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全魔と呼ばれた探索者  作者: 新戸成蔵
23/46

23.お!ま!じ!な!い!

誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…

俺達は警戒態勢で木の中に入った


「やっぱりか…出られねぇな…」


入り口の黒い幕のようなものが張っていたため触ってみるが磁石で同極同士で合わせている時みたいに弾かれてしまう


「ま、救われたのはいきなり強い魔物が来るってわけじゃないところだな」

「ニコ…ここの魔物はまだまだ弱いみてぇだ、こいつらでも倒せるみたいだからな」

「失礼な!これぐらいまだ駅前のダンジョンのクソザコボスより少し強いぐらいじゃん!」

「すまないが私たちは清水寺の日本最難関ダンジョンの方しか行ったことがないものでねぇ…」


カシオレ姉さんが頬を掻きながら退屈そうにこちらに来る魔物を倒している中、俺は


「いや、俺は普通に勝てんが?!」


魔物から全力で逃げながら時間稼ぎをしていた


「柊…といったか?お前…ふざけてんのか?」

「いや、全力ですけど!?」

「なら何故能力を使わない。勝てないならふざけてる暇はないだろう…?」

「確かに…!流石ビリーの兄貴!」


そう言って俺は狼に変身する


「よし、これで匂いのおかげであの羊の位置は分かるぞ…!」


そう言っている間にも羊が突進してきているため、急いで体を捻じって紙一重で避ける


「粗末な魔力循環をしているお前よりあの羊のほうがまだ早い、今避けれたのはたまたまだな…」

「って言うか何であいつ自分に(のろ)…」

「あ~!ニコさんストップ!柊にあのお(まじな)いを掛けてるのは柊の為なの!」

「あ~…あれか?あの(のろ)いかけてると将来的に魔力操作が化物じみた精度で出来るようになるって迷信か?」

「迷信じゃなくて本当だよ!私のお母さんが言ってたもん!」

「お前の母親のことなんか知らん。どうでもいい、だがこの中だけでもあいつの(のろ)いを解いてやれ。死ぬぞ」

「お!ま!じ!な!い!」

「おい!柊!こっち来い!すぐにだ!」


俺は一生懸命羊から避けていて何も話を聞いてなかったがいきなり名前を叫ばれたら気付くもんだ


「なんでしょう」

「ほら、早く」

「柊、ちょっと目瞑って?」

「え?いや、こんなところでそんなことしてたら死ぬて」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!俺達が守っててやる」

「クソでかため息!守ってくれるなら、まぁ…」


言われた通りに目を瞑る


え、これ何待ち?何されるの俺今から…


そう考えていると額に少しだけ痛みが走った


「痛っ」

「はい、おしまい」

「何してんだ…ん?」


魔力の操作がしやすい…?やっぱり何かされてたのか


「お前やっぱり何かしてたな?魔力操作しずらくなる的な」

「いや~?それは気のせいなんじゃない?」

「そうか~?」


どうやら違うらしい…なんでだ?


「まぁ、魔力操作しやすくなったしな…ありがと」

「どういたしまして」

「ほら、あの羊ぐらいなら今だと楽勝だろ?」


ニコさんがニヤケながら俺を見てくる


「ちょっとやってみます」

「いつもより魔力流す量を多くするんだぞ…」

「ビリーの兄貴に言われずとも…!」


いつもより全身に魔力を流すイメージをしたが今までの比じゃない程に魔力操作がしやすい、しっかりイメージした量を流せているのが手に取る様にわかる


「おぉ、あいつ魔力多いな」

「そ!現時点で魔力量は既にお母さんと同じぐらい!」

「さっきからお母さんお母さんて、お前のお母さんそんなにすごいのか?」

「うん、私の苗字は(にのまえ)だよ?聞いたことない?」

「ない」

「何言ってんだい、私たちに魔力の使い方を教えてくれた師匠こそ(にのまえ)(はな)。おそらくその子の母親だよ」

「…!お前…花さんの娘さんか!?」

「そうだよ!お母さんの言うことは絶対だもんね!」


俺が頑張って羊と戦っている間になにやら他の話が始まっているがまぁいい、丁度今2匹目の羊を狩り終わったところだ


「うん、全然いける…やれるな」

「お前…気力は使わないのか?」

「ビリーの兄貴…俺はまだ魔力しか訓練しとらんとです…」

「気力の特訓は…しないのか?」

「あ、やろうと思えば。こいつに」


そう言って俺は自分の分体を一体出して気力の特訓を受けさせてもらえるか試してみる


「良いだろう…俺が教えてやる…」


分体(おれ)を少し遠く連れて行ってビリーの兄貴は丁寧に教えてくれてるようだ


「おい、あまり分体を出すんじゃねぇよ」

「いや、ニコさん聞いてください。俺は25の分体を一気に取り込んでも問題はなかったんですよ?一人だけならまだ問題はないはずなんです」

「それはそうだが新しいことを覚えようとしたらその分、その分体から得る情報量多くなるだろ」


過保護気味なニコさんだがこれ以上言い合いをしてもめんどくさくなるだけだろう…


「ま、それは要注意ということで…」

「あ、今めんどくさいって思ったろ!絶対思ったろ!」

「あ~あ~聞こえな~い」


俺はニコさん(ママ)の言葉を耳をふさいで聞こえないフリをしながら羊が落とした魔石を口の中に放り込む


「いやいやいやいや!さっきから何してるの!?ニコおじさんびっくりなんだけど!?」

「キャラ崩壊してますニコさん」

「キャラ崩壊するようなことしてるのはお前だ!」

「柊は魔石食べないと対象の情報が入らないから変身できないんだよ~」

「『対象の情報』…ねぇ…」

「…?」


カシオレ姉さんが何か言いたげな様子でこっちを見てくるがまぁ無視でいいだろう


「うむ…どんな感じかな…?」


羊の姿に変身し少しだけ動き回ってみる


「ん~…?パッとした者はないな…狼の方が野生の勘?みたいなものも働くし嗅覚ももっと澄んでた」

「へぇ~、でも一応その体の使い方も慣れておいた方が良いね」

「ま、そうだな~」

「分体はこれ以上出すんじゃねぇぞ~、どうなるかわかんねぇんだから」

「へいへい、大丈夫なのに…」


ーーーーーーーーーーーー


「ん…ここは…?」


見覚えのない場所だ、例えるなら…木でできた洞窟?


「イタタ…聖さん!?大丈夫ですか?」

「お、おはよう」

「ここはどこなんでしょうか…」

「さぁ…ところで…君は?」

「え?」


目の前にいる知らない女の子に名前を聞いてみる


「葵ですよ!堀江 葵!お兄ちゃん(堀江 柊)の妹で…」

「ごめん、柊という人も俺は知らない」

「なんで…!?頭を打ったんでしょうか…」

「俺はまず何でここにいるのか、俺はいったいどんな人物なのか。聞かせてくれないかい?」


そう、俺は自分の名前すらわからない…記憶喪失というやつか?


「名前は住岡 聖、お兄ちゃんの話だと…知らないことでもすぐに何でもできるようになる完璧超人、文武両道とか…そんな感じだったと…私個人的には優しいもう一人のお兄ちゃんって感じですかね」

「なるほど…俺はそんなにすごかった人なんだな…完璧超人か~、さぞ重い称号だろうさ」


葵ちゃんの話によると俺は完璧超人などというふざけたあだ名があったようだ。いくら努力しようが何だろうが「才能」だの「完璧超人だから~」で誰も認めてくれなかったんじゃないだろうか


「とりあえず…ここから出るためにここら一帯を探索しようか」

「は、はい…!」


ーーーーー


「おい、先に進むぞ。時間は有限だ」

「は~い」


ニコさんが先に進むために探索をやめ、あらかじめ見つけておいた階段に集合を促す


「ニコ…あんた、もっと戦いなよ」

「カシオレ、それ以上言うな。俺はそんなに強くないからな、戦うのが怖いんだ」

「ハハッ、よく言うよ。俺達を半ば強引に…ほぼ実力行使でこのギルドに誘ったくせに」

「それ以上言うと首チョンパかますぞ…次の層に備えろ」


階段をのぼりながらローブの皆さんが魔石を大量に俺に渡してくる


「分体から聞いた…魔石が大量にいるんだろう?」

「あ~、まぁ魔石一杯食べたらユニーク育つかな~なんて…」

「食べておけ…この後食べておいた方が良かったと後悔するよりマシだ」

「あ、でもビリーの兄貴~?魔力過多で死にかけることになるから魔石は一気に食べさせられないんだ~」

「それなら大丈夫だ…このダンジョン産のアイテムを使う…」


そう言ってビリーの兄貴は俺に怪しい壺を渡してくる


「強欲な壺だ…魔力を吸って蓄えてくれる」

「名前危ないというよりもうほぼアウトだろ…」


強欲な壺を受け取り、とりあえず今ある魔力の半分程度を感覚で入れ過ぎないように注意しながら入れてみる


「よし、食べていくか~」

「静かに食えんのかお前は…!」

「気を張りっぱなしは大変なんだから階段ぐらいは少しはリラックスさせてやんな」

「カシオレの姉さんの言う通り!ダンジョンの層の間にある階段はセーフティエリア!常識でしょ?」

「普通のダンジョンじゃないからいつイレギュラーが起きても不思議じゃないんだぞ…!まぁ今のところ大丈夫だが…」

「次の階層が見えたな…さっきの階層と同じ見た目のようだな」


木でできた洞窟のような見た目のままだ


「景色が変わらないってことは…一気に敵が強くなったわけじゃなさそうだな…」

「そうだな。じゃあそれぞれで探索を…」


ニコさんがまた解散をしようと号令を出そうとしたら目の前に突然小さい鳥の魔物が飛んできた


「うわっ…」

「階段にまだ居てよかったな。幕が張られていて助かった」


階段と各層は隔絶された空間。各層と階段を行き来できるのは探索者の特権である


「にしても恐ろしいスピードだな…」

「自分のスピードで幕に当たったからね、ほぼ自殺みたいなもんさ」


カシオレの姉さんが地面に落ちてピクピクとあとは死ぬのを待つだけになった痙攣した鳥にとどめを刺しながら小さく呟く


「ほら、魔石」

「こいつのスピードは欲しいな、最優先だ」


俺は真っ先に他の魔石を袋に戻して鳥の魔石を口に放り込む


「よし、これでこいつの姿も手に入れたはず」

「じゃ、探索と行くか。お前らならすぐ対応できるだろう」

「柊は私の結界から出ないようにね~」


皆の顔から笑顔という甘えが無くなり、一気に緊張が空気に走った

設定ポロリ

・今までで経験した理不尽

柊:聖と一緒に居すぎと女子に呼び出された

司:親に遊びたいと言っても家の仕事を継ぐ勉強をさせられた

聖:司がほとんどやった悪事なのに擦り付けられた

美咲:お兄ちゃんを返して!と葵に叫ばれた

葵:兄にプリンを3回連続で食べられた

美晴:大好きな姉の話を一部を除いて誰もしてくれなくなった



感想とか頂けると筆乗るんで暇だったら書いていってください

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