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つないでゆくもの  作者: ぽんこつ


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金色の  7月20日木曜日 7日目

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


7月20日木曜日 7日目

昨日の雨で一日動きを取れなかった焦りは、二人の男を日の出と共に行動を起こす要因ともなった。

早朝の寒霞渓の展望広場には人の歓声は無く蝉の鳴き声が響いているだけだった。

男たちは登山道を足早に下って行く。

会話は無くただ目的地を目指した。

三回目ともなれば迷うことなくそこまで進める。

洞窟の中へそろそろと入り、岩の隙間に存在していた箱を見て安堵へと変わった。

「ありました」

若い男は吐息と共に言葉を吐き出した。

「よしよし、じゃあ、はじめよう」

男が声を掛けると若い男は頷いて、肩にかけていたバッグを地面に置いた。

そこから鈎棒を手に取る。

隙間の木箱に手を伸ばしそれを引っかけて引っ張る。

箱はそれなりの重量があった。

そのまま力いっぱい引き寄せる。

地面と木箱の擦れる音がして、ガタンと転がり若い男の足元に木箱は姿を現した。

30センチ四方の均整の取れた箱はやや腐食はあるものの原型を留めていた。

「おお、よしよし」

男は声を上げると箱に近づいてそれを引きずって通路に運んだ。

「あと二つありそうです」

若い男は、ヘッドライトで隙間を照らして、次の木箱に手を伸ばした。

「どうする? ここで開けるか?」

「そうですね、箱のまま運ぶのは不審に思われるでしょう」

二つ目の箱は小さくあっさりと引っ張り出せた。

「じゃあ、あけるぞ」

男は鈎棒で箱を開け始めた。

小さな箱は軽く、揺すってみるとカシャカシャと金属が擦れる音がした。

「置いときます」

足元にそれを置くと若い男は最後の箱に鈎棒を引っかけた。

バキッ、バキバキという音と共に男が奇声をを上げた。

「うううおおっ」

「どうしました?」

男の方を見ると、布に包まれた物体を持ち上げていた。

「おい、見ろ」

布の陰から姿を見せたそれを見て若い男は声を失った。

「………」

「やったな……ハハハ」

「はい、やりましたね……」

「とりあえず、こいつは仕舞って次の箱を開ける」

男はバッグの中からタオルを取り出して、手際よくヘッドライトに反射して輝く物体をくるんだ。

そしてそっとバッグの中に仕舞った。


「これで全部ですね」

若い男は三つ目の箱を引っ張り出した。

大きさは最初の箱と同じくらいだが重量は軽かった、

足元まで引き寄せ、それを開け始めた。

男は小さな箱を開ける。

洞窟の中に木が砕ける音が響く。

小さな箱の中身も男達にとっては満足いく代物で、男はそれにライトを当てて顔の間近で見ている。

「それはなんだ」

男はそのまま、若い男に尋ねた。

三つ目の箱の中身は、本が数冊入っていた。

一冊手に取ってみたが、文字は判読できない。

木の箱の中に入っていたとは思えない保存状態。

「何でしょうね? 書かれている内容は」

男も覗き込むが、

「俺にはさっぱり分からん」

首をふるだけだった。

「内容によっては、価値が出るかもしれません」

「そうか、そうだな」

男は箱の中の残りの本をバッグに仕舞い始めた。

全てのお宝を飲み込んだバッグを優しく撫でている。

若い男は工具を片付けながら岩の隙間を覗き、取りこぼしがないか確認した。

「抜かりはないようです」

「じゃあ、行くか」

男はバッグを肩にかけると、

「ここを出たら祝杯を上げようじゃないか」

上機嫌な男はいつになく陽気に話した。

「パフェですか?」

「おお、それもありだな」

洞窟に二人の男の笑い声が響いた。


駐車場の車に戻り、助手席に座った男はエアコンの冷気を浴びて無言のまま膝の上のバッグを撫でていた。

若い男は、フロンガラス越しの空を見つめた。

先祖代々が成し得なかった偉業を達成し、報われた苦労が実りを成したことに感動していた。

「やりましたね……」

ハンドルを握る手の上に頭を乗せると、涙が零れ落ちた。

「頑張った、ありがとうよ」

男は若い男の背を軽く叩く。

そして、バッグのファスナーを開けて、成果の一つを取り出した。

それはペンダントで掌ほどの大きさのもの。

円の中に六芒星が象られ日の光を浴びると金色の輝きが増した。

「純金だろうか?」

そう言って若い男に手渡した。

男はもう一つ取り出す。

それは円の中に五芒星が象られている。

「専門家に鑑定して貰わないと、何とも言えませんが、この光沢、滑らかさ、重さ、本物でしょう」

若い男は手の上でそれを擦りながら話した。

「これは、二人で分け合おう、お前どっちがいい? 決めていいぞ」

若い男は自身の手の上にあるそれと、男が持つそれを見比べる。

「そっちがいいですね」

「よし」

男は若い男とペンダントを交換すると、首から下げた。

「どうだ、似合うか」

その様子を見て、若い男も同様に首から下げてみた。

男はカバンの中から、バスタオルに包まれた物体を取り出した。

タオルをめくると艶のある鈍い輝きを纏った黄金が姿を現した。

30センチはあるであろうそれはずっしりと重たい。

「マリア様か…で、観音様か……いや、二面あるな顔が……」

男は、若い男の方に黄金の像を向けて見せた。

「ほんとですね……十一面観音とか、阿修羅なら聞いたことがありますが……」

二人の男が黄金の像を見つめていた。その時、車内が光に包まれた。


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