8ベヒモス生け捕りできるかな?
「魔物は知能が高いから、本人に聞けばわかるんじゃないの?」
――魔物は人か? という疑問は横に置いといて。
「「「「「・・・」」」」」
「ソフィア、そんな事が可能な相手じゃないと思うぞ・・・」
呆れ顔でアジェスが諭す。
「そんなん、やってみんと分からんやん?」
「出たな謎の方言・・・」
「ベヒモス生け捕りにしてみるね♡」
怖い、このお嬢ちゃん怖すぎる・・・
その場の兵士は全員良くない顔色になり引いたらしい――
×××
宣言の通り生け捕りする気満々で廃墟ダンジョンに突き進んでいくソフィア嬢。
彼女の進む先には蛍のような小さくて柔らかな光が先導するようにいくつも拡がっては先を照らす。
「お嬢の光魔法便利ですよねえ。
光量調節も可能な上に壁に引っ付いてくから、壁全体が発光する・・・」
付いて行く小隊長が感心しながら、周りを見回す。
光魔法で壁も床も自然発光しているのだ。
「こういうの、どういう発想から生まれるのかが分かんねえ・・・」
アジェスの呟きに、某アニメ映画◯ピ◯タですとは答えられずに口をムニムニさせてしまうソフィアである。
魔法は発想力で発現するモノらしく、前世で見たり読んだりしたモノは今生では比べものにならないくらい魔法の発想の元になるものばかり。
多分釣り合う魔力量さえあればソフィアは世界最強も夢では無い。
因みに彼女の魔力量は大雑把に部屋が余波でぶっ飛ぶ程度と書類上ではなっているがそもそも本気で魔力を測定時に流した訳ではない。
しかも10歳以降、検査の度に水晶がことごとく破壊されるので正しい魔力量は未だに謎のままである。
魔法少女どころか魔王かも知れない。
×××
「居たわ」
岩陰から最奥の部屋を覗き込むソフィアの目の前には、小山のように大きなゴツゴツした体つきのサイのお化けのような生きものが4本足で立って何かを食べている。
まあ、多分魔石だろうが・・・
「ありゃ、ただのでっかいクロサイじゃん・・・」
「「「「「?」」」」」
因みにこの世界にはシロサイだろうが、クロサイだろうがどちらにしても存在しない。
×××
時間は少しだけ巻き戻る――
「ソフィア・・・」
手を伸ばしたが愛しの婚約者に届くこと無く、眼の前で消えてしまった彼女の名前をポツリと呟くのは、シルファ王子である。
「やーだ、野蛮ね。
討伐に令嬢が行くのかしらぁ」
王太子の肘にぶら下がり、婚約者の元へ行こうとするのを阻止するが如く袖を引っ張って引きずられても付いてきた御令嬢、つーか、不敬罪で断罪されそうなリーナがフフフと笑いながらそう呟いた。
「・・・ お前は騎士団に入隊するのだろう?」
「え? ええそうですよぉ、魔術部門です。
私、魔力がとっても強いのでぇ・・・」
シナを作りながらすり寄ってくる彼女を振り払う王子様。
「きゃっ。
ひっどおいぃ」
尻餅を付いて泣き真似をするリーナに冷たい視線を向けるシルファ王子。
「会場に入場するまでのエスコートはしてやっても良いと伝えたが、会場入りした後はすぐに離れるように申し伝えたはずだ。
そして貴様に敬称すらもない愛称呼びを許した覚えなど全く無いはずだが?
しかも私の婚約者に向かいぞんざいな口のきき方をする事を誰が貴様に許したのだ?」
「え?
ええっと・・・」
「その程度の作法と知能の低さでよく騎士団に行けることになったものだな」
シルファにジロリと睨まれるが、大してダメージを受けていない彼女はツワモノかも知れない。
「え、だって・・・
魔力が強くて即戦力になるからって言われて・・・」




