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89再会は焼肉の味




 周りをよく見ればチャッピーも部屋の隅に何故か無印◯品の人をダメにするクッションに寝っ転がっているし、



「おい。


 焼き肉すんぞッ」



 部屋のドアをいきなりノックも無しで開けたのは当然アジェスで、その足元には肉や野菜が乗った銀のトレイを背中に載せたレヴもいる・・・



「あれ?


 どうしてこうなったの?」



 そして小皿の横に配置されたエ◯ラ焼肉のタレを見て思わず目が点になった。




 ×××




 あの事故の後、約束通りソフィア達は異世界の里奈の元にやって来ては回復魔法を掛けては帰っていくのを繰り返してくれたのだ。


 その甲斐もあり半年後には後遺症もなく全快し、その時点で彼らは完全に異世界に帰って行った。



 その後里奈は一年浪人したが、無事大学へ進学。



 卒業後は趣味の園芸がきっかけでビオトープ管理士となり大手建築会社に就職し、職場結婚を果たして一

男二女に恵まれて幸せで忙しい人生を送った里奈。



 実はその頃になると異世界での出来事は事故の影響で見た夢だったのではないかと疑っていたのだ――



 定年後は夫婦で熱海に家を買い引っ越しをしてゆっくり余生を送って居たはずなのだが、何故か又転生してしまった。



 しかも眼の前の皆は若いままだし、自分の姿はまたもやリーナ。



「どうしてまたリーナに生まれ変わっちゃったんでしょう?」



 それを聞いて、全員が一瞬



「「「「え?」」」」



 と驚いたが、ああ。と頷いた。




「そもそも、リーナは里奈さんの生まれ変わりだから、貴女が幾つで死んでも関係ないのよ」



 ソフィアがうっとりするような微笑みを見せる。



「はぁ―、眼福♡」



 里奈―― ソフィアたんシンパガチ勢、待ったなし・・・


 話を聞け。




×××




 「成る程そういう事だったんですね」


 は~、と感心する里奈の左手には焼肉の乗った皿。


 当然だが右手には箸である。



「ま、里奈さんの意識がこちらで覚醒するかどうかっていうのは分からないままだったんだけど。


 リーナとして事故の直後から以前通り北の砦で真面目に仕事してたみたいだし。


 ただ性格がね?」


「私、一年ほど記憶が曖昧なんですけどおかしかったんでしょうか?」



 ちょっと心配である。なにせ元のリーナの性格が()()なので・・・



「ううん、元のリーナより里奈さん寄りだったみたい。


 砦の人達には素直だから可愛がられてたみたいよ」



 ホッと胸を撫で下ろす里奈。



「良かった~。


 リーナとして生きてきた記憶もちゃんとあるんですよ不思議ですけどね。


 王都に帰って実家に行った時も両親も弟も自然と家族だと思ってましたし。


 これってリーナと私が元々一人の人間だったって証拠なんでしょうね〜」



 周りはウンウンと頷いている。



「ああッ! そうだッ!」



 急に思い出してガバリと顔を上げる里奈。



「私を跳ねたプ◯ウスの人、ソフィアたんの元会社の人だったんですよ!」


「うん、知ってる」


「あそっか、何回か病院に来てましたもんね。


 自動車保険で示談金とか諸々の事はしてくれたんですけど。


 会社で重大な失敗したらしくて結局会社は辞めたらしいですね」



 ――ああ。成る程アレかな――



 と。三人が悪い顔に一瞬なった。



「それと、何か会社内の情報を海外に売ってたとか労働基準法違反だとか、雇用契約不備とかメディアに叩かれまくって会社自体が傾いて他社に吸収合併されちゃったみたいです。


 私がプ◯ウスをぶつけられてから10年くらい後なんですけどね」



 そう言って彼らの顔をふと見ると、ニヤニヤ笑っているのが目に映る。



「やっぱり皆様の仕業ですか?」


「うん、まあね。


 社長室とか秘書室の金庫をめっちゃ漁って、証拠資料を一杯コピーしたやつを新聞社や雑誌社に匿名で届けて、雇用契約書類作った弁護士事務所にもとばっちり行くようにSNSでも匿名で拡散しちゃった♡」



 テヘッと舌を出す王太子妃の可愛らしさに悶える里奈。


 思わず鼻を押さえてしまう・・・



「でも全部言い出しっぺはシルファなの」



 ね? と隣で彼女の腰を抱く王太子を見上げる姿は、コアなファンの間で流行った同人誌の神作家の描いた幻のスチルそのもので・・・


 思わず両手を組んで、



「神・・・」



 と呟く里奈。


 それを横目に見ながらアジェスが新しい肉を鉄板に投入し菜箸で上手に焼いていく。



「シルファはソフィアが自分以外の男の名前をいつまでも覚えてるのが嫌だっただけだろ」



 そう言う彼は呆れ顔だ。



「当たり前だ」



 シレッと小皿に焼き肉のタレの追加を注ぎ入れて甲斐甲斐しくソフィアに渡すシルファ。



「心残りが本当になければそいつ等の名前だって忘れてる筈だ。


 でもソフィアは忘れてなかった。


 自分の生前の名前は忘れてたのにな」



 ――だから、会社まるごと制裁ですか?!

 

 しかも違う世界なのに?



「流石ヤンデレ王太子・・・」



 思わず小声でボソリと口にしてしまった里奈は悪くないと思う。





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