一二、…あれ?これ死亡フラグじゃね?
一部分がタイトルに反して甘くなるかもしれません…苦味の利いた抹茶の御用意を…お勧めします。
それと、キャラ崩壊の疑念を持つかも知れませんが、状況が状況であると察して読んで頂くと有り難いです。
「…違う世界の未来人か…違う世界の人間だとは、勘付いていたが…」
「…御手上げです…総統閣下には敵わないですね…」
「それに貴様の体はガッチリとしている…美味そうだな…」
「え?い、今なんと?」
源三郎は、ゾフィーの意味有り気の言葉に不安を募らせる。因みに、まだゾフィーは源三郎に抱き着いている。
「逃げようたって無駄だよ…確りと私が捕まえているのだから…」
「…」
源三郎は、自身の背中から吹き出る冷や汗を感じた。食われると…
「ふっふっふっ…貴様の記憶では、この時の総統はアドルフ・ヒトラーだな?まあ、私は実を言うと20歳の時に魔女になってな…そこからだよ…悲劇の前世が夢に出てくるようになったのは…」
ゾフィーは、そういうと抱き締めている腕の力を少し強めて、目は少し暗くなった。
「つまり、この後のことを知っているということですか?」
「そういうことだ…アメリカやソ連に滅多打ちにされて、挙句に東西にドイツが分かれたのだ…悲しくもなるだろう…だから、政策を領土拡大では無く内需拡充に、軍の装備等の拡充も行っている…」
その中には、ビスマルク級戦艦二隻の設計がゾフィーの意向により、性能が史実とは桁違いなスペックになっていた。
「…なるほど…」
源三郎は本当か決めかねていた。だが、有ることを思い出して…
「総統閣下…召し上がるのでしたら、今の内では?」
「?……………そうか…そうだな…先ずは……だな///」
チュッ…
…キスをした。ややディープめである…
数分後…
「…その心は純粋で本当ですね…」
「貴様…見破る為にキスを///」
ゾフィーの顔は真っ赤であった。何故源三郎がゾフィーの真意を確認・理解出来たかは…この場で説明することでは無い。
そして、ゾフィーからお返しなのか定かではないが、最新兵器の設計図等の交換を迫られて結果…
「しかし、良いのですか?最新鋭のUボートXXI型の設計図と機関部品を格安で譲渡するのは…」
「まあ、UボートXXI型へ更新するのに早過ぎてしまったからな…それに、輸出の実績も作っておかなければならないしな…」
因みに、UボートXXI型の生産能力は年間60隻程度である。
「こちらは格安という引き換えに、私独自の航空母艦設計概略図を渡すことになりましたが…」
「まあ、今後のことを考えれば空母は必要だからな…」
「「……………アッハッハッハッハッハッ!」」
源三郎とゾフィーは、御互いに本音を言うとその苦慮を笑い飛ばすかのように豪快に笑う。
「では私はこれで…と行けないらしいですな…」
「…全くだな…警備体制を見直さないとな…」
二人は何かを悟ったのか、それぞれ獲物を構え始める。
「…未来というのは便利だな…」
ゾフィーは、拳銃のワルサーHP(翌年にワルサーP38として採用の為)のチャンバーに弾薬を込めつつ、源三郎の準備している姿を見て羨ましがる。
「人間はそう変わりませんよ…」
源三郎は、上着を脱いで鞄からUSPとショルダーホルダーを取り出して身につける。尚、USPとショルダーホルダーは武蔵丸の輸送船のコンテナから取って来て、源三郎が使用している。
「備えあれば憂い無し…だったか?」
「まあ、そうですね…こいつはちょっと非合法的ですが借りています…」
上着を脱いだ下には、(信濃丸から借りている)迷彩色のボディーアーマーが着用されていた。
「そろそろ来ますよ」
「言われなくても…」
その時、ドアが蹴飛ばされてMP28を持ったSS(?)が雪崩を打って入って来た。
ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
源三郎とゾフィーは、敵と判断して己の拳銃の引き金を引く。
数分後、雪崩を打って入って来たSS…に変装した暗殺者達が息絶えていた。
「やはり、独裁者役は辛いな…」
「自分で選んだ道は、自分で切り開きその責任は自分で背負うものなり」
ゾフィーの苦笑に、真面目に応える源三郎であった。
「しかし…SSの服装ならバレずに来れるとは…少々警備体制甘いですね…」
「だから、見直すと言っただろう…」
「まあ、第二波が来るかもしれないので鹵獲しましょうかね…」
源三郎は、暗殺者達が持っていたMP28やマガジンを漁って回収していた。
「だが、魔女を見くびり過ぎだな…敵か味方かの気配なら十分に分かる…殺気が有るか無いかだからな…」
「…敵じゃなくて良かったと思いますよ…」
「そうか…ますます気に入ったぞ!」
ゾフィーは喜んで、後ろから源三郎に抱き付く。
「(デ、デカイ!)」
源三郎は、ゾフィーの抱き付きに心臓をドギバギした。
「大きい方が良いのか?」
「あ、いや、その…」
「正直に言って欲しいな~?」
「はい…」
源三郎は、自分の心を少し曝け出した…まだ、21歳の海軍少佐の時である。
「それより、どうしますか?第二波来るの予想したら、だらだらしている時間なんて…」
「ならここから出よう」
テーブルの下に隠し扉…
「良いでしょう…後ろは任せてください」
源三郎は、空になったマガジンを交換して鞄を肩掛けにして肩に掛ける。
「良かろう…」
ゾフィーと源三郎は、隠し扉から総統官邸からの脱出をすることとなった。
十分後…
「…ゾフィーさん、まだですか?」
「いや、マンホールがな…」
「魔法で吹っ飛ばせませんか?」
「魔力使い過ぎって、皆が驚愕する程に使うから正直使いたくないな」
偽装のマンホールなのだが、本物同様に結構頑丈に填め込まれていた。
「分かりました…余り、やりたくありませんが致し方無しといことで…」
源三郎は、ゾフィーと交代して…
「ハッ!」
ボーーーーーン!!…ガンッ!ガラガラガラ…ガラン…
グーでマンホールを吹っ飛ばした。
「…山塚少佐?貴官は人間…だろうな?」
流石の魔女であるゾフィーでもビックリの一〇〇万馬力パンチだった。
「今のは山塚家先祖代々伝わる〝山塚流気功術〟の一つです」
その後、丁度ベルリンを散歩している依子と静巴に合流した。
事情を説明して、一緒に行動することになった。尚、鹵獲武器は四人に分配している。
「何かすまんな…」
ゾフィーから独裁者独特のオーラが無くなっていた。
「ヒトラー暗殺計画のとばっちり受けたようなものですけど、大丈夫ですよ…」
源三郎はニヤリと笑う。
「そうじゃそうじゃ…何せわしわ達は…」
依子もニヤリと笑い…
「海軍兵学校出身ですから♪」
そして、静巴もニヤリと笑う。
その後も、暗殺者達がワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラワラ現れる。
だが、それも海軍兵学校出身の三人は効かなかった…
「オリャリャリャリャリャヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!!」
「オララララララララララララララララララララ!!」
オリャと言ってるのが静巴で、オラと言ってるのが源三郎…
そして、凄い…迫力です…←
「掛かって来い!皇室のじゃじゃ馬が相手だ!!」
依子に到っては、素を全開にしていた。
「全く!こんなんでは埒が明かない!!」
ゾフィーもMP28で大奮闘をしている。
結局、警察が来て暗殺者達を取り押さえて暗殺事件は未遂に終わった。
翌日、総統官邸では昨年復活した騎士鉄十字章の授与が行われた。受賞者は、源三郎・静巴・依子の三人だ。
「これは感謝の意を表する特例である…彼らは私の命の恩人だ」
ゾフィーは、三人に騎士鉄十字章を授与した後にこう述べていた。
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