御意見・御感想、御待ちしております。

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