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全魔と呼ばれた探索者  作者: 新戸成蔵
41/46

41.一回死んでみたらどうですか?

誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…

「いや…嘘ついてないですけど…?」

「嘘つけ、魔物は階層の移動ができないはずだ。襲われたと言っていた本の魔物が出てくるのは第一層。ここよりはるか遠い場所だが?」

「いや私…ダンジョンの外に出ようと思えば出られるのでわからないですぅ…!」


号泣し始めた、そんなに脅してたわけじゃないけど。少しでも変な動きをしたら速攻で魔石を抜き取るとは思っていた


「おい泣くなって…それにダンジョンの外に出られるってどういうことだよ」

「知らないですよぉ!生まれた時に感じたんですぅ!」


…?外には出たことないけど、出られるのだけは感じたってことだよな多分


「おぉ…!お前!俺の所に来い!」

「はいぃぃぃ!殺さないでくださいぃ!」


よし、魔石回収班の人員確保


でもこいつ…自我が弱すぎる…!


「で、この待機してる蚊たちからどうやって血を貰うんだよ」

「あ、それは任せてください!」


一歩前に出て両手を広げて上にやったと思ったら元気玉の要領で血が蚊の中からどんどん抽出されていく


「どうぞ!」

「いや…その…一気には口の中に入らないというか…」

「あ!そうですよね!お腹の中まで直接入れますね!」

「え?ちょっ…」


イヤホンのコードぐらい細く伸ばされた血が直接胃の中に突っ込まれていくが、別にお腹が膨れていくわけでもなく難なく大量にあった血は俺の中に入り込んでいった


「ふぅ…魔石みたいに満腹になるわけじゃないんだな…良く分からん原理」


普通の飯はアホ程満腹になれるのに血や魔石は食べたそばからなくなっているような気がする


「そういえば俺も蚊になれたりすんのかな、スライムで消化したし一応俺の腹の中に納まってる判定なはず…」


蚊に変身しようと意識すると難なく蚊になれた


「お、やっぱり行けんな~」

「凄いです…!体の大きさまで変えられるなんて!」

「いや、結局は人の姿に変身できなかったら意味がない。あいつらと一緒に居たいのは本心だからな」

「でも…変に一緒に居てバレたら怖くないですか?」

「お、良く分かったな。俺もそれが懸念点なんだよ」


結局は俺が全国で指名手配されている状況をどうにかしたいものだが…分体をあえて捕まらせるのもいいけどな…


「一回死んでみたらどうですか?」

「は?お前…やっぱり…」

「ひぃぃぃ!違うんですぅ!分体さんをあえて捕まらせてその分体さんをみんなの目の前で最大火力で吹っ飛ばせばいいと思ったんですぅ!」

「名案だけどそんなことしたら逆に吹っ飛ばした方が捕まるだろ」

「私なら血で殺害工作できますし…頑張れば行けると思うんですけど…無理ですかね…?」


まぁ確かに…こいつが魔物の姿で出てくる→俺をたまたま狙った感じで殺すフリ→一目から遠ざかったところで人化→こいつも追いかけられることなく生活できる


「よし、それ決行確定な。俺の分体を殺したふりだけして遠くに逃げて人化してからまた俺の所に戻って来い」

「はいぃ…」


司と聖とは一緒に居たいからな、そのためなら俺は一回死んでやろう


「ならもっと人間の血を集めてきてくれ、まだまだ熟練度が足りない」

「はい…!」


人の変身は一応暇があったらするようにしていたが、まだあと一歩足りないって感じだ


「あ、あの…少しだけ血をいただけないですか?」

「え…なんで」

「美味しそうな感じがするのと…私、血を飲んだ人の詳細がわかるのでぇ…」

「詳細って何?」

「身長体重、視力から病気、ステータスだってわかりますぅ…」

「はぁ…なかなかすごいなお前…少しだけならいいよ」

「ありがとうございますぅ…」


ペコペコと俺に頭を下げながら近づいてきて俺の腕を持とうとしてくる


「…!」

「ひぃぃぃぃぃ!怒らないでください…!怒らないでくださいぃぃぃ!」

「いや…ごめん、血を吸うのは蚊にやらせてくれ」


またハイオーガの腕に変身させてしまった、人の見た目してるだけでもダメなのか?


「私が蚊の姿になっても駄目なんですかね…?」

「お前デカいじゃん…それに何で自分で吸うのにこだわるんだよ」

「自分で吸ったほうがおいしく感じるので…!」

「そうか…試してみるか」


蚊の姿に戻って俺の腕に近寄ってくるが今のところ問題はない


「少しだけ…少しだけ…落ち着け私ぃ…少しだけ…少しだけ」

「おい」

「ひぃぃぃぃ!」

「お前もしかして、血を吸う時加減できないのか?」

「血がおいしかったら一杯吸っちゃうんですぅ…!」


まぁ…ある程度までなら許してやろう。やばそうだったらこいつを叩いてでも離れさせればいい


「危なくなったら殺す気で叩くからある程度までは吸っていいぞ」

「良くないですぅ!死んじゃいますぅ!」

「まぁ、人は結構な血の量が無くならないと死にかけたりしないから大丈夫だ多分」


俺の腕にクッソ太い針上の口を差してくる図は怖いし痛そうで怖かったが全く痛みはしなかった


「あぁ…吸われてんな」

「…フー!…フー!」


少しずつ吸う勢いが上がってきている


「おい、もうそろそろ…」

「…フー!…フー!」


こいつ聞いてない…?


「もうそろやめとけって言ってんだろ」

「痛い!何するんですか!」

「お前が止まりそうになかったからだ」

「私は悪くないですぅ!血がおいしい柊さんが悪いんですぅ…!」


こいつ、中々失礼だな


「まぁ、俺のために頑張ってくれたらまた吸わせてやらんでもない。お前吸うのうまいみたいだしな」

「…!ありがとうございます!」


こうして蚊の魔物の…名前なんだっけ


「そういえばお前名前なんなんだ?」

「無いですぅ…」

「ん~…モスキートって言ったりするからな、モキト…?モス…?」

「血…ブラッド…ブラスキでどうですか!?」

「名前結構色々な意味で危なくなってるけど大丈夫かそれ」

「良いんです!気軽にブラでもいいです!」

「そっちの方がライン超えてるからブラスキの方で呼ぶわ」


こうして蚊の魔物のブラスキが俺の仲間に入った



「ただいま~って…え?」

「え?」

「ひぃぃぃぃ!誰ですこの人!」

「俺の…宿提供者?理解者?」

「もう宿主でいいでしょ」


帰ってきて早々に制服を脱ぎ捨てて寝転がり始めた


「おい、風呂入って来いよ」

「ここにお風呂は無いよ~…毎回銭湯に行ってるし」

「え…俺風呂入れないじゃん」

「な~んでぇ?」

「銭湯だと元の俺の姿に戻らないと入れないだろ…!狼入れてくれる銭湯がどこにあんだよ…!」

「柊さん!私に任せてくださいぃ…!」


横から人になったブラスキが顔を出してくる


「と言うか!あなた誰なんですか!?」

「ひいぃぃぃぃ!ブラスキですぅ!」

「それ本名じゃないよね?」

「本名ですぅ…!」


ブラスキが泣きながらゴンゴンと頭をぶつけながら土下座をしている


「おい、ブラスキは君の魔石集めの作業員だぞ?泣かすなよ」

「私は貴方だけ許したんです!ブラスケだかブラスキだかわかんないですけどその人は許した覚えありません!」

「ひぃぃい!お願いしますぅ!」


泣きながら懇願するブラスキとブチギレな女の子。何ともカオスだ


「まぁまぁ、ブラスキは俺が連れてきたから俺が責任取るよ。」

「本当に…?ブラスキさんが勝手についてきたのを庇ってるんじゃ…」

「本当ですぅぅぅ!私が何かやらかしたら柊さんが首切って死ぬのでえぇぇぇ!」

「何勝手に人の首賭けてんだお前は…まぁ迷惑かけたら出て行くよ、魔石は夜に渡しにくればいいし」

「強制退去以外は問題ないです。あまり騒がないようにしてくださいね。隣の部屋に人が住んでないとはいえ壁が薄いので」


結局女の子のほうが折れてくれた。優しいな


「ブラスキ、結局風呂の件は?」

「はいぃ…私が頑張って森かダンジョンの中にお風呂作ります…!」

「いや、そこまでしなくていいよ。ドラム缶かなんか探しておいてくれる?」

「分かりましたぁ!今すぐ探してきますぅ…!」

「あ~あ~!焦らなくていいから。俺一年以上水浴びで過ごしてきた猛者だからさ」

「えぇ…あまりこの部屋汚さないでよ…?」

「ついこの間親友の家で入ったんですぅ!俺だって少しは気になってるもんですぅ!」


ーーーーーーーーーーーー


「さて…ブラスキ」

「はい…!」

「今日集まってもらったのは他でもない」

「ま…まさか…クビ…ですか?」

「え?」

「え?」


何言ってるのこの人…いや、それは置いといて…


「おほん!…ブラスキ」

「はい…!」

「今日集まってもらったのは他でもない」

「あ、また最初からするんですね…」

「そういうツッコミ待ってないからな」

「ひぃぃい!分かりましたぁ…!」


少し真顔で脅しを入れて今度こそ


「え~…おほん!…ブラスキ」

「はい…!」

「今日集まってもらったのは他でもない」

「ほ、ほう…!」

「お前のおかげで俺は別の人の姿を無数に手に入れることに成功した」

「おぉ…!とうとうですか!?」

「あぁ…!とうとうだ!」


そう言って俺は最大限カッコつけるために指をパチンと鳴らしておじいさんの姿に変身する


「どうだ?できてるか?」

「はい…!見た目は完璧ですけど声がまんま過ぎます!」

「あ~…これでどうだ?」


おじいちゃんの喉と狼の喉を少しだけ混ぜてダンディな声を作って喋ってみる


「少し男前すぎますかね…もっと弱々しく」

「これでどうだ?」

「おぉ…!完璧なおじいちゃんです!少し血を吸っただけで死んじゃいそうです!」

「よし、完璧だな」


完璧に老人に変身できるようになったところで次のフェーズに移る


「さて、次はお買い物だ」

「お…お買い物…!?」


段々ブラスキもノッてきたようで迫真の演技だ


「この前の風呂の件で色々と必要になものが無いことを思い出した」

「なるほど…!」

「お前もついてきてくれ、俺一人だとちょっと臭いジジイだけどお前が居たら孫連れてるジジイになるだろ」

「良いですけど私も臭くないんですかね…」

「お前はいい匂いだったと思うぞ?早くしないと蚊の奴らがドラム缶探し切っちゃうだろ」

「へっ!?…はいぃぃ!お供します…!」

「よし!行くぞ!」


ブラスキと俺はスーパーに行って必要なものを買っていく


「詰め替え用で良いんですか?」

「良いんだよ、別にボトルなんてなくても中身は変わんねぇんだから」


俺と葵も家で二人になった頃からボトルに入れるのがだるくなって詰め替え用の奴を直で使っていた


「あとは…」

「結構買ってる気がするんですけどお金は大丈夫なんですか…?私一文無しですけど…」

「ん?一年以上まともな生活して無かったからな…水道光熱費とか家賃も無かったけどダンジョンに潜り続けたせいで貯金だけはアホ程あるわけよ」


特に後半は変身の乱用で無限に魔石が手に入っていたから現金受け取ってはウエストポーチに突っ込むみたいなこともしていた


「ま、贅沢しなかったから金は溜まりまくってるってわけだ」

「ご飯だけでも高いものにして贅沢してたら良かったんじゃ…」

「ん~…高いものは俺の舌に合わないんだよ…馬鹿舌だから味の良し悪し分からんし」


それにダンジョン生活で一番困ったのは病気だ。病院に行くとバレて詰むから自力で治さなきゃいけなかったらなかなか苦しい日々もあったものだ


「よし…ブラスキなんか欲しいものとかあったか?」

「…」


少し恥ずかしそうにもじもじしながらブラスキが指を指した先にあるものは


「トマトジュース?」

「ちょっと血に似てるので飲んでみたいんです…!」

「お…おう、そうか。俺苦手だから美味しくなくても責任もって全部飲めよ」

「はい…!」


何が恥ずかしいのか全く分からないが顔を赤くしながらブラスキの欲しがったデカいペットボトルのトマトジュースを買う


「…俺も少しだけ自分にご褒美買うか」


コーラの2Lと飴ちゃんとスナック菓子を数個をカゴに入れてセルフレジに行く


「店員さんにやってもらいましょうよぉぉ…」

「やだ、恥ずかしい」

「どこで恥ずかしがってるんですかぁ…」


なんか「こいつこんなもの買ってるんだ…」って思われそうで恥ずかしい気持ちわかってくれないのかな…


「よし、ブラスキこれ持って」

「ウエストポーチに入れましょうよぉ…」


物凄くダルそうに買い物袋一つを両手で持って言いやがった


「お前な…!マジックバッグ系は主婦ですら欲しい代物なんだから人前で言うんじゃねぇよ…!」


周りに人が居なくなったところまで来たタイミングでブラスキにヘッドロックを食らわせながら注意する


「ひぃぃぃぃ!ごめんなさいごめんなさい…!」

「以後気を付けてな」


設定ポロリ

・ブラスキの匂いってどんなの?

???「いや、なんというか…ミルクっぽい?甘い匂い…え、はずくない?」




感想とか頂けると筆乗るんで暇だったら書いていってください

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