43.う~ん…分かりました。きつそうなので
誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…
「氷雨ちゃんは何で混浴に居るの?」
「家族で来てるので?」
「はい?」
氷雨ちゃんが指を指した先には花さんと司パパの姿があった
「ホントは姉も来る予定だったんですけど、ダンジョンで探し物してるらしいので断られちゃったんです」
「へぇ…お姉さんはダンジョンに行ってるんだね」
「はい、自慢の姉です。ちょっと楽観主義すぎるのが傷ですけど」
自慢するようにニコニコして司の話をしてながらブラスキの背中を押しながら女湯の方に連れて行っているとやっぱり怖くなったのかブラスキがこっちに走りながら悲鳴を上げてくる
「やっぱり怖いですぅぅ…!助けてくださいぃぃ…!柊さん!」
「…柊?」
しまった、さっきから言われてたが訂正するのを忘れてた
「確かお姉ちゃんが柊兄は変身する能力があるって言ってたような…」
「どうしたの?」
「この人、柊兄かもしれない」
司ママが湯船から出て俺の顔をじろりと見てくる
「ん~…柊くんはもっとイケメンフェイスだとおもうの」
うっは…!司ママは糸目なせいで近づかれるとめっちゃ威圧感ヤバイ…!
「そうですね、声も違いますもんね」
「そうなんですよ~、よく柊って名前で堀江柊と間違えられちゃうんで困っちゃうんですよね~、ハハハ」
「娘と花は堀江柊とは言ってないが?」
極道みたいな顔をした司パパまで俺の前に来てしまう
うひぃぃぃぃぃ!こっわ…!司の家族はマジで全員見た目怖すぎなんだよ…!何でこの見た目の人たちから絶望が産まれてんだよ!ギャグか!
「柊って言ったら堀江柊!みたいなところありません?」
「まぁ、指名手配されてたしな…柊君に限って人を襲うとは思えない」
「そうねぇ…あんな良いワンパクっ子だったのに」
「あの~…柊さん?私の体洗ってくれません?」
「どうやってだよ!」
突然話を切断して救ってくれたブラスキにご褒美の拳骨を食らわせる
「良いじゃないですか~…!女の子に変身すれば…!」
「「「変身…?」」」
笑っていた三人の顔が一瞬で真顔に変わってこっちを見てきた
「ブラスキ、死ぬか。死ぬか。死ぬ、どれがいい?」
「ひいぃぃぃぃ…!ごめんなさいごめんなさい…!」
もうこいつやだ…全部バラすじゃんこいつ
「はぁ…どうも…司と聖にはここに居たことを言わないでください…」
「あ、あぁ…」
司パパが俺が変身を解いて自分の姿になった瞬間、呆けた声を出しながら了承してくれる
「結構男らしい体になったわね」
傷跡だらけの俺の体を見ながら司ママが感嘆の声をあげる
「あ~、ずっとダンジョンで生活してたので…死ぬ目に合うことも多々あってですね」
「お姉ちゃん達が説得できなかったって結構ヘコんでましたけど何か理由があるんですか?」
「俺と一緒に居るとあいつらが変な目で見られるからな。俺を死んだものとして思ってて欲しいんだ」
「なるほど…」
氷雨ちゃんが考える素振りをしてお母さんとお父さんに何かを言っている
「それは良いわねぇ!」
「そうだな、お父さんも良いと思う」
「私の体洗ってくださいよぉぉぉ…!」
「やだ、絶対に」
ブラスキを軽く流して氷雨ちゃんの提案を聞く
「柊さん、うちの地下室にすみませんか?」
「チカシツ?」
「はい、今は私たちの物置と化してます」
「いや、今は金に困ってる子にギブアンドテイクで宿提供してもらってるから大丈夫かな」
「それは大丈夫な関係なの?」
「まぁ、リビングの一部を貸してもらって寝床として利用してるだけですし」
「へぇ、その子も一緒に連れてきても良いわよ。もしくはその子の家賃はうちが払ってもいい。だからうちの地下室に来ない?」
なんでこんなに司の実家の地下室にこだわってるんだ?怖いな…
「何でそんなに地下室に?」
「地下室なら人目に晒されることもないですし、身近にいてくれた方が私たちも安心できるからですかね」
「安心も何も俺と一緒に居たほうが危険なんじゃ…」
「別人に変身してたらいいんじゃない?」
「それなら別人になって部屋とか借りたほうがまだ誰にも迷惑かからないと思います」
「あら、あなたの名前とか通帳とか色々使えないのにどうやって部屋を借りるの?」
「あ」
全く考えてなかった。借りようと思ったら借りられるもんかと思っていた
「でも流石に気まずいですし…それなら聖達の家に居候したほうがまだましというか…」
「それこそ人の目に付きやすいし…あの子達の二人っきりに邪魔はさせないわよ…!」
「おうふ…花さんまで司の味方だったか…聖ドンマイだな…」
花さんが開眼しながら圧だけで脅してくる
「今の私たちの家の場所は分かるかしら」
「えっと…あそこですよね。あの~山の所のでっかい家」
「そうそう!デカくはないと思うけど」
金持ちの感覚は基本ぶっ壊れてるもんだ。気にしない方向で
「いろいろ根回しして君の別の通帳とか作っておいてあげようか?」
「え、良いんですか?」
「うん、作れるようになったら司か聖君伝手で教えるから。偽名を考えておいて」
「あ、はい」
「性別も女の子になってもいいわよ~」
「それは考えておきます」
堀江柊を探すにおいてまず女だと外されそうな気がするしな、ワンチャンありだ
「早く体洗ってくださいよぉぉぉ!」
「嫌だって、司ママか氷雨ちゃんに任せる」
「この子は?恋人か何かかい?」
「いや、俺の奴隷です」
「「「奴隷…」」」
「あ~…」
流石に奴隷は引かれるか…でもこいつが魔物なのは言えないしな…
「私は…」
「ブラスキ、お前その回答次第では死ぬと思えよ。これはマジで冗談抜きで」
「え…?!え~っと…!あぁぁあぁ…!柊さんの彼女ですぅ…!」
「はい、死亡」
「ひいぃぃぃぃ…!」
ふざけたこと抜かすブラスキちゃんにはより一層強めの拳骨を食らわせて顔面地面埋めの刑に処す
「大丈夫なの?」
「大丈夫です、こいつ意外と硬いんで、地面も直せるし」
ヒールスライムの熟練度が最後まで行けたからな、アーススライムも進化済みだ
「大丈夫なのかい?何だか弱々しいけど脅したり…」
「あ~、それは無いです。こいつから遜ってきたんで一緒に居るだけですし、俺に遠回しに命令してるでしょこいつも」
「この子はほんとに人間?魔物みたいな魔力の流れなのだけれど」
「いや、それはこいつが馬鹿すぎて知能が魔物よりなだけです」
中々鋭いな…そういえば司ママは魔力に関しては日本一とかそこら辺だったもんな…
「う~ん…人間に化けた魔物のように見えるのよねぇ…飛んだりできる魔物かしら」
「いいえ?!そんな大層なことこいつにはできませんけど!?」
「あらそう?まぁ柊くんの魔力の流れも人間だけど少し魔物に寄って見えるものね私の調子がおかしいのかしら」
「うそ!?俺魔物になってるってこと!?」
「う~ん…なんだろう…魔力の動きが複数あるのよね…重なってる感じ」
「…?はぁ…」
「召喚系の魔物の魔力の動きがぶれてるときと一緒な感じね…分身でも出してるの?」
「あ~、はい。近くのダンジョン全部各層に5体ずつぐらい、魔物の姿してるやつもいると思いますけど」
「あらまぁ…!だから人間の魔力と魔物の魔力の流れが重なって見えるのね~…魔力の共有でもしてるのかしら」
「そこまでわかるんですか」
「魔力の動きからの推測だけどねぇ」
…俺達はほぼ全裸の状態で何の話をしてるんだ?
「早く温泉に入りたいのにぃぃ…!」
「あ~、すまんすまん。氷雨ちゃん、ブラスキ頼める?」
「任せてください」
「柊さんが良いですぅぅぅ…!」
「絶対やだ、死ぬか氷雨ちゃんに頼むかだ」
「うぅぅ…」
ブラスキを氷雨ちゃんに託して司ママと司パパと話しながら風呂に浸かる
「あ~、生き返る~…」
「柊君は…色んな姿に変身できるのかい?」
「出来ますよ」
「司とか聖君にも?」
「どうだろ…出来るかな…」
聖は昔に血を大量に貰ったが試したことはなかったな…司は蚊がたまたま血を吸っていた線を狙うしかない
「あ、行けた」
「聖君の顔はやっぱりイケメンねぇ…」
「そうだな」
司パパの極道感が抜けきらない、マジで助けてって感じだがほんとに良い人ではあるんだよな…
「司にはなれないの?」
「ん~…よいしょ…出来てます?」
「あなた駄目よ!」
「おうふっ…!」
俺が司の姿に変わったせいで司パパの腹が殴られてしまった
「女性の姿になったらタオルの位置を変えなきゃいけないわね~」
「あ、そっか。ほとんど男と変わらないんで忘れてました」
「私の胸は世間様からしたら大きめだから司も大きくなるはずなんだけどねぇ」
「どうでもいいっすね。あいつがまな板のままなら俺と聖で永遠のゼロってあだ名を進呈するだけです」
「させないわよ~?」
「へっくち…!」
「え…風邪ひいた?戻って休む?」
「いや…まだ柊見つけられてないし…」
「司の料理が食べたいから無理しないでよ」
「はいはい…聖も帰ったら手伝ってよ?」
「任せてよ」
「柊君…それは見た目を混ぜることも可能なのかね…」
「司パパ…それは禁忌だ。楽しみに取っておいた方が良い」
「あなたそうよ…!」
「あの子たちが子供を作らないパターンの未来もあるだろう…?孫がもし、もし産まれたらどんな見た目なのか…見て見たい…!」
「まぁ、見た目の割合もいじれるんで言ってもらえたらある程度は再現可能ですね」
「五割五割は流石に危ない…少しありえないぐらいの分量で行こう」
最初は止めていた司ママも少しづつ乗り気になってきたようで司パパと話し合っている
「司7の聖くん3、その逆パターンもお願いできる?」
「そうですね…一緒に見せましょうか。分体だして」
「そんなことできるの…!?」
大分驚いている司ママと司パパに分体を3体出して話し合いをする
「何で3人も出したの?」
「え、男の子と女の子の場合を両方で全4パターン見せた方が良いかなって…」
「「…!!」」
司ママと司パパが泣きそうになりながらハイタッチをして俺に注目する
「大きさ…年齢指定とかあります?」
「幼稚園ぐらいで頼める?」
「あ、分かりました」
ノータイムで司ママが4~5歳の指定を迷いなくしてくる
「じゃあ、良いですか?」
「ええ…!」
「やってくれ…!」
「じゃあ…はい」
全員同時に変身するとどんどん視点が低くなっていく
「おぉ…!」
「こっちの二つが司の方が多いやつで…こっちの俺も合わせたのが聖が多い奴です」
「声まで可愛くなってる…!」
ワーキャー言いながら二人ともはしゃいでいる、ついでに俺は聖7司3の男のパターンを担当だ
「ちょっと喋ってみて!」
「え、セリフとか指定し貰わないと…」
「おぉ…!」
「キャー!かわいい!」
もうなにこれやだ…
ちょっと恥ずかしくなってきて思わず変身を解いたら他の分体も同時に変身を解いてしまった
「えぇ…!もう終わっちゃったの~?」
「もう一回だけ…できないかい?」
「もう無理です…ほんとに恥ずかしいので…」
「フフフ…かわいく育ったものね~」
「…!」
司ママが頭を撫でようと手を俺の頭に向けて伸ばしてくるがやっぱり反射でハイオーガの腕を含めた攻撃用の組み合わせで変身してしまう
「あら、驚かせちゃった?」
「はぁ…!はぁ…!いや…別に…ごめんなさい」
「大丈夫かい?汗が一杯…」
司パパも心配して手を差し伸べてくれるがやっぱりだめだ
「触れないで…!ください…!ごめんなさい、本当にごめんなさい…」
「柊さん…!大丈夫ですか…!」
ブラスキが体を洗い終わったのか氷雨ちゃんと丁度戻ってきた
「ブラスキ…大丈夫だ。いつものあれだから…」
「どうしたんですか?」
「柊君を驚かせちゃって~」
「ごめんよ、柊くん…」
「皆さんは悪くないんです…本当に…」
少し疲れたな…もう上がるか…
「ブラスキ、上がろうか」
「え…まだ湯船に使ってない…」
「頼む…血を大量に上げるのと後日また温泉に連れてきてやるから…」
「う~ん…分かりました。きつそうなので」
「そういうことなんで…皆さん…またその時に…」
「ごめんなさいね?ちゃんと通帳とかの件はやっておくから…」
「お願いします…行くぞ」
「はい…」
少しフラフラするが分体に支えてもらえればどうにかなる
「落ち着け…落ち着け…大丈夫、大丈夫…」
自分に言い聞かせるように言い続けても冷や汗が止まらない。これほどまで触られることに抵抗ができているのが驚きだ
「おい…あれって…!」
「…?あぁ…」
変身を解いていたのを忘れていた、周りの視線がどんどん集まってくる
「やめてくれ…!見ないで…頼む…!見ないでくれ…!」
「大丈夫ですか…!」
「蚊の魔物…!?」
ブラスキが俺を心配してくれたのか蚊の姿で男湯のロッカーに迎えに来てくれる
「ブラスキ…お前ここ男湯のロッカーだぞ…」
「どうでもいいです…!早く出ましょう…!」
「そうだな…」
ブラスキの上に乗って俺は倒れるように気を失ってしまった
「柊さん?」
「気絶しただけだ、安心しろ。俺も戻るから、ドラム缶のダンジョンまで行け」
「はい…!」
「…んん…」
「起きました?」
「ブラスキ…助かった」
「任せてください。私にできることをしただけなので…」
「ちょっと駄目だな…普通の人としての生活はまだ遠いみたいだ」
「そんな…!触れないだけです…!柊さんは全然人としての生活できてますよ!」
「魔物で生まれて間もないお前に何がわかんだよ…」
「分かりますよ!私が外に出た数少ない回数で見てきた人と何も変わらないです!」
蚊の姿で俺の顔面に抱き着いた状態でブラスキが熱弁しているがそんなに病んでるわけでもないし深く傷ついているわけでもない
「大丈夫だから、離れてくれ」
「嫌です!もう少し張り付いて元気になってもらいます!」
「暑苦しいんだが」
「大丈夫です!私は暑くないので!」
「そういう話じゃない…離れろ、大丈夫だから」
こいつ蚊の姿だから忘れかけてるだろうが小学校低学年ぐらいのデカさしてるしそれ相応の重さしてるんだわ…普通に顔面潰れそうなぐらい重い…!
「重い…!マジでどけ。血を吸わせてやっから」
「良いです…!後で貰えれば…!」
「しっかり後で貰おうとしてるのな」
設定ポロリ
・魔物に対する認識
柊:「ブラスキの件もあるし、良い奴もいると思う。オブブみたいなやつは躊躇なくやれる自信ある」
司:「魔物ってだけで偏見持っちゃうけど多分いい魔物も居ると思うんだよね~」
聖:「多分だけど一定以上の知識を持つ魔物は話ができない訳じゃないと思う」
美咲:「怖い…」
葵:「色々と考えることはあるけどレアキャラとか居てくれると面白そう。アルビノ的な」
氷雨:「あまりいい印象ではないですね。魔物による被害も出ちゃったわけですし」
美晴:「怖いですけど立ち向かわなきゃいけない相手です」
感想とか頂けると筆乗るんで暇だったら書いていってください