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全魔と呼ばれた探索者  作者: 新戸成蔵
32/46

32.やっぱりやめとこうよ?ね?ここで戦わなくても誰も責めないよ?

誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…

「また中に入ってボス部屋まで行くか?」

「いや~…流石にめんどくさいというか…私たちは追い出された身と言うか…」

「ねぇねぇ!つまんない!さっきのあの人殺したい!」

「トイ、少しは落ち着てくれ…俺もあいつを倒しておかないといけない気がしてじっとしてられそうにないんだ」

「あ、ニコママの瞬間移動で行けるじゃん」

「俺だってそれで行けるなら行ってるさ、けどほら。見てみ」


ニコママがウエストポーチから双眼鏡を取り出して投げ渡してくる


「あ~、なるほどね」

「聖!何が見えたの?」

「いや、ただ単にボス部屋の床は今も開いたままだ」


なるほどな、確かにそれなら行っても意味がない


「さてさて…どうしようかね…」


ニコママがタバコを咥えながら愚痴をこぼした


「ニコママ、葵がいるのでタバコは止めてもらって」

「やだ、吸わないと落ち着かねぇよ」

「なら遠くで吸ってきて」

「はいはい…」


ニコママが歩いて少し学校側に歩いて20mほど歩いたところで吸い始めたその瞬間、地面が大きく揺れ始めた


「また!?」

「おいおい嘘だろ…!」


目の前にあったさっきまで聖達が潜っていた世界樹ダンジョンに似た見た目をしたそれが動き出した


「怪獣映画の世界じゃねぇんだぞここは!」

「流石にあれを倒すのは難しいかな~…」


大きな木がまた上にどんどん伸びて根元が俺達に迫ってくるほど巨大化していく


「ニコママ!」

「言われずともやるから黙ってろ!」


最終的に半径100mと言わないレベルの大樹になった木から俺達は瞬間移動で遠くに飛んで逃げ切った


「見た感じ、ただデカくなっただけだな…動いてると思ったのはデカくなっていく過程がどんどん近づいてきてるように見えてただけか」

「ビビらせやがって…」

「おじちゃん!ここ危ない!向こうの人がいっぱいいるところまで最低でも遠ざかった方が良いよ!それか今すぐあの木を殺そう!殺した方が良いね!行ってきていいよね!?」

「トイ、少し待て。学校?」

「あ~、あそこの俺達の学校に今この町の人たちが集まってるとは思うけど」

「将英高校じゃねぇか、超絶エリート校だぞ」


そう、わが校は結構エリート校と言われることがあるが…まぁ、聖がいるし…一点特化で聖みたいなやつらもちょくちょくいるんだ。エリート校と言われればエリート校なのかもしれないが普通だからね!?少数の出来る君たちのせいで俺達までエリートっぽく思われちゃうけども!


「エリート校って言われるけどエリートってほどでもないんだよな…」

「だよね、それは俺も思ってた」

「聖、あんたが言ってると少し皮肉気味になるからやめな?」

「え?」


司がお前はそういう運命だと言わんばかりの憐みの目で聖を見つめるがそれをアイアンクロウで聖は返事しながら話を続ける


「とにかく、トイが言ってるなら…あの高校まで一旦避難した方が良いかもしれないです」

「ま、そうだな」


ニコママが指を鳴らして将英高校のグラウンドまで瞬間移動した


「高校の雰囲気とか久しぶりだな~、テンション上がる」

「おじちゃん!あそこに一杯人が居る!殺していい!?」

「トイ、そこのおじさん置いといて…なんであそこに居たらだめだったの?」

「あそこにいるとなんかむずむずする!」


そういった瞬間、糸が切れたように両手に持っていた短剣を落としてトイが倒れてしまった


「お、魔力切れたなこりゃ」

「え?早くね?」

「カシオレは魔力の総量が少し平均より少ないんだ。まぁ、短剣の切れ味維持で戦ってないさっきまで魔力消費し続けてたんだろうよ」


落ちた短剣を拾おうとしたら粒になって空中に消えて行ってしまった


「その短剣はトイが想像で作った仮想物体だ。魔力が切れたから実体が無くなった」

「うぉぉぉ…!いきなり情報量多い!」


ま、まぁカシオレ姉さんに戻るならいいか


「カシオレの魔力回復まで少し待つか、お前ら散開」


一気に事が進んで暇になったな…


「母さん達ちゃんと避難できてるかな…」

「あ、聖があのダンジョンに居るの教えてくれたのはお前の母さんだぞ。探そうか」


大体こういう時に避難した人が居るのは校舎か体育館と決まっている。俺達は一目で見渡せる体育館にまず行くことにして聖の家族を探した


「お、あれじゃないか?」

「あ、ほんとだ。良かった」


聖の妹こと凛もお母さんと一緒に避難できてるな。よしよし


「聖!葵ちゃん!良かったよ生きてて!」

「あ、どうも…」


聖のお母さんがぐいぐい来るタイプで葵は少し苦手そうに俺の後ろに隠れてしまう


「美晴ちゃんとかは?」

「向こうにいるよ!」

「あ~、あのプルプル隅っこで震えてるのか。葵、美晴ちゃんも怪我してないか見に行こう」

「うん」


俺と葵は聖と司を置いて美晴ちゃんの所に行ってみる


「美晴ちゃん!」

「葵ちゃん!」

「美晴ちゃん、怪我とかしてない?」

「あ、大丈夫です。お母さんが判断早かったので」

「そりゃよかった」


美晴ちゃんのお母さんが今この場に居なかったのが少し安心だ。あの人とは前から少し気まずいんだよな…


「葵、どうする?俺は聖の所に戻る、お前だけでもここに居てもいいけど」

「いや、私もお兄ちゃん達と一緒に居る」

「先に言っとくがいくら一緒に居ても、もうあのダンジョンと魔物には近づけさせないからな」

「ちぇっ」

「美晴ちゃんも一人だと心細いだろうし、一緒に居てやれ。また後でな」

「死なないでね」

「あったりまえよ」


精一杯の笑顔で葵に心配させないように自分の胸を叩いて、聖達の所に行こうとした時。しばらく聞いてなかった懐かしい声が遠くから聞こえてきた


「柊!葵!」

「母さん!?」

「お母さん!」


葵が走ってくる母さんの胸に飛び込んでお互い抱きしめ合っている


「母さん、帰ってきてたのね…珍し、怪我無い?」

「大丈夫。柊と葵こそ怪我はないの?」

「俺は問題ないよ」

「私も何も問題ないよ」

「葵、この首の赤い痕は?」

「あ~これは…」


記憶を失った聖が暴走して葵を人質に取った時の痕って言っても変に心配させるだけ出しな…葵がした説明に乗っかろう、良いか葵。お前のその赤い痕の説明によって信憑性が出るかどうかが決まる。慎重に理由は選べよ?


「こ、転んだの…」

「ブッ…そうそう、こいつ首打っちゃってさ。心配したけど問題は無いらしい」


あっぶね!もう少しで噴き出すところだった…!

葵のやつ、声裏返ってるし、明らか手形なのに転んだ痕はちょっと無理あるだろ


「そう?大丈夫」

「うん、何も痛くないよ?」

「ならいいんだけど…少しでも異変感じたらお医者さんに診てもらうんよ?」

「まぁまぁ、葵も豆腐じゃないんだし…そんな柔く育ってないでしょ」

「もう私は気が気じゃないの!あの人みたいにあなた達は私の言うこと聞かずに人を助けることを第一優先するでしょ?」

「それは…どうだろうか」


言えない、聖と葵を助けるために最悪死んでもいいと思いながらダンジョンに潜ったなんて。絶対に言えない


「あなた達にはあの人の血が流れてるから私にはわかるの!言っても無駄だろうけど一応…良い?人を助けるのは自分の命の安全が保障されてからよ?」

「「は~い」」


母さんが俺と葵を同時に抱きしめてくる


「母さんもういいだろ、聖達の所に行きたいんだ」

「そうね、久々に会ったとはいえ少しべたべたしすぎたわね」

「じゃあ、また後でね。生きててよかった」

「だんだんお父さんに似てきたね…」


泣きながら母さんが俺の頭を撫でてくるがその手を優しく除けて聖達の所にいく


「はぁ…母さんべたべたしてくるの慣れねぇわ」

「良いじゃん、仲いいんだし」

「いや、たとえ久々に会った母親でも!頭撫でられたり熱いハグは思春期の息子にはちょっときついものがあるの!」

「またまた~、私たちは見てたよ~?お母さんの顔を見た瞬間の気の緩みきったあの子供の顔!」

「司黙って」


司が肘で小突いてくるが無視して聖達と話を進める


「いいか、母さんに何を聞かれても一時期とはいえ記憶を失ったこと、ダンジョンに飲み込まれたことは言うな」

「分かってるよ、柊のお母さん心配性だもんな」

「いや、もう手遅れだよそれ」


司が指差しながら訳わからないことを言ってるなと思いながら指が刺している方向を見て見ると聖のお母さんが俺達を指差しながら何か話している


「あ、倒れた」

「あ~も~!めんどくさい…!」

「ま、嘘はいつかバレるってことで」

「まだ嘘つく段階まで半歩ぐらいしか進んでねぇわ!」


息子が無茶をした話を聞いて気絶してしまった我がマミーを布団に寝かせてそうそうに体育館を出て隠れる


「はぁ…いつものダンジョン行こ…」

「少しは休んだら?分体のお前は休んだりしてたけど、本体のお前は少しも休んでないだろ」

「バレた?いや、でも元気いっぱいなんだよな…」

「ただの深夜テンション的なのが起きてるだけだろ。ほら、肩か太もも貸してやるから寝な」

「司が来たら起こしてくれ、あいつこういうの見たらめんどくさいから」

「分かってる」


体育館裏で壁にもたれかかって俺は聖の肩に頭を預けて少し寝ることにした


ーーーーーーーー


「おやおや?これはこれは…」

「しー…柊さっき寝たばっかりだから」

「フフフ…微笑ましいね」


柊が寝た10分後ぐらいに俺達を見つけた司がよだれを垂らして写真を撮りながら何かボソボソ言ってるがこういう時は聞かない方が良いのは長年の経験からわかる


「まぁ、柊がいなかったら俺達は地面に叩きつけられて死んでただろうしな、少しは休めせてやろう」

「んー…!ん~…!」


柊が苦しそうに唸ってる


「悪い夢でも見てるのかな」

「どうだろうな、汗が出てきてるからあまりいい夢ではなさそうだ」

「聖も疲れたら私に寄りかかってくれていいからね?」


司が俺の横に座って手を握ってくる


「おい、気色悪い」

「そう言っても強くは振りほどかないんだね?」

「柊が寝てるからな、強い振動は与えない方が良いだろ」

「そういうことにしておいてあげよう」


司も俺の肩に頭を乗っけて話し出す


「ねぇ、私たちってこれからどうなるんだろうね」

「どうなるって?」

「あの木に勝てるかな」

「大丈夫だろ、柊が魔力操作できるようになってるから柊まで戦えるんだぞ?こいつが分身したら最強だ」

「聖は、ここに居て私たちを応援してくれててもいいんだよ?」

「何でそういう話になったかな…お前らが戦うなら俺も戦う」

「だって、聖にはスキルが無いから…もしもの時自分を守れないじゃん」


司こいつ…!俺が結構気にしてることをストレートに刺しに来た…!


「まぁ、柊は分身を増やしまくって肉壁に、司は結界で攻撃を寄せ付けない。そんな感じのことは俺には無理だろうね」

「やっぱりやめとこうよ?ね?ここで戦わなくても誰も責めないよ?」

「俺が責めるよ、お前らが命を張ってる時に安全な場所から眺めてるだけなんて、俺は絶対に俺を許さない」


司と柊のどちらかだけでも戦うなら俺は一緒に戦う、それは俺の中で絶対的に決めている決定事項だ。こればっかりは柊や司でも変えることはできない自信がある


「はい、この話終わり」

「でも、私は聖が居なくなったら…!」

「もういいだろ司、俺はもう何もできないままでいるのは嫌なんだ。美咲がダンジョンに飲まれたあの日から俺は自分の無力さを呪い続けてきたんだ。今さら変えられる程俺は流されやすくはない」

「柊も聖も美咲美咲って…!元気に生きてる私のことも見て!考えてよ!」


司が魔纏を解いた状態で全力のビンタをかましてどこかに行きやがった


「柊、起きて」

「ん~?あと少し…ってどうしたそのほっぺ」

「ちょっと司と喧嘩した」

「ありゃま、いつもうまく丸め込むお前らしくない。司に意地悪し過ぎたんじゃね?」

「本心を言っただけなんだけどな~…」

「本心でビンタされるほど無自覚で司傷つけてんのお前…良いから謝って来い。俺も一緒に謝るサービスいるか?」

「いらねぇよ、ちょっくら行ってくるわ」


柊がいつものように背中をポンと押してくれるがこれをされると少し身軽になった気がする

さてさて…司はどこに行ったかな?


ーーーーーー


「やっっっっっべ~…!」


ちょっと言い合いしてる辺りから起きてたがバレてなかった…!

良かった良かった


「それにしても聖は聖で美咲の事件のこと気にしてたんだな…まぁそりゃそうか」


俺達は元々、あいつらの想定してた相手と逆の相手が好きだったんだから

もしも最後の意味が分からなかった人のために補足を置いておきます


小さいときの約束前の好きな人

柊→司

聖→美咲

司→聖

美咲→柊


約束から少しして

柊→美咲

聖→司

司→聖

美咲→柊


とどのつまり、聖も柊も司と美咲のことが好きだった時期があります

聖が気にしてるのは美咲が自分にとって元好きな人だったからと言うのもあるかもしれないですね





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