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一七、第一機動艦隊誕生

 ちょっと時系列が遡ります。

 1939年9月1日は第二次世界大戦の始まりであるが、この世界ではまだ勃発していなかった。




 同日・呉海軍基地



「揃いましたね?」


「そうだな…」


 呉軍港外には、戦艦比叡・霧島、空母翔鶴・瑞鶴・蒼鶴・紅鶴・白鶴・黒鶴、重巡高雄・愛宕・鳥海・摩耶が整列をして停泊していた。



「第一機動艦隊…ここでもまた歴史は変わったか…」


 第一機動艦隊とは、空母六・戦艦二を基幹とした航空戦力重視の機動性に富んだ艦隊である。



 指揮官は(ホリ) 悌吉(テイキチ)海軍中将だ。史実では大角人事で予備役に回されていたが、この世界では源三郎・静巴の暗躍で現役で留まっていた。前職は海軍省戦略研究本部部長である。



 そして、連合艦隊司令長官は山本(ヤマモト) 五十六(イソロク)海軍中将であった。



「第一機動艦隊は、連合艦隊からある程度独立した艦隊…か」


「戦略作戦目的遂行の為、神出鬼没・奇想天外・勇猛果敢の三拍子揃った航空艦隊…山本長官、あなたが望んでいた航空主兵論の具現化した艦隊ですよ?」


「あっはっはっはっはっはっ!静巴中佐!あんたには敵わんよ」


「お褒めに預かり、光栄です」


 会話の主は、山本長官と静巴であった。因みに、ドイツでの一件と各方面の暗躍により、源三郎・静巴・依子は海軍中佐に昇格した。



「まあ、君も旗艦の翔鶴に乗艦してもらって航空兼主席参謀に配属だよ」


「嬉しいのですが…でも…」


「依子中佐には情報参謀に、源三郎中佐は臨時昇格で大佐となって翔鶴艦長となり、通信参謀としても活躍してもらう…でどうかな?」


「喜んで引き受けます!!」


 …やはり、源三郎のことが好きのようで…



「まあ、それと…」


 山本長官は軍服の上着の裏ポケットから、マニラ封筒を取り出して静巴に渡す。



「これは…」


「中身を見れば分かるよ…」


 そう言われて静巴はマニラ封筒の中身を取り出す。



「山本長官は御人が悪いですな!」


 中身を見た静巴は笑った。呆れの意味での笑いだが…



「まあ、参謀にするからね…大佐じゃないと、色々と不便だろう?」


 山本長官は静巴の呆れ笑いにつられて笑う。






「そうですね…ありがとうございます!今夜は御礼にと、天宇受賣命(アマノウズメ)如しの狂乱の舞でも…」


「それ舞っちゃ駄目です。止めてください」


 何処からか出て来た源三郎に制止させられる。



「撒いたと思ったのにここと分かったのか!?」


「あなたの行動範疇と私の勘でここだと思いましてね…」


 とりあえず、源三郎は昨日の夜に作った和菓子を山本長官に渡す。



「目元が黒いな…」


「…気にしないでください…」


 証拠に目にクマが出来ていた。



 尚、第一機動艦隊の航空戦力たる機体は次の通りである。




九六式艦上戦闘機四三型

全長8m×全幅11m×全高4m

自重1600kg・全重2650kg

最高510km/h・巡航350km/h

航続距離3000km

急降下制限速度720km/h

エンジン:三菱 金星四型改一(出力1050PS)

武装:

12.7ミリ機銃四挺(主翼・機首)

60kg爆弾四発又250kg爆弾一発


 引き込み脚・完全密閉キャノピー・緊急脱出装置が組み込まれて、最早九六式艦戦では無くなって来ている…それに、250kg爆弾を搭載出来るので、急降下爆撃も可能となっている。



九七式艦上攻撃機一一型・天山

全長11m×全幅14m×全高3.8m

自重3500kg・全重5700kg

最高510km/h・巡航360km/h

航続距離2500km

エンジン:中島 誉二四型(出力2200PS)

武装:

12.7ミリ機銃六挺(主翼・機首・胴体後部)

250kg爆弾三発又800kg爆弾一発又航空魚雷一発


 単発の攻撃機で、全重5700kgと重いが発進はカタパルト搭載の空母に乗せることで対処している。尚、航空魚雷や800kg爆弾を抱えたまま500km/hを軽く越えている点は、艦攻としてはかなりの魅力だ。



九六式艦上警戒機三二型

全長12m×全幅15m×全高4m

自重4500kg・全重5000kg

最高605km/h・巡航500km/h

航続距離4000km

エンジン:三菱 金星五三型×二(出力1500PS×二)

武装:

12.7ミリ旋回機関銃一挺

装備:

九九式多機能無線機(電話・電信・電送)

九九式電探逆探装置

九八式現在位置検出装置

九七式写真機

九九式小型電算機

九九式空中管制装置


 警戒機でありながら、偵察・空中管制をこなす双発艦上機。その能力には汎用性も兼ね揃えられているために、陸軍でも陸軍機向けに改修をして一〇〇式司令部偵察機として採用予定である。




 最後に、空母六隻で全部一つの型で統一されている、翔鶴型航空母艦のスペックは以下の通りである。



翔鶴型空母(竣工:1938年10月~1939年3月)

同型艦:翔鶴・瑞鶴・蒼鶴・紅鶴・白鶴・黒鶴

基準排水量34000屯(予備浮力30000屯・満載排水量42000屯)

全長260m×全幅38/50m×吃水10m×全高45m

機関ディーゼル八基四軸

(180,000馬力・重油3600屯)

最大速力34ノット

航続距離16ノットで16500海里

武装:

65口径九八式7.6cm速射砲六基

九八式40ミリ機銃連装四基単装六基

九六式25ミリ機銃連装六基単装八基

12.7ミリ機銃六挺(移動可)

陸戦装備他

飛行甲板:260m×36/45m

射出機100m四基

格納庫:230×20×8

艦上機:搭載機数75(補用15)

九六式艦上戦闘機30+10

九七式艦上攻撃機30+3

九六式艦上警戒機15+2

電子装備:

九九式対空電探

九八式水上電探

九七式水測

九八式射撃指揮装置

九五式多機能無線機

九六式現在位置検出装置

九六式電子計算機


 準装甲空母。史実の翔鶴型のダメコン力向上+甲板装甲化版と言える。急降下爆撃で高度600m・800kgでも耐きれる装甲を持つ。装甲をしている為、甲板の高さが若干低くなっているのが特徴である。そして、アングルドデッキを採用してカタパルトの使用も相まって離着艦が迅速に行われるようになった。




 以上が第一機動艦隊の航空戦力である。




 尚、旗艦は翔鶴であり司令部最高幹部は長官・参謀三人で構成されている。






 第一機動艦隊最高幹部


 司令長官:堀 悌吉中将


 航空兼主席参謀:山口 静巴大佐


 情報参謀:旭日宮 依子大佐


 翔鶴艦長兼通信参謀:山塚 源三郎大佐

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