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22過去 魔力の色 〜王子視点⑤〜




 因みに彼女に前世の記憶がある事は誰にも教えていないらしくて



 『二人だけの秘密だからね!』



 というパワーワードにちょっとだけドキリとした。


 どうして俺にそんな大事な秘密を教えるのかを聞くと



「うーん?」



 と首をかしげるソフィア。


 お前、そんなんで大丈夫か?




×××




 転移魔法は高度な魔方だ。


 魔法使いに本人に空間魔法に対する適正があっても膨大な魔力を消費する為本人の魔力量が問題になってくる。


 その問題をクリア出来たとしても、本人が行った事の無い場所には普通は転移できない。


 転移門なら固定式なので可能だが。


 ところがソフィアの転移魔法はその常識がそもそも破綻しており、会いたい人を思い浮かべ行こうと思うだけでその人のいる場所に転移できる。


 但しコレにも制限があって本来は直接会ったことのある相手限定らしいが俺の私室に最初現れた時は、会ったことも無い筈なのに俺の名前や間柄を(国王)に聞いて会ってみたと考えただけで来てしまったのだという。


 叔父は妻子を王城どころか王都に連れてくること自体を極端に嫌う為ソフィアが王城に来たことは産まれてから1度もないし、当然俺もソフィアが王城に来た事が無い事ぐらいは知っている。


 ソフィアの父が王都に来たくない理由は実にハッキリしていて、俺の母である王妃を含めた大陸三大美女の面々は全員が『傾国』と謳われるくらいには美しく、彼女達が若い頃は国を跨いでの争奪戦が凄まじかったらしい。


 無事にこの世界でも権力と武力を兼ね備えた夫の元に其々が嫁ぎ平和になったらしいが、その頃の名残もあって叔父は王都には近寄らないと聞いているので例えお忍びであってもその娘であるソフィアが王都に来るなんてこともあり得ないのだ。


 だから何故自分と面識の全く無かった彼女が俺の部屋に現れたのかが本当に謎だったのだが。




×××




 「だからね、会ったこともないのに私がココに来れたってのは、何か理由がある筈って思ってたのよ」



 食べかけのアタリメを指でつまんだまま首を傾げると、サラサラしたベリーピンクの絹糸のような髪の毛が流れるように肩から滑り落ちていく。



「理由ねぇ・・・」



 隣で力説する彼女の髪を掬い取って、三つ編みにしてみる。



 髪紐が欲しいな・・・



「私、父様と母様の魔力の色が一緒って気がついたんだよね」


「魔力に色があるのか?」


「見えないの?」


「知らん。


 見えたこと無いから」


「えー、じゃあやっぱり私だけかなぁ見えるのって。


 ひょっとしてコレって転生者特典かなぁ?」


「特典?」



 風魔法を操って、机の引き出しを開け自分の髪紐をフワリと手元に取り寄せた。



「お~、上手だね」



 パチパチと小さく拍手する従姉妹。



「コレくらいはできるだろう?


 お前でも」


「ゼーンゼン」


「え?」


「シルファがやったみたいなコトしたら、まず引き出しがぶっ壊れるのよ。繊細なのは苦手でさ~」


「えぇ?!」



 驚いた。


 転移魔法を自在に使えるくらいに魔力があっても出来ないこともあるんだ・・・ 


 俺も彼女に出会う以前は確かにこういった繊細な魔法操作は不得意だったが、実はある特訓をし始めてからどんどん上手く出来るようになったのだ。



「人には向き不向きってのがあるんだよっきっと!」



 口を尖らしたソフィアにドキッとする。


 目を逸らして三つ編みにした髪の先に髪紐を結わえる。



「すご~い。


 シルファって繊細なの得意なんだね」



 俺が適当に編んだ三つ編みの先を持ち上げ見つめるソフィア。



「侍女になれそう」


「なんで俺が侍女になるんだよ」



 阿呆かコイツ。



「だってさ、髪の毛とかセットしてくれるの侍女の仕事でしょ?


 侍従も出来るのかなぁ。


 まあ、シルファは王子様だからどっちにしろなれないよねえ」


「俺が将来なるのはグレーン国王だよ」


「決められちゃうとつまんないよねえ~」



 そう言って肩をすくめる仕草はまるで大人のようだ。


 まぁ大人だった記憶はあるらしいが。



「私も将来絶対結婚するっ!


 て周りに決められちゃってるのがイヤだもん」



 首をコテンと倒して何故か顔を顰めるソフィア。



「・・・・ そうか」


「うん。


 前世でも結婚はしなくて仕事一筋だったもん。


 仕事し過ぎで死んじゃったけど」



「・・・」



 コイツ本当に阿呆かもしれん。



「そういや、魔力の色がどうとかいうのは何なんだ」


「あ、それそれ。


 仲のいい人って魔力の色が似てるんだよね」


「へえ~」


「シルファと私も多分似てるんだよ。


 自分のは手の平とかでしか確認できないんだけどさ」


「普通は? どう見えるんだ?」


「こう、体中を覆ってる感じで卵みたいな形してるよ」



 彼女は両手で俺の身体を覆うように形を作って見せた後で自分の手を俺の腹の辺りに持ってきて



「ほら、同じ色だもん」


「・・・ わからんが?」



 俺には分からないけれど、『一緒』がなんだか嬉しかった。



「だから私、簡単にここに来れたんじゃないかなって思うんだ」





無自覚に煽るソフィアたん。

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