22.私達は口が悪くていいのさ、なんせ偉いからね
誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…
「いやいや、世界樹ダンジョンってあのクッソデカいやつだろ?テレビで見たやつより細くないか?」
横にいた小林が冷静に言ってくる
「まぁ…言われてみれば?」
「柊!行くよ!聖と葵ちゃんが…!」
「あぁ…!」
何か引っかかるがまぁいい、今は聖と葵の救出が最優先事項だ。自分たちの安全どうこうはダンジョンにおいては司が居たほうが10倍は安全だ
「一応途中でスーパーに寄れ!食糧類を少しでも多く補充しろ!」
「…分かった!」
俺をおぶった状態で司が他のことを考える余裕がないように焦りまくっていた
「頼むから…無事でいてくれよ…」
「スーパーでいい?!」
「あぁ!お前は何か作れるものの食材を!俺は缶詰を少し拝借してくる!」
俺達の家の近くにあったほとんどが崩れかけているスーパーで無事なものだけを少しだけ拾い集めていく
「よし、司行くぞ!!」
「焦っているとはいえ盗んでないこれ!?」
「ならお前の財布から金出して適当にレジんとこに置いとけ!早くしろ!!」
「あぁ、もうわからないっ!」
財布の中から何枚か諭吉を取り出してバッとレジのところに置いた
「流石に5万ぐらいは多すぎだろ。そんなに取ってきたのか?」
「いや、元々食材は大量にあるからそれに少しプラス分と調味料系をいっぱい持ってきたの」
「それでも5万は多いな」
「いいの!ほとんど火事場荒らしと変わらないし大事な食料を少し貰っていくんだから!」
「それもそっか」
そう言いながら出てきた世界樹ダンジョンに酷似した謎のダンジョンの入り口を探す
「あった!ここだ!」
「すっげ、始祖ユミルが入っていった木の穴みたいな感じだな」
「分かる人にしかわからない例えやめた方が良いとおもう」
「お前もしっかり分かってるだろ」
「そういえば柊の装備は?どうする?」
「場所的にこの謎の木に家ごと持っていかれてるからな…」
「あ~も~!私の装備上げる!一応男女ともに使えるやつ使ってたから大丈夫だと思うけど!」
「助かる」
「あの~、少しいいですか?」
二人して急いで着替えて木の中に入ろうとしていたら後ろから声をかけられた
「危ないですよ、見た目的に世界樹ダンジョン的な扱いだと思うので」
「あ、いやいや。それは分かってるんだけど…君たちこのままだと多分死ぬよ?」
「いや、ここには世界樹ダンジョン試験に合格した司だって…」
「司さん?もだけど特に…君が俺のことをまだわかってない時点で無理だね。まともな判断力じゃない」
「…?」
何言ってるんだこの人と思っていたがよく見れば見覚えのある顔だ
「あ、市役所の」
「せいか~い。市役所の魔物換金所で働いてるお兄さんだよ~」
「お兄さん、今は時間がないの!聖と葵ちゃんが!」
「聖って子は何となく誰か予想立てられるけど…葵ちゃんは知らないな~。というか今入っても君たちじゃ無理だって。ちゃんと耳ついてる?」
ニコニコ笑顔で煽ってくる。まるで強者の貫禄だな
「中に俺達の幼馴染と妹が居るんです…どうすれば」
「諦めな」
お兄さんが笑顔のままで俺達の肩に手を置いてまるで小さい子供をなだめるかのようにやさしく、キッパリ言ってきたがそれに対抗するように司がお兄さんの手を払って反論する
「いや、諦めるっていう方が無理でしょ。私たちの大切な家族みたいなものなんだよ!?」
「落ち着きなよ~、これだから姉さん以外の女は嫌いだ…」
「どうにか…どうにかできませんか?」
「君たちが無事なままの方法は何個かあるよ、うん何個か」
「教えてください!」
「うるせぇよアマ、耳元で叫ぶなキーキーと高ぇ声が頭に響く…」
心底イラついてるように司にアイアンクローをかましながら優しかったお兄さんがピキっている
「1、このままその二人を忘れて暮らしていく」
「だから…それは…!」
「2、俺達が代わりに救助に行く」
「…!」
市役所のお兄さんがパチンッと指を鳴らすと突然後ろに6人ほどのローブを羽織った人たちが現れた
デザインは似ているが愚者の円卓ではない…別のギルドか何かか…?
「3、俺達に特訓してもらって試験を受けて合格をしたら行くことを許す。まぁ、そんな悠長にしてたらその二人が死ぬがな~」
「なら皆さんが行って来てくれませんか…?報酬はどんな額でも。死ぬまでに絶対に払いきりますので」
「いいな~、お前。そういう思い切りのいい奴俺は好きだぜ」
ローブの集まりの中の一人が俺に顔を近づけて言ってくる
「ま、めんどいから嫌なんだが」
「そんな…!」
「まぁまぁ、こいつがめんどくさがってるだけだ。他のメンツで行けばいい」
「何で私たちがこんなクソガキのために動かなきゃいけないの?」
「言っただろ、預言者が言ったからだ。『こいつらが後々に重要なカギとなる』」
「分かった…分かったよ…私たちがそんなに弱いなら…」
司がボソボソとアイアンクローを喰らったまま結界を広げた
「おい、良いのかよ。隠してたんじゃ…」
「四の五の言ってられない。今すぐに修行を付けて」
「人に物言うやつの言い方じゃねぇな。それにこの半球はなんだ」
「私のユニーク。今は能力の一つの時間促進を使ってるから結界外より時間の進みが10倍」
「は~なかなか便利だな。良いだろうお前は同行することに許可してやる。結界とやらを解け」
「いや、柊も一緒に」
「はぁ?ならいい。お前も置いていく」
「柊もユニーク持ち」
「何…?」
顔だけがずっとニコニコしているお兄さんがこっちに視線を向けてくる
「あ、まぁ…俺のはなかなか便利とは言いませんけど…」
「何言ってるの、柊のユニークの方がすごいんだから自信持ちなよ」
「あ~、イチャコラすんな。早くお前のユニーク見せろ」
俺は半球の中で少しだけ離れて『変身』を使う
「スライムに変身しただけか?」
「あ、一応他のにもなれます」
そう言って分体で何体か自分の分身を出して他の魔物に変身させる
「こりゃイカれてんな。人海戦術もお前ひとりで出来るじゃねぇか」
「でも本体の俺は疲れたりしないんですけど、分体が分身を作ると酷い倦怠感があるらしいんです」
「そりゃもう、一日中休む暇なく働いた後みたいな感じだな」
「「「うんうん」」」
「収集が着かんな、分身消せ」
「あ、はい」
俺の身体に体当たりするようにどんどん戻ってくる。分体全員を俺の中に戻した後、一気に頭の中に色んな考察が浮かんでくる
「あ、これ多分ですけど俺の分体の経験とか考えていたこととか俺の中に戻した時に全て収束されますね」
「は…?」
「じゃあ、あのダンジョンにいる柊の分体全員取り込んだら今すんごい強くなるんじゃない?」
「って言ってもステータス上昇が起きるわけでもないからな、魔物の身体の使い方が上手くなるぐらいだろ」
「今すぐにそのダンジョンにいる分体とやらを取り込んで来い。今すぐに」
ニコニコしていた顔が一瞬で真顔になったのでギャップで心臓がびっくりして爆発しそうだが何とか堪えた
「いや、何分かかかるし…今から行くならもう今ここで分体増やして木の中に特攻して体の動きを実戦形式で覚えていった方が早いです多分」
「聞こえなかったか!今すぐだ!どんだけ危ない橋渡ってるんだお前!」
「は?!いや、そんなこと言われても実験中の能力でしたし…?」
「人間何人分かの経験と知識を一気に取り込むとか頭おかしくなるのが普通なんだぞ!この司とかの言い草的にお前…!何人の分体作りやがった!」
「えっと…各層に5人ずつ…5層分…?」
「25...!どこだそのダンジョン!今すぐ連れてってやる!」
「あの山の所ですけど…」
そういうとお兄さんがすぐに指を鳴らしその瞬間景色が変わった
「え?」
「早く行ってこい」
「あ、はい!」
走ってダンジョンの中に入って大声を出して招集を促す
「分体全員集合!階段に近いやつは下の階に言って同じこと行って戻って来い!」
すると俺の前にすぐに数分もかからずに集まった
「どうしたんだよ」
「いや、全員俺の中に一回戻れ」
「へいへい」
何も反論もせずに俺の中に戻ってくるがどんどん俺の中で分体の経験が収束していく
「おぉ、流石俺だな。色んな考察と結果、各魔物の身体の動かし方が感覚でわかる」
ここからはあの市役所の人には申し訳ないが…俺の考えで動かさせてもらう
すぐに分体を一体出して俺は一言だけ分体に言う
「よし、頼んだぞ」
「おう、任せとけ」
ーーーーーーーーーーー
「いや~私一人だけ残されちゃったけどこのローブ集団に囲まれてるの怖すぎでしょ」
「よ~し、戻ったぞ~」
「この瞬間移動はお兄さんもユニーク持ちなんですか?」
「あ?ユニークとはまた違ぇよ…」
「柊!大丈夫だった?」
「何も問題なし、流石俺って感じ」
「質問しといてシカトかよ…チッ」
そう言いながらお兄さんが結界から出てローブの集団に何か言っている
「音が遅すぎて何言ってるか全くわからないね」
「あっちからすればこっちは10倍速、こっちからするとあっちは0.1倍速だからね~そりゃ何言ってるかわからないよ」
「俺達も外に出るか」
俺達もお兄さんたちが何を言ってるのか聞くために外に出る
「…てなわけで、こいつら二人ともユニーク持ちだから伸びしろがある。現段階で中に連れて行ってもいいとは思う」
「嘘だろ。ユニーク持ち一人ならまだわかるが二人ともか…」
「ダンジョンに潜ってないからわからないから多分だけど…聖もユニーク持ち」
「あ~聖もユニーク持ちだろうな。あの完璧超人なら」
「あ~残念だがそれはないだろうな。俺の周りにもそういうのが居たがそいつはダンジョンでは落ちこぼれになったからな」
「「聖を一緒にしないでもらって」」
「あ~、はいはい…いねぇやつの話しても今はほぼ無意味だからこの話やめ」
ニコニコお兄さんは手を叩いて話を強制中断して、中に入る準備をし始める
「結局私たちも一緒に行ってもいいの?」
「おう、けど後方支援な。荷物持ちとか…着いてこれずに置いていかれたからって怒るなよ」
「ありがとうございます」
「…ふん」
お兄さんはなんだか気まずそうに胸元からタバコを出して火をつける
「ふぅ~…」
「ニコチン中毒者だ…」
「あ?なんつったこの…」
「あ~あ~ごめんなさい!司はタバコが嫌いなんです!」
「だってこんなの自分の身体にも悪いし何より周りの人のほうが害があるとか最悪過ぎるでしょ!」
「うるせぇな~!これ吸ったほうが落ち着くの!」
「そこのクソガキ、このニコニコお兄さんに言っても意味無いよ」
「お姉さんもお姉さんで口悪いですね…」
「私達は口が悪くていいのさ、なんせ偉いからね」
こっちの肩を掴みながら褐色肌の口が悪いお姉さんは自慢げにローブを見せてくる
「ま、俺達は表には出ないギルドだ…見せても意味ねぇよ」
吸い終わったタバコの吸い殻を踏みながらニコニコお兄さんがローブを羽織る
「さて、行くぞお前ら」
「あ、皆さんの名前を教えてください」
「はぁ?呼称とかどうでもいいだろ。俺から順番にA、B、C、D、E、F、Gだ」
「もっとちゃんとしたのにしてください、ニコチンお兄さん」
「はぁ…なら俺から順番にギリシャ文字でどうだ」
「どんだけめんどいのさ…もういい私が付ける」
「さいですか…」
なんだかんだ司の言うことも聞いてくれてるからこの人は根の部分から優しいな
「じゃ、お兄さんはニコさんで。そこのおじさんはジャック。お姉さんは…」
そんな調子で付けられていったローブ集団は少し戸惑いながらもニコさんに指示を乞う
「ニコさん?こんなに勝手させてて良いのかしら?」
「あぁ、ガキのやることだ~大目に見てやれ?それに訓練の一環もなる、こいつのあだ名以外使用禁止な」
「全く…めんどくさいねぇ…」
褐色口悪お姉さんが笑いながら話に乗る
「他にはないか?」
ニコさんがこちらを向いて聞いてくるが特に何もないので黙っておく
「…無いな、気を引き締めていけ。相手は世界樹ダンジョンのような見た目をしている。誰も帰ってこれない確率のほうがまだ高いからな」
褐色口悪お姉さんことカシオレ姉さん達が今から死ぬかもしれない場所に潜るにしては明るい顔で少しニヤケている
「さ、将来のための人探しだ。お前ら、死ぬ覚悟はできたか?」
「「おう!」」
設定ポロリ
好きな漫画のジャンル
柊:王道バトル
司:ドロドロ恋愛
聖:ギャグ系日常
美咲:純愛
葵:人が死にまくる系頭脳バトル
美晴:王道ファンタジー
司が付けたあだ名は
・ニコさん(ニコニコ+ニコチンから)
・カシオレ姉さん(褐色肌お姉さん(オ)+レ)
・タモちゃん(某笑っていいともの人に似てるから)
・ゼロさん(スキンヘッドだから)
・ビリーの兄貴(ビリーって感じの顔だから)
・キリスト(ロン毛だから)