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祟り屋・大阪難波店  作者: HasumiChouji
第二章:頼もしい薮医者
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(6)

 通称「コマシ」というのは……主人公チームの軽薄そうな感じのイケメンの男だ。「祟り屋」のメンバーだが、呪術的な能力は全く無い。

 じゃあ、何で、そんなキャラが主人公チームに居るかと言えば……「祟り屋・大阪難波店」の主人公達は、単に「人殺しの手段として呪殺を使う」ような連中じゃない。

 あくまでも、ターゲットが死ぬより嫌な目に……それこそ自分で死の望むような目に……遭うような「呪い」をかけるのが仕事だ。

 かける呪いの種類はターゲットにより違う。

 例えば、その為の情報収集の一貫として……あるいは、呪いをかけるのは、ターゲット自身じゃなくて、ターゲットの身近な誰かだったりする場合になんかに、女性を誘惑しなければならない事は、当然のように有る。

 その為の要員が、「コマシ」と呼ばれるメンバーだ。もちろん、「コマシ」とは「スケコマシ」の略だ。

 しかし……。

「あ……あの……杉山さんは悪役を()りたいって言われてたと聞いてるんですが……え……えっと……」

「ああ、すまん、ちょっと、行き違いが有ったようやの。ワイは……映画なんかを作る時に、そうやな……主人公にとっての敵の事は『悪役』やのうて『(かたき)役』って呼んで、主人公でも世間一般で『悪』と思われるような事をやる奴の事は『悪役』って呼んどるんや。ワイにとっては『(かたき)役』と『悪役』は別物や」

 えっ?あ……でも……。

「ああ、ワイが初めて撮った映画のスタッフさん達が、そういう言い方をしとったんで、その影響や。ややこしゅうて、すまんな」

「は……はい……」

「で、ワイは、今、女性関係のスキャンダルに巻き込まれとるやろ。だから、そのイメージを逆手に取って、女さん達が観たら、ちょっとムカツく位の女たらしの役を()った方が面白うなると思うてな」

「あ……あ……な……なるほど……」

 駄目だ……緊張して……お世辞も出て来ない。あははは……。

「で、悪役やのうて(かたき)役やけど……9割方内定しとってな……」

 杉山さんは、何か、本当にうれしそうな感じで、そう続けた。

 あ……あ……ああ、マジで……日本一のコメディアンが、俺の漫画に惚れ込んでくれてるのか?

「あとは、そっちが、あの契約でOKって言ってくれれば、本決りや……」

 そう言って、杉山さんが出したのは……70代で善玉・悪玉のどっちも()れる名優と……いや、俺のイメージでは「この人を主役にした方がいいんじゃないか?」って感じのクール系の美人女優の名前だった。

「すいません、お茶をお持ちしました」

 その時、会議室のドアの向こうから声がした。

 杉山さんのマネージャーらしき人が、立ち上がり、慌てたように会議室のドアを開け……。

「そうや……君んとこの子供さんの同級生が、このセンセの息子さんじゃなかったか?」

 杉山さんは、会議室に入って来た、40ぐらいの女性社員に、そう声をかけた。

「えっ?」

「こちらが、漫画家の安房清二センセや……」

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