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第7話_サイアーズ家

…眩しい。



閉じていた瞼の奥から光が入り込み、

手探りで布団を頭から被るが、

それはすぐに剥がされた。



「お嬢様、朝です。起きてください。」


「んー…あと5分」




「今日は皆様揃われての朝食ですので、

そろそろ起きないと間に合いませんよ?」


…みんな揃って?



「…そうだ!仲良し作戦っ!」


ガバリと起き上がった私を見て

侍女が驚きの声をあげる。


「仲良し作戦…?」


「あっ、いや…」


…ごめんね、メイリン。


あなた、昨日から混乱して

可笑しな事を言ってるって思われちゃってるわ。




言い淀んでる間にも、ベッドの周りでは

侍女によって何やら用意が進んでいく。



「お支度をしますので、手を。」


あぁ、そっか。


私、こう見えて公爵令嬢なんだっけ。



数人がかりで朝の準備をされるのも、

侍女に支えられながら、

ひょこひょこと歩くのも、

昨日まで一般人だった私にはあり得ないこと。


こんな生活に慣れる日が来るなんて…いや、

来ないままかも。



って、そんなことよりも…



(なんて軟弱な体なのよ!)



朝からこんなに怠いなんて、

まるで徹夜明けの社会人時代を思い出す。




メイリンってこんなに体が弱かったの?


私が決めた設定と違うじゃない。


…いや、メイリンは我儘だったけど、

弱みを見せるのは苦手な性格だったから

本当はいつもこんな状態だったのか…?



「あの、座りたいんだけど…」


「申し訳ありません。

 こちらのお召し物に着替えるまで

 もう少しだけお待ちください。」



「お嬢様、こちらにお身体をお預けください」


「ん…」


侍女へ凭れかかりながら、

ただ着せ替え人形のように自身の着替えを見つめる。


…これは、悪女にならない以前に、

メイリンの体力作りが最優先事項ね。




「終わりましたよ」


「…ありがと」


朝からちょっとした運動をした気分だわ。


これから朝ごはんなんて食べられる気がしない。



やっぱり休みましょうなんてことには…


「それでは、皆様の所へ行きましょう」 


「…うん。」

…デスヨネ。



というか、ここから食卓まで何分かかるのかしら。


こんな足じゃ、日が暮れるわよ…。


止まらない不満を脳内に抱きながら、

ずるずると重い足を引きずって侍女に着いていく。



扉の先の窓から差し込む光に目を細めると、

それはすぐに大きな影に覆われた。



「お嬢様、失礼いたします」

「わっ!」


誰!?


扉の前にいた人物にさっと抱き上げられ、

視界が一気に高くなった。


見た目からして騎士、なのかな…?



「…どうしました?」


「あっ、ううん。何でもない…」



…もしや、これがメイリンの日常なの?



(恥ずかしすぎる…!)



大の大人が大勢の人前でこんな姿を晒すなんて…



けど…

「…悪くないはね」


「?

では、行きましょうか」


「え、えぇ。」


なんたって、今の私は子供のメイリンなんだから!


それにこの足で歩かなくて済むなんて…なんて幸せ。



いざ、戦場(朝食会)へ_!


お読みいただきありがとうございます。

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