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全魔と呼ばれた探索者  作者: 新戸成蔵
20/46

20.お!おぉ!?キタキタキタキタァァァァァァ!

誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…

夜飯を食べて、少しだけ葵とゲームをしながら雑談した後、寝ようとしたころに突然聖からRAINがきた


『至急、助けて』


この画面を見て俺は思った。めんどくさい…と、だが俺は聖の幼馴染で大親友だ。もし本当に命の危機にさらされていたりして助けを求めていたらいけない。俺は寝巻のまま聖の部屋にバタバタ乗り込んだ


「あ~柊だ~、聖押さえて~」

「よく来た大親友よ!助けてくれ!」

「お邪魔しました…」


ドアを勢いよく開けて見て見れば、司が下着で聖の上乗りになっているだけだ。何も問題はなかった、見なかったことにして逃げるに限る


「ちょい!助けろって!こいつ酔いやがった!」

「はぁ?高校生にもなればお酒の一口や二口飲んでみたくなってくるもんだろ」

「普通に未成年飲酒です。やめましょう。ってかこいつ引き剥がして」

「も~私はまだ酔ってない!そんなことより…ね?聖~」

「あぁぁぁぁ!!!柊!マジで!何卒!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」


俺は大きい溜息を吐きながら司に毛布を被せて引き剝がした


「縛っておいてくれ!頼む!」

「はいはい…ほら司、ミノムシになれ」

「わーい、私ミノムシだ~」


バンザーイと挙げている手を下に戻して縄で毛布ごと縛った


「で?何で酒なんか飲んでるんだよ」

「いや、母さんが買ってきたウイスキーボンボン食っててこうなった」


よく見ると聖の近くにウイスキーボンボンの箱がある。聖のお母さんのことだ、普通のチョコと思って買ってきた感じだなこれ


「はえ~…そのまま襲われておけばよかったのに」

「ミノムシ暑い~!!」

「あ~待て待て、タオルケット持ってくるから」


そう言って聖は部屋から出て行ってしまった


「で?お前は何で酔っ払ったふりしてんの?」

「いや~既成事実作っちゃえばこっちのもんかなって…」

「おいっ」


目をそらしながら恐ろしいことを言い出した


「お前のこと聖が嫌いになっても知らないからな」

「ん~…だって…私も立派な身体になったもん!」

「胸もくそもないだろお前、まな板にするぞボケ」

「胸が全てじゃないんです~!私には他にもいっぱいの魅力があるの!」


そう言ってると聖がタオルケットを2枚持ってきた


「ちょっと探すのに手間取った…ほら司、毛布とこれ入れ替えな」

「わ~い。聖ありがと~大好き~」

「はぁぁぁ…」


また酔っ払ったふりをした司の縄を解いて毛布とタオルケットを入れ替えてまた縛り直す


「で?どうすんのこいつ」

「大量の水飲ませて酔いを醒ます?それか柊の家に持って行ってくれ、こっちの鍵閉めとくから」

「今日は聖と一緒に寝る日だも~ん!」

「だそうですが…?」

「酔っぱらいの言うことは聞かんでいい」


ちらっと司のほうを見ると目で「どうにか協力しろ」と訴えてくる


「まぁ…縄で縛るのも可哀想だし?解放してやれよ」

「柊、今のこいつは魔物だと思った方が良い。絶対隙を見て襲ってくる」

「もういいじゃんそれで」

「良くないって!おい!縄を解こうとするな!」

「ア、ゴメーン。ホドイチャッター」


限りなく棒読みに近くなったが聖の言葉は聞こえないと司の縄を解く


「えへへ~、聖~」


解放された司は聖に抱き着きに行った


「じゃ、お休み」

「待て!柊、泊まって行かないか?」

「明日、終業式だし。遠慮しとく」

「んふふ…聖~」

「あ、いや…ちょっと!?柊ぅぅぅぅぅ!」


鼻をほじりながら俺は聖の部屋から退散し、自宅の自分の部屋に戻って電話が鳴りやまないスマホを無視して早急に寝た





「おい…おい~…柊起きろ~…」

「ん~…どうしたそんな幽霊みたいな言いか…た…」


目を開けて聖の声のする方を見ると萎れてシナシナになった聖が居た


「え、本当に卒業式したの?」

「もう…抵抗することをやめたよ…ハハハ…」


砂のように崩れ去った聖の声からは昨日の様子がうかがえる


「あ~、なんだ。ごめん、それとおめでとう。うちでお赤飯炊いとく?」

「祝いなんていらない…もう…お婿に行けない…!」

「お~お~泣くな、そんなに司強引だったんか」

「終始なされるがままだったよ…」


今の聖に着替え取ってとは言えないため自分で着替えた、バッグも聖の分も持って家を出た


「あ、おはよう司」

「おはよう!はいこれ朝ごはん」

「あ、あんがと…ちょっと聖。先行っててこいつと話がしたい」

「うん…ゆっくり行ってる…」


そう言って聖は一人トボトボと歩幅狭く学校への道を歩き出した


「おい!お前やりすぎだろ!」

「いや~!途中からもう諦めた感じだったからこれはチャンスだと思って!」

「もう精根尽きてるだろあれは」

「次はもっと積極的に聖から来て欲しいな~」

「お前の口からきくとキショいからそんなこと言わんでくれ…」

「4時ぐらいまで動き続けたからね!眠い眠い」

「ウッ…聖泣いてたからな…今後は限度ってもんを知れ、男は限界があるんだ」

「ちゃんとゴム着けたからいいと思うんだけどな~」

「オエッ…じゃあな」

「あ、今回の報酬は後で渡す」

「内容による…」


別れ際にえっぐい一言を放った司と別れを済ませて走って聖を追った、そのついでにチラッと司を見ると変な歩き方をしていたからこれはガチだと思った


「ま、まぁ…将来を約束してる仲なんだ。時期が早くなっただけだよ」

「そうだね…まさか初めてがあんな無理やりなんて…!ムードも無い…!」

「そこ!?」

「司がロマンチストじゃないことを改めて知った…」

「ってかこういうこと仲の良い奴らから聞きたくなかったのだわ…」


司からもらったおにぎりは相も変わらずうまかった。いつもより具が多い気がしたが多分気のせいだろう






「じゃあみんな、夏休みだからって羽目を外しすぎちゃだめだぞ?お酒飲んだり、夜に遊びまわったりしちゃだめだからな~。先生からの宿題、思い出一個作って来い!またな!」


先生がそう言って一学期最後のSHRが終わった


「聖、終わったぞ…?」

「お酒…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


聖は頭を抱えてがたがたと震えながら延々謝っている…トラウマみたいになってんじゃねぇか!


「帰るぞ?」

「あ…うん」


聖の腕を掴んで無理やり引っ張って下駄箱まで連れていく


「もうそろしっかりしろ、イケメンが台無しだぞ」

「うん」


少し肌の色が戻ってきた聖を連れてその日はゆっくり帰った


「じゃあ、またな」

「また…」


細々と笑いながら聖は自分の家の中に入っていった


「はぁ、疲れた…」

「おかえり、柊。お昼ご飯どうする?」

「あ?サンドイッチ」

「だいぶ高圧的~…聖も呼んで」

「ん」


スマホで聖を呼んで着替えに自分の部屋に行く


「柊、助けて」

「また~?司のリミッター外れすぎだろ」

「いや、単純に司の顔見れない」

「えぇ…普通に話してればどうにかなるだろ」

「気まずいんだよ」

「さいですか…」


はぁ…とため息を吐きながらリビングに戻って司と聖の会話の仲立ちをしながら昼食の時間が終わった


「ごちそうさま、司。昨日貰った封筒には何が入ってたんだ?」

「ん?はい、読んでみな~」


ポイッと投げるように渡してきた封筒を受け取り、中に入ってる便箋を取り出す


「ふむ、英語だからさっぱりわからん」

「あ、俺が読む」

「お、聖頼んだ」


便箋を受け取った聖が和訳して読んでいく


「おめでとう。君は愚者の円卓の第五席に選ばれた。返事はこの紙の下の『はい』か『いいえ』に丸をつけてくれたら遠隔でわかるようになっている、期限は三か月。その三か月後、愚者の円卓のメンバーが入れ替わる時期に君は席に座っていると予言がある。なんと今回は君の他にも二名。日本人が選ばれている。愚者の円卓の過半数が日本人になるのは初めてのことだ。君にとっても居心地は良くなるのではないのだろうか。良い返事を待っている」


あの仮面男が言ってることとほとんど一緒だが、他に日本人が二人か…それはすごいな


「は~、なるほど。どうすんの?」

「柊と聖がそれまでに強くなってたら入る、まだ強くなってなかったら入らない」

「ギリギリに決める感じか」

「うん、たとえ愚者の円卓でも二人と一緒に居たいもん」


俺と聖の皿も一緒に片付けながら司は迷いなく言った


「嬉しいこと言ってくれるな」

「だな~、俺も早くダンジョンに行きたいわ」

「あと一週間後でしょ~?もう少しだから走り込みでもして体力づくりしなよ」

「筋トレしまくるか…」

「じゃ、俺は今からダンジョン潜ってくるから」

「あ、私も行く~」

「二人とも気を付けてね」


探索用の服に着替えてすぐにダンジョンに向かっていく


「ねぇ、待ってよ~」

「ゆっくりしてる暇あんのかよ、第一席まで行くんだろ?」

「まぁ、現実的な話ほとんどの確率で無理だろうね~」

「はぁ?」

「流石にまだダンジョン潜りたての高校生三人がそれを仕事にしてるような上位陣に辿り着けるわけがない。今一番やりたいのは…あの人に飾りって言ったことを撤回させること。私単体で今からでも間に合う可能性はある…必ずやって見せる」

「お、おう…頑張れよ…」


つまり、司は「柊と聖は足手纏いだから一人で戦う」と言いたいわけだ。舐めたことを言ってくれるじゃないか…俺も聖も覚悟は当の前からできている。無理やりにでもついていってやる


「じゃ、私は下の層に行くから」

「おう、行ってこい」


ダンジョンの中で司と別れてすぐに俺はスライムに変身する


「さて…分身はできるかな?」


俺を二つに分けるイメージ…もし出来たら俺は飛躍的に強くなれるはずだ


「お!おぉ!?キタキタキタキタァァァァァァ!」


全身から震えが止まらないがどんどん自分が二つになっていく感覚。これは分身出来てきている証拠だろう


「「お、行けた」」

「「流石俺、同じこと言ってるな」」


ん~…!何とも言えないイライラ感!


「じゃ、分かってるな?お前は一層、俺は変身を解いて二層に行く。頼んだぞ」

「任せろ、全ては聖と司と…葵のために」

「よし、行け!」

「おう!」


そういうと俺の分身はポヨンポヨンと跳ねながらどこかへ行ってしまった。Aの言うことによると自我の崩壊とかなんとかが起こるところだったが賭けには勝ったみたいだ。ある程度の楽観視と目的の開示、それが俺が二人いてもパニックにならないままいられる条件。俺のことだからな、考えずともわかる


「俺は…二層の狼とタイマン勝負何連戦だ?」


階段を降りながら止まらないニヤケを抑えることなく二層に挑む


「ここでも変身して戦っていた方が良いのか…?あ、狼を先生として狼の体の動かし方を学ぼうそうしよう」


急いで狼に変身して俺は匂いで狼を探す


「そこの角か」


狼は匂いで位置がわかる、やっぱりスライムに匂いが無かっただけか。これは魔石回収率が高くなるな…!


グルルルルルル(お前何者だ)…」

「え、狼さんの言葉がわかる!すっげぇぇぇ!」

ワンワン(何者だ!)!」

「いや、野良のワンワンです」

ワオーン(仕方ない)ワンワン(ついてこい)!」

「あ、ちょっ!?」


トコトコと先に走って背中がどんどん遠くなっていく狼に一生懸命に四足歩行でついていく


※ここからは普通の会話みたいに書きます。ワンワン言わせ続けるのもめんどくさいので(by作者)


「ここだ!」

「おぉ…?」


連れていかれたのは3匹ほどの狼のグループの縄張りだった、なかなか強面な狼が集まっている


「親分!おかえりなさい!」

「親分!」

「親分聞いて聞いて!」

「おぉ、お前ら。新入りだぞ、優しくしてやれ」

「え?俺まだ入るって言ってないけど…」


突然の勧誘にびっくりしすぎて本心が飛び出てしまった


「おいおい!お前親分の優しい優しい勧誘を断るのかよ!」

「俺の目的は体の動かし方のマスターだ!俺はもうあるやつの舎弟なの!」

「何ぃ!?お前、もう既に舎弟だったのか!なら…殺り合うか?」

「え?体の動かし方を工夫したいだけなんだけど…」

「ハハハハ!お前、狼らしくないな!何事も戦いの中で学ぶのが狼だろ?つべこべ言わずにかかってこい」


親分と言われていた狼が挑発をしながら笑っている、何この強者感…


「え?あ~、なら…対戦おなしゃす」

「よし来い!」


親分は俺に向かって走りながら噛みついて来ている、狼の姿でも蹴りはできそうだな…前足に重心を落として…後ろ足両方で後ろ蹴りだ!


「キャウン…まいりました…」

「あ?雑魚過ぎんだろ。さっきまでの強者感はどこ行った」

「い、いや~…動きが狼じゃないっていうか…狼を超えてるっていうか…」

「全然参考にならないな…お前も修行とかした方が良いんじゃないか?他の群れと戦ったりしてさ」

「はい…精進させていただきます」

「ん、じゃあな」


設定ポロリ

・スマホのスタート画面

柊:好きなゲームのかっこいい画像

司:幼馴染四人が乗った小さい頃の写真

聖:魚の泳いでる写真

美咲:スマホなんて持ってない

葵:好きなゲームの可愛いキャラ画像

美晴:綺麗な景色


聖は食べるのも観察するのも魚大好きな人です。別に魚に詳しいわけじゃないけど

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