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86憧れのゼクシィ




 「アレ? ここどこかしら?」



 見覚えのある木の目がはっきりした天井。


 窓のピンク色に花柄のカーテンは殺風景な部屋を少しでも可愛くしようと思い、王都の両親に送って貰ったはずのモノ。



「頭いたぁ・・・」



 妙に喉も乾くし、頭も痛い。


 風邪ね、多分熱でもあったのかもしれないと思いながらベッドの脇にある水差しに手を伸ばして金属のマグカップに水を入れた。



「なにか大事なコトを忘れてるような?」



 机の上に置いてある手鏡を手に取り、自分の顔を確認した。



 ――派手な顔だわ。でも美人――



 え? 



 何処からか声が聞こえた様な気がして周りを見まわしたが、誰もいない。







 リーナの所属する北の森の調査団は、週休二日制で祝祭日は持ち回りの休暇がもらえるので、思っていた以上に休みが多い。



 ――今度の休みに王都の両親の元に帰って顔を見せて来ようかな・・・



 そんな事を考えてフフッと何となく笑った。




×××




 学園時代の生活費という名目で渡されていた小遣いは金利の付く貸付金だったが、昨年王都で行われた御前試合の優勝者に報酬として与えられた賞金で全て支払い、返済を終えた。


 そのお陰で騎士団を退団することも可能になったと事務官に説明されたが、彼女は退団せずにそのまま調査団で働く事を希望した。


 理由は普通の危険の少ない仕事より給料がかなり良いので、金銭的な余裕も生まれ王都にいる両親に仕送りが出来るようになったからだ。


 リーナには6歳離れた弟がいるのだが、家計にそう余裕もなはずだと思いつき給料の約半分を送り始めた。


 しかし娘が汗水垂らして働いて得た給料を使うのは勿体ないと父親が貯金していたらしく、母がいつでも使えるようにしたと書いた手紙と共に銀行の通帳が先月送られてきた。



 彼女の両親は魔法は使えないが、弟には魔力がある。



 学園に通うなら金はいくらあっても良いのだから

弟のために使ってくれと伝えるつもりで、リーナは今回その通帳を実家に持ち帰る事にした。


 そもそも魔獣が現れる北の森の砦で暮らしていると金を使う様な暇も場所も無いのだ。



 「さてと、忘れ物はないわよね」



 肩から掛けた鞄の中身をチェックして転移門へ向かう。


 事務官に前もって転移門の使用申請さえしておけば、王都に帰るのにひとっ飛びで済むため転移魔法の使えないリーナは前もっての申込みは欠かさない。


 今日も1週間前から予約をしておいた。



 「転移門で王都に行きたいんでお願いします」



 リーナの声がけで門番がひょこっと顔を出す。



「おお。


 リーナちゃん今日は実家に帰るのかい?」


「はい。


 久しぶりに両親と弟に会って来ますね」



 ヒゲのオジサンがウンウンと頷きながら



「王都は今、人が凄いからね。


 気をつけるんだよ」


「え?


 何かあるんですか?」



 コテンと首を傾げるリーナに向かってオジサンが笑った。



「王太子殿下の婚姻式だよ。


 知らなかったのかい?」




×××




 「ね~、まだそれ見てるの?


 もう衣装も決まったしチャペルは王都の大聖堂って決まってるんだからもういいじゃん」



 部屋の入口で愛しい婚約者が腰に手を当てて、こちらを拗ねたような顔をして見ている事に気がついてシルファ王太子は『ゼクシィ』から顔を上げた。



「海のチャペルウェディングもいいんじゃないか?」


「王領区の海は綺麗だけどシードラゴンをどうすんのよ?


 そもそも海の見える丘に教会を作らなきゃ駄目じゃないの。


 そんな所全部砦が建ってるよッ」



 呆れ顔でシルファの座るソファーの近く迄やって来て彼の横にちょこんと座るソフィア。



「そうだけどな。


 一生に一度だからやってみたいかなって」


「んも~。


 ウェディングドレスを真っ白にするだけでも周りを説き伏せるのに大変だったのよ?


 何言ってるのよ~!」



 


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