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43 盗み聞きの可能性




 「あの冒険者達はチャッピーを見ていないから最終的にベヒモスがどうなったのかは知らないのよね?」


「まあ、そうだね。


 但し俺らの会話を盗み聞きしてた可能性はある」



 ん? と首を捻るソフィア達。



「あのボール型魔道具の中にベヒモスを閉じ込めたという会話を廃棄ダンジョンの入口でしていただろう?」


「あ、そう言えばそうか」


「もしあの中に風魔法の使い手がいたら確実に聞かれている筈だ」



 風属性魔法が得意な魔術師はどんな小さな音でも拾い上げる事が出来る為、捕縛騒ぎの真っ最中でも会話を盗み聞き位は余裕で出来る筈なのだ。



「失敗したなあ~」



 むうッ、と思わず口を尖らすソフィア。



「王太子に対する不敬罪で全員一生牢屋に繋いでおくか?」


「経費が掛かるじゃない」


「じゃあ、首を跳ねるか」


「もー。


 冗談言ってる場合じゃないでしょッ!」



 ――いや、その人本気だから――



 執務室にいた辺境伯の部下達の顔色が白くなる。


 そんな小隊長達を他所に突然いい笑顔になったのがアジェスである。



「なあなあ、あいつ等全員ソフィアの作った魔道具の中に閉じ込めとくのはどうだ?


 食費もいらねえし経費も掛かんねーぞ!」


「ああ、それはいい手かもしれないね既存の牢屋が足りなくなる心配もないし」



 辺境伯も彼の提案にニンマリ笑う。



「そうか、その手がある。


 ソフィの説明だと違う次元にこの世界と同じ物を作ってるんだろう?」



 表情は変えずにソフィアの顔を覗き込む王子。



「うんまあ。


 時間を止めるのがチャッピーに良いかどうかがわかんなかったから疑似世界にしたのよね。


 人とか建物がないだけでほぼ一緒のハズ。


 あ、狭いかもしれない。


 お手本が辺境伯領だけだったから。


 チャッピーあっちの世界に行っててどうだった?」



 ソフィアが膝に座るチャッピーに問いかける。



『確かにこの世界の森と全く同じだったが我には魔素の存在が感じられない不思議な世界だったな。


 生き物も普通の動物しかいなかった』


「魔獣がいないってこと?」


『そうだな。


 魔素が大気中になければ獣は魔獣には変化しない。


 そのせいで普通の生き物しかいなかったのだろう』



 首を傾げ考えながらチャッピーが答えるとソフィアが眉根を寄せる。



「アレ?


 別世界になっちゅうってこと?


 どこで間違ったん?」



 首を傾げて考え出すお嬢様を一瞬遠い目で見たあとで、隊長以下魔術師も騎士達も侍従も顔色が悪いまま彼らの会話を聞き流す事に徹することに決めたようだった・・・




 ×××




 「王都ギルドに抗議文を送る。


 捕虜はそのまま留置場に留め置くことにする」



 色々話し合った結果、ギルドに異議申し立てをしてから相手の出方を見ることにに決まったらしい。



 小隊長以下兵士達が普通の措置になった事で不思議な顔になる。



「良いんですか?」


「ああ。


 今は魔力無効化の手錠を外さないまま牢屋で良いだろう」



 辺境伯が侍従から魔法便の巻物を受け取りながら頷いた。



「いつでも放り込めるからいいのよ。


 それにね、◯ン◯ターボールの中では魔法が使えない可能性がある事が分かったから、せめて野営道具ぐらい渡さないと。


 野垂れ死にされたら罪悪感が湧いちゃうからね」



 お嬢様がいい笑顔で締めくくった・・・








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