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57紛れもなく脳筋




 試合はサクサクと進む組もあれば、中々決着がつかないまま判定で勝負が決まる時もあったが概ね順調に進み、丁度昼食の時間前に午前の部が終了となった。



「凄いね。


 こんなに大勢に魔術師の試合を見る機会なんか滅多にないから、興奮しちゃった」



 キラキラと青紫の瞳を輝かせて興奮で頬を染めるソフィア。



「ソフィアちゃんが意外に楽しめてるみたいで良かったわ。


 試合に出たいって言ってるのを聞いた時は卒倒しそうになったけど」



 シルファ王子とよく似たプラチナブロンドの美貌の王妃がニッコリ笑ってソフィアとシルファの顔を見比べる。



「スミマセン・・・」



 ちょっとバツの悪い顔をするソフィアの横で



『卒倒なんぞしてないから気にするな』



 とコッソリ耳打ちする王子殿下である。







「昼食をお運びしました」



 侍従長の声がけで昼食の為に移動する5人。


 王族用観覧席は闘技場の上の方、屋根近くに宙吊りになっている個室で、観覧用のソファーのある部屋の中にあるドアをくぐると食堂が完備されている贅沢な作りになっている。


 食堂の中央には大きな楕円形のテーブルがあり、その上にビュッフェ式の軽食が並んでいて各々好きな物を皿に載せて食べるように準備がされていた。



「う・・・


 ちょっとしか食べられない・・・」



 思わずご馳走を眼の前にして呻くソフィア。


 侍女長の指示で締め上げられていたコルセットは、若干だけシルファによって緩めてもらった(魔法で!)が心にゆくまでデザートを堪能できるかと云われればちょっと無理そうだ。



「午後からの試合は準決勝に進めるツワモノ揃いだからな。


 白熱するぞ」



 ガチムチ陛下は王妃の腰を抱いて嬉しそうに鼻の下を伸ばしている。



「どうだソフィアもアジェスも初めて見た御前試合は?」



 果実水を王妃に手渡しながら初参加の二人に感想を聞く陛下。



「「参加したくなります」」



 ――コイツらマジで脳筋である・・・



 ご存知のように別に筋肉に頼るだけが脳筋ではない。


 思考型脳筋だって存在するのだ。



 そしてソフィア自身は、自分は決して脳筋では無いという勘違いをしている。


 多分。




 ×××




 食堂のソファーの上で大人しくお座りをしていたチャッピーが、急にソワソワし始めたのに気が付く王族5人。



「あら、チャッピーちゃんが急にソワソワし始めたわ・・・」



 王妃様、既に伝説の魔物をチャッピーちゃん呼ばわりである。



「どうしたのチャッピー?」


『解らぬ。


 何かがおかしいのだが・・・』



 首を傾げるチャッピーは鼻面にシワが寄っているように見える。



『我の魔力が何者かによって探られている気がするのだ』


「「「「「?」」」」」


『こんな体験は初めてなので不快なのだが。


 理由が解らぬ』


「誰がそんなことしてるの?」


『分からぬが・・・


 ひょっとしたら(あるじ)だろうか?』



 全員がソフィアの顔を凝視する。



「違うわよッ!」



 口を尖らすソフィアに向かい



『今の主ではない。


 以前の、いや、違うな。


 我にとっては創造主かもしれぬ』


「ひょっとして、チャッピーに制限をかけてた人?」



 彼女の問いかけにチャッピーはムッツリとした態度で頷くと、再びソファーに不貞腐れた様に寝転がり目を閉じてしまった。





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