16危機一髪やで?
赤く光る両目がこちらを向いているのに気がついたアジェスが、焦ってソフィア振り返る。
「ヤバいアイツが気がついたみたいだぞッ!」
彼の言葉でその場の全員に緊張が走る。
彼は背負っていたクロスボウを下ろして構えながら矢を矢筒から引き抜くが、その横からソフィアが平気な顔で前に出た。
「あ、おいッ ソフィー!」
「「「「お嬢ッ!」」」」
周りが止めるのも聞かずに、何やら呪文をぶつぶつ唱えながら手の中のボールを片手で握ったまま、高く掲げるソフィア。
「・・・ 続きましてピッチャーソフィア・レイド・グレーン選手、振りかぶりました・・・
最後の勝負です!」
「「「「「「?」」」」」」
思わず全員が怪訝な顔で彼女を見つめた。
「出たッ!
マウンドの魔術師ッ!
いっけええ~~ ゲットだー!!」
掛け声とともに、正面にいるベヒモスに向かって紅白のボールが緩いカーブを描きながら飛んでいくと、
『ぺちッ・・・』
という、とてつもなく威力の低そうな効果音を立てて大きな額のど真ん中に当たってモンスターの足元にコロリと落ちた。
・・・その瞬間。
ソフィアを除いた全員の心臓が縮み上がったのは間違いない。
×××
同時刻。
ダンジョンの入口付近である――
「おう、なんだ、何だ、なんなんだよ!
おめえはぁッ!!」
そこはかとなく不潔そうに見える身なりの男が、突然現れた見慣れない民族衣装を着た青年を睨みつけながら背中のパルチザンに手をかけたまま額に縦筋を浮べたままで唾を飛ばす。
因みに。
この国で王太子であるシルファの絵姿は、人気舞台俳優の絵姿の売上額を大きく引き離してトップである。
その辺のちっちゃい女の子から妙齢行き過ぎて止まれなくなっちゃった淑女まで、幅広~く人気がある為、彼を知らなかったら非国民とまで言われるお国のアイドルである。
家によっては彼の推しグッズを祀った祭壇もあるらしいのだが、それはさておき。
そんな彼の顔を知らない時点で眼の前の連中は十中八九、他国民である事間違いなし。
辺境伯領の兵士達全員から、あっさり国外勢力であろうと勝手に推測されるに至っしまったのである。
「殿下、おさがり下さい。
奴等は恐らく他国からの流れ者にございますッ!」
「チッ どうしてバレた!!
こうなりゃぁ・・・」
賊が全員動揺したが・・・ 次の瞬間。
「「「「「きゃああああぁッ!?
いやーんッ! 服ッ服がぁあッ?」」」」」
パンツ一丁を残して全員の装備や服がバラバラと地面に落ちたせいで、叫び声を上げたのであった・・・・
――うわぁ、見たくねえわぁ・・・
兵達が全員うんざり顔になったのは言うまでもない・・・
「フッ。
未熟者め・・・」
シルファー王子がキメ顔で決め台詞を呟いたのは、お約束である。
お約束〜(つ✧ω✧)つ




