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第2話



「特に異常はありませんね。

 きっと病み上がりで混乱されていたのでしょう」




あの後、すぐにベッドに戻された私は、

駆けつけてきた主治医という男の診察を受けていた。




そして、これが私が居た世界とは全く違う世界な上、

夢では無いということを確信した。


診察に使われたのは聴診器ではなく、

手から放たれる得体の知れない光。


あのゾワっとする感覚は、夢なんかじゃない。


…さっきぶつけた手だってあんなにも痛かったし。



勿論、信じ難い話ではあるけど…。




「しばらく食事は粥などの消化に良いものを。

 それと、食後にはこちらをお出しして下さい。」


そんな私の葛藤は梅雨知らず、話はどんどん進み、

主治医は、サラサラと紙に何かを書くと近くにいたメイドへと渡した。


「分かりました。」


…否、メイドじゃなくて、この世界は侍女か。





それから分かったことは、

この世界は私が書いた『物語の中』である

ということ。



ここへ来るまでの私は、

日本で生まれ育った普通の女の子だった。



強いて言えば、本を読むことが好きで、

小さな頃から小説の中のヒロインに憧れていた。


みんなから愛される、そんなヒロインに。

だから書いたのだ。


タイトルは

『お姫様は愛される』



我ながらド直球すぎるタイトルだと思ったけど

他には思いつかなかった。


だって、この本はズバリ、

ヒロインの女の子が皆から愛される

恋愛ラブロマンスなんだから!




学園に通うため、田舎から出てきた

男爵の娘であるヒロイン、エミリー・フォールド。


彼女は可愛らしい外見と明るい性格を持ち、

少々世間知らずな所はあるが、

趣味は料理と裁縫という家庭的な面もある。


そして何より、貴族令嬢達とは違って、

謙虚で素朴な姿に、金と権力が渦巻く貴族社会で

過ごしている学園の令息達は心惹かれていく、

というのが物語の主軸である。



そして、ストーリーを引き立てるための『悪役令嬢』は

忘れてはいけない大事な要素。



やっぱり恋愛を進展させるには

立ちはだかる壁が必要だからね。


それも、そんじょそこらの女の子じゃ弱い。



ヒロインよりも裕福な立場にありながらも、

ヒロインと主人公達の関係を妬み、

劣等感からヒロインをいじめるが、

結果としてよりヒロインと彼らの距離を

縮めてしまうような、そんな存在がいるのだ。



そして…

「…なんで私がその悪役令嬢になるのよ」




ヒロインであるエミリーをいじめていた主犯格こそ、

この私、メイリン・サイアーズである。






最初は偶然、私が書いている小説と

名前が同じ少女なだけかと思った。


けれど、サイアーズ家の特徴である青い瞳に、

片足が不自由な〝メイリン〟という少女なんて

私が書いていた彼女以外考えられない。


転生のきっかけで定番といえば、

事故や事件に巻き込まれて…とか特別な出来事が多いのに

生憎、私が最後に覚えているのは、いつものように

小説の更新をしようとPCの前に座ったというところまで。


…もしかして、突然死?


あの歳で…?



いやいやいや。


確かに仕事は忙しかったし、

健康的な食事かと言われれば自信はないけれど…。


それでも、過労死が死因になるほどの激務ではなかったし、

私の小説は趣味でネットに投稿していただけで

自分で言うのもあれだけど転生先になるうようなものでもない。



つまり、身に覚えがなさすぎるのだ。



「あの…私、何で眠っていたんですか?」


なにかヒントになるかと、

近くにいた侍女に聞いてみると、

彼女は目を丸くして口を開いた。



「覚えてないのですか?

お嬢様は散歩の途中で倒れられてから、

丸々3日間、眠ってたんですよ!」



なるほど、散歩で倒れて3日…


「え、3日間も!?」


てっきり一時的なものかと…。


「えぇ。

 突然倒れられてからずっと目を覚まされないので、

 王宮所属の医師へ往診要請をしましたが

 原因は分からず…奥様も旦那様も、

 毎晩寝ずに看病されていましたよ。」



…そう言えばメイリンは幼少期、

かなりの病弱という設定にしたんだった。



そもそも、こんな設定にしたのは訳がある。


お読みいただきありがとうございます。

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※何もお返しはできませんが、作者の制作モチベーションに直結します…!

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