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2王子様は浮気者?




 本日の主役の一人でもある王太子シルファは、滅多なことでは表情が変わることはない。


 しかし今は片眉を上げ若干不思議そうな顔になると小声で呟いた。



「ソフィア?


 何故一人で入場したのだ?」



 彼の従姉妹のソフィアも同じく卒業生であり、この夜会に出席しているのは周知の事実。



 ――ただしソフィアは飛び級制度を使ったので、2個歳下である――



 なのに彼女をエスコートもせずにシルファ王子は別の女性をエスコートしている。


 彼女の名前はリーナといい庶女、つまり庶民階級の少女である―― 因みに庶民階級なので姓は無い。


 彼女は優秀な魔法の技能を有しており、特待生として歴史ある王立学園に入学でき、今日卒業となったのである。



 卒業後就職先は一応この国では、エリートコースまっしぐらの王立騎士団の魔術部門だ。



「婚約者様をエスコートもせず放って置くなど、おやめ下さい」



 侍従の至極真っ当な言葉に慌てるように金色の髪にワインのような赤っぽい瞳の色をした少女はシナを作りながら、プラチナブロンドにサファイアのような瞳をした細マッチョ、イケメン王子の腕に自らのお手頃ポヨヨンサイズのバストを押し付けるように密着した。



「いやだぁ、侍従のオジサンったらぁ、今日は無礼講だって聞いたからぁ。


 シルにエスコートをしてもらったのよぉ」



 口を尖らせて言い募るリーナ嬢。


 侍従と袖にぶら下がる彼女を見比べながら、口を開く事無く片眉を上げるシルファ王子。



 それを見て分からない程度に溜息をつく侍従と、喜色を見せるリーナ。



「私はご注意させて頂きました。


 知りませんからね」



 それ迄腰を低くしていた黒髪の侍従は背をシャキッと伸ばして付け髭をサッと外し一礼した。



「あらぁ、シルの侍従ってこんなに若かったっけ?」



 黒髪に浅黒い肌は辺境民に良く見られる姿である。


 因みにソフィアの領地にはわんさかいるが、王都ではあまり見られない。


 元々隣国である帝国からの移民が多いが、難民というよりは



『王国のほうが暮らしやすそう~♡』



 位のノリで移民してくる貴族階級が多い。


 グレーン王国はその辺が元々めちゃくちゃ緩い上に、辺境伯本人が『人類皆兄弟』的に大全開で緩いため、数も多いだけである。



「殿下、言いましたからね~」



 付け髭をペシリッとリーナに投げつけてスタスタとホールの入口から出て行く侍従。



「ふ、不敬よッ!


 シルに向かってッ」



 一瞬呆けた後で、怒りで顔を赤くして怒鳴るリーナ。



 ――いや、投げつけられたのお前やん?



 周りの視線は冷たかった。




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