八、新型車両納車
1936年10月・帝國技術研究所
「さて!量産型も揃った所で陸軍さんへ納入としますか!!」
静巴はいつも通りの意気揚々としていた。
「砲戦車は少数配備型ですけどね…」
「合わせて年間200両もあれば十分だろ?」
「あれ最初から年間200両も作っちゃう我社も、どうかと思いますけどね…」
「それは開発期間一年で試作で一発合格…そして、量産型も合格して二年で400両だ!これは量産体制が良いという事だな!!」
先の数行の会話は、源三郎と静巴の会話である。この会話でもテンションの差が大きい。
「ですが、本当に良いんですか?少数ながらも結構高性能もの出しちゃって…」
「幾ら量産性能と量産体制強化をしても、アメリカには勝てない…寧ろ十年先のものを今作ってストックさせなければならない…」
「まあ、タイミングも重要ですけどね…鹵獲対策もしなければなりませんけど…」
源三郎と静巴が会話をしている間、陸軍への納入する車両は次の通りである。
九五式軽兵員輸送車
全長五m×全幅二.二m×全高二.三m×重量三.〇トン
懸架方式:トーションバー+リーフスプリング式
速度九〇km/h・行動距離六五〇km
武装:七.七ミリ機関銃(弾数一○○○)
装備武器:機関拳銃×四、自動拳銃×四
装甲:均質圧延装甲・防弾硝子(厚さ15/50mm)
機関:水冷四サイクル四気筒ディーゼルエンジン(一五○ps/三〇〇〇rpm)
電子機器:短波無線機・情報通信機
乗員:四名(軍曹一名・兵士三乃至四名)
九五式兵員輸送車
全長七m×全幅二.二m×全高二.三m×重量八.〇トン
懸架方式:トーションバー+リーフスプリング式
速度八〇km/h・行動距離五五〇km
装備武器:機関拳銃×二、自動拳銃×二
装甲:均質圧延装甲・防弾硝子(厚さ15/50mm)
機関:水冷四サイクル六気筒ディーゼルエンジン(二五○ps/三〇〇〇rpm)
電子機器:短波無線機・情報通信機
乗員:二名(運転手・車長)+一〇名(軍曹二名・兵士八名)
九五式軽戦車
全長六m×全幅二.四m×全高二.六m×重量二四.五トン
懸架方式:トーションバー+リーフスプリング式
速度八〇km/h・行動距離五五〇km
主砲:九五式五〇口径四七ミリ戦車砲(弾数一三〇)
副砲:一二.七ミリ重機関銃(弾数七五○)・七.七ミリ機関銃(弾数五○○○)
他武装:狙撃銃×一、機関拳銃×三、自動拳銃×四、手榴弾一二
装甲:全面均質圧延装甲(厚さ30~100mm)
機関:水冷四サイクル八気筒ディーゼルエンジン(七五○ps/二五〇〇rpm)
電子機器:戦車射撃管制装置・短波無線機・情報通信機・視界補助装置
乗員:四名(運転手・射撃手・装填手・車長)
九六式中戦車
全長六m×全幅二.四m×全高二.六m×重量二五.五トン
懸架方式:トーションバー+リーフスプリング
式速度七五km/h・行動距離五五〇km
主砲:九五式四〇口径七五ミリ戦車砲(弾数七〇)
副砲:一二.七ミリ重機関銃(弾数七五○)・七.七ミリ機関銃(弾数五○○○)
他武装:狙撃銃×一、機関拳銃×三、自動拳銃×四、手榴弾一二
装甲:全面均質圧延装甲(厚さ30~100mm)
機関:水冷四サイクル八気筒ディーゼルエンジン(七五○ps/二五〇〇rpm)
電子機器:戦車射撃管制装置・短波無線機・情報通信機・視界補助装置
乗員:四名(運転手・射撃手・装填手・車長)
そして、明らかに静巴の暴走から出て来たというか何と言うのかは読者の解釈を任せてもらって、二十年先でも使えるのではないかと思う砲戦車:九六式砲戦車、通称ホイ。
九六式砲戦車*仮称・少数配備
全長一〇m×全幅三.二m×全高二.三m×重量四〇.五トン
懸架方式:トーションバー+リーフスプリング式(後部のみ能動型油圧式)
速度九〇km/h・行動距離六五〇km
主砲:九五式五五口径一〇五ミリ戦車砲(弾数五五)
副砲:一二.七ミリ重機関銃(弾数七五○)・七.七ミリ機関銃(弾数五○○○)
他武装:狙撃銃×一、機関拳銃×三、自動拳銃×四、手榴弾一二
装甲:全面均質圧延装甲(厚さ30~200mm)
機関:水冷四サイクル十二気筒ディーゼルエンジン(一五○○ps/二五〇〇rpm)
電子機器:戦車射撃管制装置・短波無線機・情報通信機・視界補助装置
乗員:四名(運転手・射撃手・装填手・車長)
見た通りの砲戦車である。モチーフが74式戦車というから、この時代にはオーバーキルの性能だった。しかも、エンジンが水冷かつ機関出力が強化されているから、モチーフの74式と機動戦をやると、性能的に九六式砲戦車に軍配が上がってしまう。
まだ出すには早いので、対米戦の中盤に出撃予定である。
その後、陸軍に納入して早速九六式砲戦車の力を見せる為の演習をやった所、陸軍の石頭があまりの高性能に肝を抜かれたとか…
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