二二、日独英合同陸上軍事演習
今日は用事が有って、次話の更新に遅れの影響が出るかもしれません。
12月7日・東プロイセン沿岸沖10km
陸軍は、上陸の後に橋頭堡を確保して中心部に進撃するという想定戦場で、攻撃側と防御側に分かれて行うこととなった。
06:00・第三一監視哨
「…日本軍来襲!来襲だ!!」
監視哨で監視をしていた英陸軍兵士が叫ぶ。
直後に砲弾が着弾したような地響きと音が襲う。
「状況報告!!」
「第二五監視哨に演習弾が着弾!壊滅判定が出ました!!」
「何!?あそこは上陸予想地点付近にあるから、武器弾薬が目一杯保管されてる所だぞ!?」
報告を受けた第三一監視哨哨長の少尉が顔を蒼くする。
「続いて報告!第二五監視哨に続いて第三五監視哨・第六五監視哨にも壊滅判定!武器弾薬も吹っ飛んだようです…」
「…次こっちが狙われるぞ!」
少尉はハッと思い出した。予定地点に近いのは、ここと報告の上がった三箇所である。
「日本軍!上陸艇を進出中!!」
「総員戦闘配置!保管庫から武器弾薬を出せ!装備も忘れるな!!」
『ラジャー!』
慌しく動く上陸阻止隊。だが…
06:02・陸軍船舶天ノ川丸船橋
「上陸艇から連絡!敵監視哨まだ残る!再度支援砲撃を要請するものなり!!」
「うむ…特殊艇に、上陸直前の上陸部隊の再度支援砲撃を指示」
「了解しました!」
あれこれと報告と指示が飛び交う。
所で、指示の中に出て来た特殊艇だが、これは哨戒艇にロケット弾を大量に積み込んだようなものだ。
スペックは次の通りで、その次にも元となった哨戒艇も記載する。
特殊艇
同型艇:現在二〇隻以上配備
基準排水量200屯(満載排水量280屯)
全長50m×全幅10m×全高10m(乗員30名)
水線長48m×吃水1.5m×甲板高2.5m×艦橋高4m
機関ディーゼル四基二軸(20,000馬力・重油40屯)
最大速力40ノット・航続距離25ノットで600海里
武装:
九八式40ミリ機銃連装一基
九九式対地ロ弾一〇門一〇〇発
九六式25ミリ機銃単装二基
掃海具一式
12.7ミリ機銃六挺(移動可)
陸戦装備他
電子装備:
九九式簡易電探
九八式簡易水測
九九式多機能無線機(電話・電信・電送)
九八式現在位置検出装置等
甲型哨戒艇
同型艦:現在六〇隻以上量産中
基準排水量200屯(満載排水量280屯)
全長50m×全幅10m×全高10m(乗員30名)
水線長48m×吃水1.5m×甲板高2.5m×艦橋高4m
機関ディーゼル四基二軸(20,000馬力・重油40屯)
最大速力40ノット・航続距離25ノットで600海里
武装:
九八式40ミリ機関砲一基二門
零式三連装魚雷発射管一基酸素魚雷一〇本
九六式25ミリ機銃単装二基
九八式連装軽対潜ロ弾二基五〇発
九九式爆雷20発
投射機一基
掃海具一式
12.7ミリ機銃六挺(移動可)
陸戦装備他
電子装備:
九九式簡易電探
九八式簡易水測
九九式多機能無線機(電話・電信・電送)
九八式現在位置検出装置等等
「撃て!」
特殊艇一号艇の艇長の怒号と共に、九九式対地ロ弾一〇門が火を吹く。
して、それのとばっちりを受けた上陸阻止隊はというと…
「ギャアアアアア!ベタベタだアアアアア!!」
「ギャバアアアアア!!ペイント掛かった!!」
「このまんまだと目も口も開けられねぇよ!!」
ペイントの雨にやられていた。
そうしている間にも、日本軍の上陸艇が刻々と迫っていた。
「よし、機銃手!配置に就け!!援護射撃の準備だ!!」
「了解!」
30ノットで、約15分で着いた日本軍上陸部隊。
そして、上陸艇が海岸の砂浜に乗り上げる。
「おっと!…機銃手!!援護射撃だ!!ぶっ放せ!!」
「了解!」
九二式重機関銃改の銃口から弾幕が飛び出る。
単に九二式重機関銃改を艇首に設置した簡素な作りであったが、先手に敵阻止隊の阻止行動を妨害することに成功する。
「戦車揚陸!」
「了解!」
戦車専用上陸艇も到着して、九五式軽戦車と九六式中戦車を揚陸する。
「よし!敵の隠し陣地発見!!演習弾装填!」
早速、九六式中戦車の車長が目標を見つけて狙いを定めた。
「了解!…と言っても、これしかありませんけどね…」
装填手はやや自嘲気味に榴弾を取る。
「まあまあ…俺だって、実戦さながらだから我慢出来るよ…」
「そうですね…装填完了!」
「砲手!十一時方向の陣地をやれ!」
「了解!」
車長の指示に砲手は直ぐに応えて照準を合わせる。
「照準合わせ終わり!」
「撃てっ!」
車長の怒号と共に、九六式75ミリ榴弾が発射される。
「命中確認!…撃破判定!!」
「矛先が良いな…操縦手!歩兵とか踏まないように操縦宜しく!」
「了解しました!」
操縦手はクラッチを入れて発進させる。
その後、損失判定が出た歩兵や戦車があったものの、進撃は止まらずに阻止隊を次々と撃破していった。
何故、こんなにもスムーズに行けたかと言うと、硫黄島で幾度も無く練習に練習を重ねて来たからである。それと、源三郎と静巴の戦術・作戦を含む情報提供も功を奏した。
英陸軍からは「東洋の敵で無くて良かった」と口を揃えて言っていたそうな…
尚、この上陸訓練は明日も日本が防御役で独逸が上陸役となって実施する予定だ。
御意見・御感想、御待ちしております。
追記
昨日、「どくそせん(イカロス出版)」という本が届きまして早速読みました。流石と思いましたね…パロディネタが豊富でかつ解説図も有って分かり易い。小説の歴史参考資料にしたいと思っています。




