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この世界では16歳が成人だが結婚適齢期と言われる年齢は結構長く、それこそ30歳目前迄は何も言われることもない。
しかも平民は結婚も再婚も平気である。
魔物に襲われて命を落とす様な世界なので、誰の子であろうが皆で育てる風潮がある為だ。
そのためか年の差婚もあまり周りも気にしない――
なんて素晴らしい世界だろうと、胸の内で小躍りするリナ。
『頑張ってスタンさんをドキ♡キュン♡さえさせれば、両思いになってゴールインだって夢じゃないものッ!』
一人で腹の中で選手宣誓の如く、スタンを落とすために再度気合を入れるリナである。
「ほら行くぞ。
弟の護符を見に行くんだろう?」
彼に手を差し出されて
『え?』
という顔に一瞬なったリナだがこの好機を逃すものかとその手をガッツリ握る。
「はい、宜しくお願いします。
弟の属性魔法は私と違いすぎなので。
よくわからないんです」
そう言って立ち上がった。
×××
リナの得意な魔法は火、雷、土だが、弟は水と風で、彼女の得意属性とは全く違っていた。
まだ学園に入学する迄に1年あるが魔力量がリーナと同じように多いらしく、魔力暴走を起こしかけたと両親から手紙が来たのだ。
リーナが子供の時はまだ前世の里奈が目覚めておらず、魔力は火の要素だけだったので店の勧める護符で良かったが、複合系の子供の場合は慎重に選ばなければいけない。
複合系の魔力を理由にぼったくりのような金額を請求してくる魔石商人も王都には多くいるからだ。
この辺りの政治的な改革はヤンデレシルファ王太子が頑張っているらしいが、まだまだ悪徳商人や小狡い小売店も多い為、平民は同じ属性持ちの知り合いに選んでもらう事が多いのが現状だ。
今回里奈は万能魔法いのソフィアに相談したが、
『水と風?
それスタンさんの得意な魔法じゃない?
デートの口実になっていいじゃん』
と、かる~く断られ、本日のデート()が実現したのである・・・
と言っても何だかんだ理由を付けては2週間毎にほぼ会っているのだが。
「大通りの店だと値段が高いだけでぼったくってくるから、職人街に行くぞ」
スタンに手を引かれて歩き出すリナ。
彼女の頭の中はお花が咲き乱れ中である。
「そういやあ俺な、友人二人に借金を返し終わったんだよ」
「え? 例のギルドの分ですか?」
「ああ。
意外に早く終わったんだよ。
高額報酬の依頼を選んで受けてたからな」
「・・・じゃあ、スタンさんはギルドに戻るんですか?」
手を繋いだままで一歩だけ先を歩いていた彼が首を傾げる。
「ウ~ン、それなぁ。
ギルド職員って思った以上に薄給なんだよな」
「え、そうなんですか?」
「ああ。
冒険者やってたら収入が不定期だけど報酬は結構多くて貯金も可能だ」
スタンこう見えても数少ないS級冒険者なのである。
まあ、だから魔人に器として捕まったのだが・・・




