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60魔物レヴィアタン




 穴から吹き上がる水蒸気が収まり始めた頃、穴の中から真っ黒いマントを羽織りフードをスッポリ被った背の高い人物が急に現れた。


 その頃になると、精神波攻撃を遮断する結界を魔術師達が大勢で掛けまくりで、大勢の人間は頭痛も無くなっていた。


 観客は殆どが外に避難していたが、闘技場内の選手達と騎士団長以下団員である騎士や魔術師達が穴を中心に距離を取って取り囲み警戒している中、ガチムチ陛下が大声を上げた。



「おい、その、賑やかなお前達、って一人しかいねえじゃねーかッ!!


 てめぇ、そこの魔術師ッ!


 何だって闘技場を破壊したんだッ!


 お陰で給料とボーナスの査定ができなくなったじゃねーかっ!!」



 陛下。


 身も蓋も無い言い様である。



『や~、ごめんねえ。


 そんな気はなかったんだけど』



 黒いフードの人物が片手を挙げた。



「そうか。


 じゃあさっさと帰れッ!」



 ふんぞり返って腕組みをしたまま言い放つイケオジ。



 思わず全員が陛下の顔を二度見する。



『や、そういう訳にもいかないんだよねー。


 アンタは強そうだけどサ。


 もっと強そうな魔力持ちがいるからここにワザワザ来たんだよね』



 そう言いながら被っていたフードを脱ぐ。


 30歳前後に見える黒髪の眼鏡をかけた男、例の冒険者ギルドの総務主任である。



『ベヒモスをテイム出来るくらいの『ヒト』が生まれたンでしょ?


 その子が目当てだからサ』



 ニヤリと彼の口角が上がる。



『え?


 ベヒモスをあのガラの悪い冒険者達がテイムしたのか?』



 同じ人物から素っ頓狂な声が聞こえてくる。



『あ~もう。


 オジサン黙っててよ』


『誰がオジさんだよッ!』


『アンタに決まってんじゃ~ん』



 同じ人物の口から次々に違う声がするため、取り囲む騎士や魔術師達は困惑中だ。



『あーもうッ!


 内輪揉めしないッ!


 来い『レヴ』ベヒモスを探せ』


『『内輪じゃないッ!!』』



 男が黒い手袋を着けたままで指を鳴らすと共に、穴の中から瑠璃色の丸い塊が飛び出してきた。



『呼んダカ?』



 丸い塊はまるでダンゴムシが身体を伸ばすように突然ギュルンと伸びてワニの姿になる。


 但し。


 子供の玩具で『ピーピー』音の出るゴム製のワニのおもちゃっぽいので迫力は・・・


 はっきり言って無い。



 全長は約30センチで前後左右の足の付け根の辺りにちょっと先の丸い棘が付いている。


 鼻先にも3つ縦に並んだ棘があり、目は猫の目のように金色で縦に細い瞳孔は黒く(まぶた)の目尻辺りに黒く長い睫毛が生えている。


 背中の色は瑠璃色(るりいろ)で、腹側はどうもよく見えないので分からないが赤色のようだ。



『ベヒモス。


 確か二イル。


 アソコだ』



 そう言うと短い足でノソノソ歩きはじめ国王陛下のすぐ横、王太子に腰を抱かれているソフィアの方へ向かってどんどん進んでいく。


 ソフィアの薄いラベンダーブルーのドレスの裾辺りに立っていたチャッピーが



『思い出した。


 アレはレヴィアタンだな。


 フン、あやつも元気そうだ』



 そう言いながら足をトントンと踏みしめた。






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