表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

Day7

七日目です。

      Day7

 朝、目が覚めると真っ先に机に向かう。お約束の置手紙を見るために。

『おはよう陽人君。元気にしていたかい?』

「ああ。」

 なんか、文面がさわやかだ。

『まず、昨日の件だが、許すよ。問題ない。』

「へ?」

問題だろあんなの。

『確かに君はしっかり失敗した。ただ、その後しっかりリカバリーできた。何ならそれで事件の真相が分かった。』

「嘘だろ!」

 分かったのか!

『そもそも、君のミス程度で僕が足を引っ張られると思うかい?それを利用してより良い結果を残すさ。』

「陰人……」

『だから、安心して失敗したまえ。君はただ全力で事件に向き合うだけで十分だ。』

 手紙が少し濡れる。手汗だと信じる事にする。

『さて、事件の真相が分かった結果、まずい状況も分かった。このままだと、僕らの大敗だ。』

「大敗」

 そんなやばいの?

『先日調べた3人の遺伝子情報が大量の血の遺伝子と一致した。』

「あれ、普通によくね?」

『ちなみに全部ひっかけ、真実を覆い隠すための偽造だ。』

「は?」

 上げてから落とされる。

『だが、警察は彼らが殺されたとして捜査を強行しようとしている。これが、大敗になる原因だ。』

 そう断言できる理由が分からないが、こっちも向こうを信じる。

『だから、一気に勝負を決める。鍵はこいつ、井上作之助いのうえさくのすけだ。』

「誰?」

 知らない奴を出すな!

『彼に関する資料も机の中に入れてある。』

「ほう。」

『ただ、どうせ読まないだろうから、ここにも簡単に書く。』

 バレたか。

『井上作之助、御年56歳。彼は病院の医院長だったんだが、息子が豊島の餌食になった際のとばっちりを受けている。』

 とばっちりなんだ。

『なんでも、彼も昔はやんちゃだったらしくてね。それで息子が犯罪をやった際に、親子揃って犯罪人というレッテルを貼られた訳だ。』

 ついてないとかいうレベルじゃないな。

『一時期は完全に干されたらしく、今も病院の院長から献血関係に勤める医者に格下げされたままだ。しかも一つの献血カーを、輸血センターの近くで、一人だけで切り盛りさせられている。』

 まあ、確かに院長に返り咲くのは難しいだろうけどさ、随分下っ端じゃない?

『ちなみに、その息子の起こした事件を、最近僕は解いているぞ。』

「え!」

『インスリン注射、急性アルコール中毒、この二つの言葉で思い出せないかい?』

「えぇっと、あ!」

 思い出した!

『アルコールを注射して人を殺したあの事件だ。あれが原因で彼は堕ちて行ったらしいな。』

「なんか、罪悪感が……」

『安心したまえ、今度の事件では彼がしっかり噛んでいる。罪悪感を覚える必要はない。』

 そうなの、少し良かった。いや、良くない!

 事件に噛んでいるの確定なの?

『話を戻そう。君には彼の髪の毛を取ってきて欲しい。彼は吉祥寺の献血カーにいる。』

 下っ端として。

『本来は子供が輸血だなんてできないんだが、今回は僕が許す。』

 法律が許さない系じゃない?

『学校を抜け出すよりは簡単なはずだ。』

「おい。」

『だからよろしく頼む。』

「了解。」

『取ってきた髪の毛は机の引き出しに入っているジップロックに入れておいてくれ。今日は二重作警部補が帰ってくる日だから、その時回収してもらう。』

 イデンシジョウホウって奴を調べるのかな?

『あと、今日から事件を解決するまで中尾さんが絡んでくるだろう。君から情報を搾り取るために。』

「え?」

 速攻ばらしそうなんだけど。

『だから何か言われたら、いなくなっていた1カ月何をしていたのかをバカの一つ覚えで聞いてほしい。それでしばらくの間は凌げる。』

「……了解。」

 僕はバカじゃないけどな。

『今日の注意事項はこのくらいだ。長くてすまないね。それでは、よろしく頼む。』

「おう!」

 手紙はここで終わって、いない?続きがあった。

『追記 時計を見たまえ。』

 現在時刻は、……やっば。


 学校で授業と給食を過ごして昼休み、僕は課題に向き合っていた。明日提出の課題を今日吹っ掛けてくるのは良くないと思う。一応、授業中にもやる時間はあったけど、終わる訳の無い量だった。(一部の頭いい連中は提出してたけど、あいつらを基準にしてはいけない。)

 教室の中にはそんな生徒が全体の半分ほどいる。頭いい連中もなぜか残っている。(煽っていると見なして殴りたい。)いないのは提出をサボる事を決めたやんちゃな連中と、諦めて家でやる事を決めた連中くらいだ。

 こんな観察を息抜きにしていると、急に話しかけられた。

「二重作君」

「あ、中尾さん。」

 どうしたんだ?

「昨日はごめんね、早退しちゃって。」

「ああ、大丈夫大丈夫。」

 これは、ひょっとしてあれか?陰人の予想通り情報を搾り取りに来たのか?

「それでさ、その事件?っていうのは」

「そういえば、」

 とりあえず話の腰を叩き折る。

「?」

情報を搾り取られないように、バカの一つ覚えを実行する。

「中尾さんはいなかった1カ月何をしていたの?」

「あ、えっとねぇ」

「あとで教えてくれる約束だったでしょ。」

「まあ、その、えっと」

 結構言葉に詰まっている。昨日の様子から僕から情報を取ることが楽だと思っていたのだろう。

 そうは問屋が卸さない!(陰人のお陰だけど。)

「お、なんだか面白そうな話してるじゃん。」

「何―、教えてくれるの?」

 一部の野次馬連合が突っ込んでくる。この人数を見るに、しばらくの間、質問攻めだろう。

「あ、ごめん。ちょっとトイレ。」

 あ、中尾さん逃げた。

 ……さてと、課題やるか。


 学校が終わるとすぐに吉祥寺に向かう。カードの残金が怪しくなってきたが、まあギリギリ持つだろう。

 駅を出てすぐのバス停。そこに例の献血カーは止まっていた。

 最近14歳になった僕が献血をするのは、法律が許さない案件らしい。ただ、学校を抜け出して人の事をストーカーした僕が、今更法律がどうこう言うのも違うと思う。最悪、献血に興味を持った純粋な少年が間違えて入ってしまったって事で。

「失礼します。」

 おずおずと車に入る。

「あ、こんにちは。」

「こんにちは。」

 中には少し髪の毛に白みのかかったおじさんがいた。ただ、背筋はしゃんと伸びているから、大方50代とかだろう。つまり、井上さんだ。

「献血しに来ました。」

「そうですか。では、こちらに記入をお願いします。記入が終わったら呼んで下さい。」

 いきなり紙を渡された。アンケート用紙、かな?

 紙を渡すと、長袖の白衣を翻し、井上さんは奥に入って行った。

 さて、と。

 今考えなきゃいけない事は二つ。一つ、どうやって髪を取るか。二つ、このアンケートに本当の事を書くべきか。

 どうするか。

なんとなくポケットに手を突っ込む。何かが手に触れる。……ナニコレ?

ポケットから出す。これは、手紙だ。何かゴツゴツしたものが入っている。

 とりあえず手紙を広げる。

『どうせ髪の毛を取る方法なんて一切考えずにとりあえず来たであろう陽人君へ。』

 うるせえ!

『この手紙にはペン型のはさみが同封してある。また、ポケットには大量に小銭も入れてある。』

 そのはさみとやらを取り出してみる。水色の円柱形の物体が出てきた。キャップらしき物を取る。鉄色の刃が見えた。しっかりはさみだった。

……それで一体どうしろと?

『作戦はこうだ。転んだふりをして小銭を散らす。そうなると井上さんは小銭を拾うだろう。』

 ほのかに嫌な予感がする。

『その時にそのはさみで髪の毛を切って取って欲しい。』

「できるか!」

 僕の事なんだと思ってるの?

『難しいとは思うが、まあインポッシブルではない。』

 何、僕の事ミッションインポッシブルの主人公とでも思ってるの?(名前は、イーアル・ファントだっけ?)

『それに、他に手段が思いつくのならいいのだが、相手に怪我をさせず、気づかせもせずに髪を取る方法があるのかい?』

「知らん。」

 考えるのはお前の仕事だ。

『まあ、本来なら、実行する君がこういう事は考えるべきだと思うけどね。』

 あ?自分の二重人格を殴りたい。

「書けました?」

 急に井上さんが出てきた。

「あ、いえ。」

 とっさに手紙を隠す。

 ただ、とっさ過ぎたらしく、椅子ごと倒れた。ポケットの中の小銭もこぼれた。

「え?」

 困惑している。まあ、「あ、いえ。」とか言いながら椅子ごと倒れる様子を見たらそうなるか。

 2秒くらいの気まずさが流れた後、井上さんが小銭を拾い始めた。

 どうしよう、図らずも作戦通りの事が起きそうだ。

 はさみのキャップを外す。床を見ている井上さんの髪の毛を数本つまむ。急いで切る。

「ん?」

 ヤバ!

「今なんかしました?」

「い、いえ。」

 良かった、バレてはいない。

 ただまあ、誤魔化すために何かしら話さないとな。

「そう言えば、献血の血ってどうやって保存してるんですか?ドラマみたいに凍らせてるんですか?」

「そうですよ。もちろん、多少血は変質しますが、問題ない範囲です。」

「へーそうなんですね。」

 意外と親切。この隙に髪の毛もしまえたし、よかったよかった。

「はいどうぞ。これからは財布の中に入れてくださいね。」

 少しだけ恨みがましそうな目で小銭を渡された。

「ごめんなさい。」

 うちの陰人が。

「それで、書けました?」

「あ、」

 白紙なんだけど。

「ちょっと、その」

「どうしまし」

  プルルルル

 追及が来そうな直前、僕のスマホに電話がかかってきた。

「ちょっとすみません。」

 全然すまなく思ってないけども、とりあえず謝りながら電話に出る。

「もしも」

「陽人か。」

 父さんが出た。なんか、焦ってる?

「どうしたの?」

「豊島が目を覚ました。」

「え?」

 一瞬情報が頭に届かなかった。

容疑者が目を覚ますって、とんでもない進歩じゃない?

「すぐに三鷹病院に来てくれ。」

「了解。」

  ガチャッ  ツーツーツー

「えっと、」

「すみません!急用ができたんで失礼します!」

 呆気にとられる井上さんを残し、爆速で車を出る。(何だっけ、「こんな所居られるか!俺は逃げるぜ!」って言えばいいんだっけ?)

 にしても、病院がたまたま吉祥寺に近くて良かった。


 病院に着くと、入り口に父さんがいた。

「悪いな、急に呼び出して。部活は大丈夫か?」

「大丈夫だよ。」

 試験中で無いからね。

「豊島はついさっき目を覚ました所だから、今は軽く質問するくらいしかやる事が無い。まあ、とりあえず付いてきてくれ。」

 そう言うと、父さんはすぐ病院の中に入って行った。

「了解。」

 後を追いかける。追いかけながら疑問を持つ。

 なんか今日の父さん少し苛立っている?


「ここの病室だ。」

「うん。」

 意外にも、案内されたのは普通の病室だった。脳内のイメージだとフル装備の警察官が沢山いる感じだったんだけど。

「で、今から入るわけだが、絶対殴ったりするんじゃないぞ。」

「やんないよ!」

「そうか、良かった。」

「そんな野蛮な人種じゃないよ。」

 それに、こっちは空手で優勝したこともある身だ。目を覚ましたばかりの人を殴ったら、その人をまた寝かせかねないしね。

「あと、父さんがあいつを殴りそうになったら、何とかして止めてくれないか?」

「父さん⁉」

 警察官が言っていいセリフじゃないでしょ!

「いや、な。あいつ嫌いなんだよ。」

 何だろう、言っている事は明らかに子供じみているのに、切実さを感じる。

「……答えたくなかったら答えなくてもいいんだけどさ、なんで嫌いなの?」

 恐る恐る訊く。

「……あいつとは、確かに似ている部分があるのかもしれない。」

 少しの沈黙の後、父さんが語りだした。

「さっき聞いたんだが、あいつも特ダネを見つけては、寝ずに調べて記事を書いているらしい。その根性は認める。実際、いくつか事件を記事にするうえで解決したこともあるらしいし、政治業界の闇だろうと何だろうと特ダネの為ならわが身を顧みずに挑んだりしているらしい。ただ、」

 父さんが拳を握る音がする。

「あいつは特ダネの為ならなんだってする。被害者を虐めるかのような記事が特ダネになるなら、迷いもせずに記事を書く。それが許せない。」

 隣に本人がいるからか、声を荒げたりはしてない。でも、鬼気迫る何かがある。

「俺は別に、ありとあらゆる事件を白日の下になんて考えてはいない。みんなが平和に暮らせるように、としか思っていない。だから、あいつのように過ぎ去った事をわざわざ思い出させるような行動は嫌いだ。」

 警察として過ごしてきた年月の重みだろうか、僕は父さんに対して何も言う事ができなかった。

 そんな僕を見て父さんは顔を和ませた。少し哀愁の漂う笑顔で一言。

「まあ、要するにだ。信念の違う二匹のケルベロスの同族嫌悪……」

   ガラッ

「あ、もう戻って来たんですね。」

 今めっちゃいいシーンだったのに。山口JB、空気読もうよ。

「あ、ああ。」

 ほら、父さんも何とも言えない表情しちゃってるじゃん。

「それじゃ、豊島と話しますよ。」

「ええー、」

 今度は注射を嫌がる子供みたいな顔をする。(今日は父さん百面相)

「父さん、駄々こねないで。」

 さっきの威厳を1%でも出せば格好いいのに。

「せめて、陽人は入れさせてくれ。」

「ダメです。」

「じゃあ俺が暴れた時、誰が止めるんだ?」

「ちょっと待って、僕入れないの?」

 初耳なんだが。

「あれ、言ってなかったんですか?」

「え、いや、今無理やり入れるからいいかなって。」

「ダメです。」

 パワハラに屈しない男、山口JB。

 まあ、それはさておき、

「なんで入れないんですか?」

 僕が呼ばれた意味は?

「豊島に、中学生を捜査に使っていることがバレたら、どうなると思いますか?」

「あー、そういう事か。」

 父さんすら知らなかったの?

 まあでも、そうか。陰人が首を突っ込んでいっているとはいえ、傍から見れば児童労働だもんな。

「じゃあ僕は?」

「扉の前で聞き耳を立てていてください。」

「……来る必要ありましたか?」

「「ない」です。」

 ……

「父さんごめんね。」

  ツカツカ

「え、あ、いや陽人、悪かっ……」

  ドゴォ!

「オゴォ」

  バタッ

「……現役刑事の父親を殴り倒さないでください。」

 山口JBに呆れ顔で突っ込まれた。

「大丈夫です、手加減したので。」

 本当は全力の拳を20発くらい叩き込みたい所だから、まあ優しい方よ。


 父さんが目を覚ますのには5分くらいかかった。

「うーん、」

「あ、起きた。」

 頭を撫でながら起き上がる。殴ったのは腹だから、倒れた時に頭を打ったのかな?

「いい夢、見れましたか?」

 気絶は睡眠じゃないよ、山口JB。

「妻にめっちゃ甘やかされる夢を見た。最高だな。陽人、ありがとう。」

 この人たち怖い。

「で、どうする?陽人。帰るか?」

「いや、山口J、巡査部長に電話をコッソリ持ってもらって電話越しに聞く。」

 無駄足にはしたくない。

「おお、了解。」

 こうして、僕は容疑者のいる病室の前で、容疑者の事情聴取を電話越しに聞くことになった。……無茶苦茶だ。

 父さんたちが病室に入ると、すぐに電話がかかってきた。多分山口JBだ。

「もしもし」

「声の音量落してください。」

「はい。」

 やっぱり辛辣だ。

「聞こえてますよね?」

「はい。」

「じゃあ、今から聞きます。」

「分かりました。」

 ガサゴソ言い出す。多分ポケットとかに入れた音だ。

「あ、こんにちは。」

 知らない人の声がする。多分豊島だ。

「調子はどうだい?」

 父さんの声は思いのほか落ち着いている。てっきり激昂しているもんだと思っていた。

「まあまあですね。凍傷も酷かった割には後遺症なしで済みそうですし。」

「そうかい、それは良かった。」

「本当に。」

 笑い声が扉越しに聞こえてきた。嘘だろ、あんだけ敵意を丸出しにしてたのに、談笑しているのか?

「そういえば、なんで冷凍トラックの中にいたんですか?」

 この言葉が聞こえた瞬間、電話越しなのに少し寒気がした。やっぱり敵意はあったらしい。

「いやぁ、少し特ダネがあるって話があってですね、それを聞きに行ったらなんやかんやであのトラックの中に閉じ込められてですね、ドタバタあった後気絶した訳です。」

「……」

 ……この雰囲気の中で、おちょくってくるのはすごい。その度胸は認める。でもさ、

「いや、言葉が足りませんでしたね。まあそんな怖い顔しないでください。」

 この人鈍感なのかな?

「……もう少し詳しく教えてくれませんか?」

 文章にしたら分からないだろうけど、雰囲気が怖い。

「えっと、ですね。まず僕の電話にタレコミがあったんですよ。特ダネがある、ただ電話で言う訳にはいかない代物だから実際に会って話がしたいって。」

「そのタレコミは誰から来ましたか?」

「名前は知りません。ただ、男の声でしたね。」

「それで、その後は?」

「実際に指定された場所に行ってみたんですよ。そしたらそこに中学生くらいの女子児童がいてですね、「豊島様ですね。電話をかけた人はあのトラックの中にいます。着いてきてください。」とか言い出すんですよ。」

 これ、流石に嘘っぽい気がする。

「それでその後は?」

「実際について行きました。それでトラックのコンテナに入ると、案内してくれた子は急にトラックのさらに奥に行って閉じこもっちゃったんですよ。さらにトラックの扉もなぜか閉まってですね、それであの中で凍えていた訳です。」

「なるほど、そうですか。」

 なんでこんな話になるのか分からない。嘘をつくにしたってもう少しましな嘘があるだろうし、本当の事だとしたらますます奇妙だ。

「ちなみに、どうしてそんな怪しい話にすぐ乗っかったんですか?」

「まあ、僕、記者やっているんで、特ダネになりそうなら絶対に逃したくないんですよ。」

「そうですか。」

 すごくいけしゃあしゃあと嘘をついているんだろうけど、本当っぽい口調だ。

「実はですね、あなたは他人の血で血塗れになった状態で発見されているんですよ。」

「え?」

「それも血塗れの包丁を持った状態で、です。」

「……あー、なるほど?」

 何がなるほど?なんだろう?

 父さんはさらに何か言おうとした。ただ、

「面会時間終わりです。」

 無情にも時間切れになったらしい。

「ではまた。」

「さようなら。」

 父さんたちが病室から出てきた。

 扉が閉まるのを確認してから父さんが一言。

「ふざけるなよ、あんな嘘つきやがって。」


 そんなこんなで僕らは家路についた。病院を出ると、少し知った人とすれ違った。

 井上さんだ。なぜか病院に向かっている。

 なんでだ?

唐突な医者、参戦!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ