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CAPRICE -カプリース-  作者: 陽気な物書き
第一部 サリスティア王国編 ~第二章 一つの終焉~
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アルカスター家

 アルカスター家は、二百数十年の歴史を持つ名家である。


 初代当主となったルガート=アルカスターは、元は小さな店を営む商人であった。


 彼は商売であげた利益の大半を恵まれない人たちに寄付し続け、そのせいで店が潰れそうになっても、それをやめることはなかった。


 やがてその活動は時の国王に認められ、貴族の仲間入りをすることになった。貴族の大半は、人がいいだけの貧乏商人が自分たちと同じ階級になったことを快く思わず、アルカスター家は長年苦汁を舐め続けることになる。


 そんなある日、突然転機が訪れる。ルガートの慈善事業に同調した大企業が支援を申し出てきたのである。これにより、アルカスター家は貧乏貴族を脱却。ようやく貴族に相応しい財力を手にすることとなった。


 予期せぬ財力を得たルガートは、それを元手に市場の改革に乗り出した。彼は、貧困層の拡大は貴族階級の独占事業が大きく影響していると考え、貴族特権階級が牛耳る市場に一般企業、ひいては個人が参入できるようにしようと目論んでいた。


 この突拍子もない改革は、大方の予想通り、貴族たちの激しい抵抗にあって頓挫するかに思われた。だが、ルガートは不屈の精神で改革を推し進め、時間をかけて貴族たちを説得する一方で、身分的には下の階級である商人たちとの信頼関係を築こうと奔走した。


 数年後、ルガートは商人たちから絶大な信頼を勝ち取ることに成功し、彼らと協力して貴族たちの独占事業に楔を打ち込んだ。すなわち、これまで顎で使われてきた商人たちが、ルガート以外の貴族と商売することを拒んだのである。


 これにより、事実上商権を一手に掌握したルガートは、市場を開放することを条件に貴族たちに事業の再開を持ちかけた。重要な資金源である事業を再開できるのであればと、貴族たちはこぞって条件を呑んだ。莫大な財力を持つ二大貴族だけはそれを拒んだが、それはルガートの計画に織込み済みであり、彼が目指した市場改革はほぼ予定通りに成功したのだった。


 こうしてアルカスター家は市場に大きな影響をもつ貴族となり、他の貴族たちも無視できない存在となった。


 そして年月は過ぎ、代を重ねること、十三代――


 初の女性当主としてその地位に就いたのが、ケフィ=アルカスターである。


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