59大・失・敗
「何が降ってきたのかは分からんが観客席の防護壁を強化しろッ!
場合によっては観客を退避させ、選手も含め騎士団は全員警戒態勢をとれッ!」
陛下の指示に従い騎士団長以下、近衛達が廊下に出て指示を飛ばし始める中、侍女長が王族を連れて帰る為の転移魔法を展開するが・・・
「あ、伯母様、私達自分で帰るので先行ってて下さい」
呑気な声でそう言いながら手を振るソフィア達――
ガチムチ陛下も混ざってるのが最早、草。
「あら、そうなの?
じゃあ先に帰るわね。ほらマーサ行くわよ」
「え、王妃様、ソフィア様をお連れしないと・・・」
顔面蒼白の侍女長が食い下がるが
「ほら、王妃命令なんだからとっとと跳ぶのよッ!」
王妃様が笑顔で右手をグッと握り拳にしたのを見て、慌てて侍女長が王妃を連れて移転した。
「あれ? 王妃様?」
思わず首を傾げるソフィア。
つい先程までソフィアにとっての王妃は儚げで、たおやかな淑女だったのだが・・・
「考えるな。
後々面倒だから」
横で彼女の腰をガッチリ抱くシルファがボソリと呟いた。
×××
『や~ もう君等、ホントに馬が合わないんだね』
『こんなオッサンと相性がいい訳無いじゃないッ!
冗談じゃ無いわよッ』
『誰がオッサンだ!
貴様こそ小娘だろうがッ!
俺はまだ30歳過ぎだッ!』
『誰が小娘よッ
18歳の乙女に向かって何なのよッ!
30歳過ぎなんかマジでオッサンじゃんッ!』
『あ~あ~、五月蝿いッ
喧嘩しないッ
君等が揉めるから着地失敗したんだよ分かってるの?』
『『うるせえッ』』
『ほんッとに人選ミスだよ』
『『お前が悪いんだろッ』』
穴の中から色々な声が聞こえるが、全て頭の中に反響するように直接聞こえてくる為、思わずその場で全員が頭を抱えた。
どうも魔力のある人間には聞こえるようで、退避中の平民達は普通に動いているようだが貴族達は頭を押さえているのが見えた。
「ねえ、穴の中に人が居るのかしら? 3人?」
両手で頭を抱えて頭痛を堪えるソフィア達。
「会話から推察するとそのようだな」
「痴話喧嘩が頭に響いてうるせえ」
『・・・いや、アレは一人だ』
チャッピーの呟きに全員が驚いて足元の魔物を見つめる。
『正確には身体は一つで、精神体が三つ? というところだろうが。
魔力が各々独立して反発しているようだな』
「え? 何それ?」
それには答えず続けるチャッピー。
『主。
あやつらも魔物を連れているぞ。
恐らくだが我と同格のヤツだろう』
思いがけないチャッピーの言葉に全員が
「「「「は?」」」」
呆然とした表情になった。
『行くぞ主。
あやつらの狙いは間違いなく主だ』
チャッピーよ。
お前も脳筋か・・・
気張るサ◯ちゃん=チャッピー。




