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58/120

58隕石ですか?




 昼食を兼ねた休憩時間が終わり準決勝を決める午後の部が始まった。



「流石に見応えがあるというか」



 魔術師側のブースは雨が降ったり、火の玉が飛んだり大風で相手が飛んだり雷が落ちたり・・・


 とにかく見た目だけはその場所だけがまるで天変地異が起こっているようだ。


 魔術師は高位魔法を使える術者になってくると魔法を発動させるの呪文をを唱えない(無詠唱と云われる)ので本人達はほぼ黙ったまま戦うので本人の声は周りに聞こえることが無いが、エフェクトだけが派手派手しい。


 比べて騎士や戦士のブースは互いの武器がぶつかる音の方が圧倒的に多く、掛け声や怒声も聞こえるので意外と賑やかというか兎に角うるさい。



「対照的だわ・・」


 

 両方の試合を交互に見比べ眉を寄せるソフィア。



「お、そろそろ人数も絞れてきたな」



 オペラグラスを覗き込みながら陛下がそう呟くと同時に、闘技場全体が大きく揺れ



『ドーーーーン!』



 と、何かが地面にぶつかった様な音が轟いた。



「え、なに?


 魔術師の魔法? それとも地震?」


「うわ、あれみろ!


 大穴が開いちまってるぜ」



 アジェスが指差す上方、つまり闘技場の屋根に穴が出来て青空がそこから見えている。


 慌てて穴の真下を見ると地面にも穴が空いて、そこからモウモウと水蒸気が上がり始めたのが見えた。



「う~わ?!


 隕石でも降ってきたの?」



 観客席も、試合中の選手達も全員が地面に開いた穴をこわごわ見つめているのが見える。


 のそり、とソフィアの膝から床に降りていくチャッピー。



『来たようだな』

 

「え、チャッピー穴の中に何があるのか知ってるの?」


『ウム。


 恐らく我に制限をかけていたヤツだろう』



 チャッピーの言葉にその場にいる全員が



「「「「「え?」」」」」



 と思わず首を傾げた。



『不思議か?』


「だって、チャッピーに関する記録が・・・」



 シルファが見つけてきたベヒモスに関する目撃情報を記録した資料は1番古い物で900年程前のものだった。 


 ということは・・・



「それだと千年位は前の『ヒト』って事よね?」



 この世界でも普通の人なら寿命はどう頑張っても100年だ。


 900年・・・


 最早それだと『人』ではないだろう。



『そうだな。


 我も既に記憶の彼方だが、恐らく(あるじ)達とは根本的には違う生き物だろう』


 「「「「「・・・」」」」」



 その場の全員の視線が、モウモウと水蒸気の上がり続ける穴に集まったのは云うまでもない――




 ×××




 一方こちら、闘技場で出番待ちのベンチに座っていたリーナの中の人である柏田里奈である。

 

 ――ひえええッ!?


 こんな場面ゲームにあったっけ?


 いやいやいやいや、もうエンディング終わってるのよねッ?!


 ・・・でもなんか覚えがあるような無い様な?!



 自分に合わせてチューンナップされたロッドを握りしめて、水蒸気の上がる地面を凝視していたが・・・



「ひぃっ!!」



 穴の中から真っ黒な手袋をはめた手がニュッと現れたのに気がついて、隣りに座っていた同僚の騎士に思わず飛び付いた。



「ど、どうしたよおい」


「て、て、て、てぇ・・・」


「?」


「手が出てきたあぁ~~」



 大穴を指差しながら縋り付く里奈。



「は? 手?」



 騎士は目を細めて穴の方を見つめる。



 ――近眼かよアンタッ!――



 里奈の心の声である。





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