低い声
なに?このお城みたいな館・・・
でも、少し古くて今地震が来たら倒れそうな予感。
看板には、血のように真っ赤な文字で
『魔法の館』
と書いてあった。
ここが・・・『魔法の館』なの・・・?
私は大きくて重い扉を開け、中に入った。
中はホコリっぽくて、少しむせながらも前に進む。
前に進むと、大きな階段があった。
その階段の前には、仏様が置いてあった。
『ここで願い事を唱えてください。』
薄くて小さい文字だけど、そう書いてあった。
私は唱えようかと迷った。
「オマエの願い事を早く唱えろ・・・」
誰かの声が聞こえてきた。周りを見渡すが、誰もいない。
「誰!?あなたは誰なの!?」
私が叫ぶと、
「オレのことなどどうでもいい。オマエの願い事を早く唱えろ・・・」
という低い声が聞こえてきた。
こういう場合、願い事を言ったほうがいいの?
「早く唱えろって言ってるだろう!」
相手に大声で叫ばれて、ビクッとした。
でも、とにかく唱えるしかなさそうな雰囲気だ。
「一希と・・・間宮一希と、ずっと一緒にいたい・・・!」
私は息が切れるほど大きな声で言った。
「ククッ・・・」
突然笑い声が聞こえてきた。
「何!?何がおかしいの!?」
「ソイツはオマエを裏切った・・・ 裏切り者と一緒にいる必要なんてあるのか?」