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全魔と呼ばれた探索者  作者: 新戸成蔵
19/46

19.Hey, shut up

誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…

「他には?」

「んじゃあ最後に…柊はさ、司の我が儘にどうやって応える?」

「どうやってって何だよ」

「俺は正直強くなるためなら他人の協力とか求めまくるし、努力も惜しまない。けど柊は自分の力でどうにかしたいタイプだろ?そこら辺どうするのかなってさ」

「は~?何言って…」

「真面目に」

「…正直なところ、ほんとに全部自分でどうにかして地道に強くなりたいところではあるよ。でも…二人には置いていかれたくない。それに時々考えるときがあるんだ。もし、一番大事な場面で大切なものを守れないまま力不足を感じるぐらいならどんな手を使っても強くなった方が良いんじゃないかって」


どんどんと思っていたことが口から出て行く、聖が真面目に聞いてくれるからかはわからないがもう止められない、止めたくない


「俺はどうすればいいのかわからない…ユニークスキルって言う面白い能力が、俺にしかないやりがいが出てきて嬉しい反面、俺に与えられた意味があるんじゃないかって…いつも思う、なんで俺なんだって。なんで俺にこの能力がきた、なんで俺が…なんで…俺は何をすれば」

「意味を考えるのはいいけどさ、それのことばっかりになるのは疲れるだろ?もう少し気を抜いていこう」

「気を抜くって…言われても」

「いつも気を張ってるだろ?俺とか司だけじゃない、周りの人間にも怪我とか見たら真っ先に柊は飛んで行って何かと処置しながら自分のせいにするじゃないか、『今のは守れた』『ごめん、俺が悪い』ってさ。でもいつも思う。柊はもっと人や物のせいにして、自分を過小評価したほうがいい」


人や物のせいにしていいって言われてもな…


「極論は怪我してる人が悪いんだよ。押された、足をかけられたとかでも最終的にはそれでバランスを崩して怪我したそいつ自信が悪いんだ。俺も柊も司も、人間全員完璧じゃないんだ。そこまで完璧を演じなくていいよ。ユニークスキルを与えられた意味?『神様の気まぐれ』『たまたま』で良いのさ。好きに使え、それは誰かに貰ったのかもしれないが今はお前の能力、個性じゃないか」

「うん、うん…少しだけ軽くなった気がするのだわ」

「それならいいけど、どうするの?もし自分の力だけでやってみるんだったらさ、躓いたときだけでもいいから俺と司を頼ってくれよ?幼馴染だろ」

「いや、色んな手を使って強くなる。昨日の魔石も全部俺が食ってやる」

「ハハハ!いいんじゃない?もしそれで司が何か言って来たら柊に渡した司が悪い!」

「そうだな」


いつの間にか聖にカウンセリングしてもらった感じになっちゃったな


「他には?聞きたいことあるか?」

「もういいかな、ダンジョンに行きたいって顔に書いてるし」

「バレたか…じゃあ行ってくる」

「無茶すんなよ」


俺はショルダーバッグを取って聖の家から出てダンジョンまで直行した


「出てくれ…」

『もしもし~?さっきからどうしたの』

「ちょっとお前の我が儘について、司にも言って自分が逃げないようにしようと思って」

『おぉ、真面目に考えてくれたわけだ。で?やっぱり自分の力でどうにかするの?』

「いや、お前ら頼りまくってどんな手を使っても強くなる。さっき決めた、覚悟はできてる」

『嬉しいな~。ちょっとゆっくりしてられないかもだね?』


少し声が弾み気味で司が嬉しそうに言ってくる


「ってなわけで、お願い。お前の倒した魔物の魔石くれないか?」

『嫌だよ!?私の稼ぎが無くなるじゃん!』

「お前、お小遣いだけで足りてるだろ!」

『ん~…せめて4分の1とか…?』

「なるだけ強い魔物の魔石が良いな」

『自分が頼んでる側ってわかってる?!強い魔物の魔石って相当デカいから絶対食べるの大変だよ?』

「覚悟はできてるって言っただろ」

『ん~…そこまで覚悟ができてるならいいけど、条件。魔力の完全コントロールだね。ちゃんと魔力のコントロール出来てるかお母さんに見てもらうから』

「!?」


司のお母さんは司の魔力の師匠で、魔力一点特化の化物だったはずだ…そんな人に見せられるまで魔力コントロールができるようになれと…?


「ちょっと、条件緩くできないか?」

『だめ、この前の魔力過多の原因は魔石食べたせいなんだから。魔力のコントロールも出来ないのにより魔力の多い、強い魔物の魔石なんてあげられないもん』

「はぁ…マジか…」

『頑張ったらご褒美としてこの前のドラゴンとか色々あげるからさ。頑張りなよ』

「あ、昨日の魔石全部食べていい?」

『いいけど…一個一個少しずつが良いよ?ちゃんと魔力消費しながら食べなね?』

「おっけ」


電話を切って俺は持ってきた昨日の魔石を一つ取り出す


「狼もスライムも大きさはほぼ一緒だからどっちの魔石かわかんねぇな…」


愚痴をこぼしながら一つ食べてみる


「よし、ステータス」


堀江 柊 Lv.1

種族:人間(ヒューマン)

年齢:16

Lv.1

HP:100%

MP:102%

魔力:1200

膂力:10

俊敏:15

防御:18

器用:30

幸運:50



スキル

・蹴るLv.1(62/100)


固有スキル

・変身Lv.1(9/1000)

   ➥スライム(1/100)

   ➥スケルトン(13/100)

   ➥ウルフ(1/100)


称号

・スライムキラー


お、ウルフって項目が増えてるな


「ってことは今食べた魔石は狼のやつか」


ウルフに変身してみたらやっぱり嗅覚とかよくなるのか…?


というわけで、気になったら検証だ。「変身」と頭の中で唱えて…


「うぉっ…?」


全身に毛がびっしり生えまくってどんどん手足もそれなりに短くなり、俺は四足歩行の体勢になった


「あ~あ~、声は問題なし…脚力が上がった感じがするな、まぁ足速いイメージあるしな」


最後に嗅覚を確認するためにスライムを匂いで感知しようと思ったが何も匂いはしなかった


「ま、そんなもんだよな」


変身を解きながら俺はため息をこぼす


「じゃ、どんどん魔石食っていこう」


それから魔石を爆食いしているとまた頭がどんどん痛くなってきた


「魔力を消費しないと…」


魔力を手から一気に…



………


「おーい。大丈夫?」

「司…?」

「いきなり『一層』ってだけ送ってくるから何かあったのかと思ったら…魔力切れとはね~」


トーク画面を確認をすると確かにそう書いてある。よかった、ちゃんとギリギリで送れたんだな


「何してんの?こんないっぱいの魔力をダンジョンの中で出しちゃって」

「魔力過多っぽいと思って一気に魔力出すイメージをしてたら止まらなくなっちゃって」

「魔石に魔力を与えたら魔物に戻っちゃうんだからさ~、もう少し用心してよね」

「え、魔物!?」

「もう倒した、ついでにあんたの口の中に突っ込んで飲み込ませておいた」

「何してんの!?え!?何してんの!?」

「モグモグさせてたら自分から飲み込んだからさ。安心してよ」

「ステータス」



堀江 柊 Lv.1

種族:人間(ヒューマン)

年齢:16

Lv.1

HP:100%

MP:42%

魔力:1200

膂力:10

俊敏:15

防御:18

器用:30

幸運:50



スキル

・蹴るLv.1(62/100)


固有スキル

・変身Lv.1(39/1000)

   ➥スライム(27/100)

   ➥スケルトン(13/100)

   ➥ウルフ(26/100)


称号

・スライムキラー



「お前何個食わせたんだよ!」

「え?二十個ちょい?」

「ゆっくり少しずつって話はどこにいったんだ!」

「いや~逆だよ逆、魔力スッカラカンなんだから魔石食べまくって回復だよ~」

「…天才か?」

「へへへ、頭撫でるぐらいしてくれてもいいんだよ?」

「後で聖にやらせるから、頭押し付けてくんな」

「わーい」


グリグリと頭を胸のあたりに擦り付けてくる司の頭を鷲掴みにして引き離す


「どうする?私の言うこと一つ聞くってことでさっきまで行ってきた少し下の層の魔物の魔石も少しだけ分けてあげてもいいけど」

「どんな魔物の魔石だ?」

「蛙と鹿、後は~猫?」

「なら鹿以外貰うわ、お前の要望は?」

「聖に私と結婚することを確定させてほしいの~」

「あ、無理だわごめん」

「おい!即答!?」


まさかの司のお願いが不可能なことだったとは…自分で下に潜って集めるしかないか…


「じゃ、俺はまだやることがあるから」

「もう18時近いよ?」

「じゃ、俺はもう帰るから」

「って違う違う!待ってよ!」

「無理なものは無理!付き合うとかそこらへんならまだ0.4%ぐらいはあるんじゃないか?!」

「酷い!絶対5%はあるもん!」

「自分で脈ほとんどないってわかってんじゃねぇか!」

「だからお願いしてるんじゃん!」

Hey(おい), shut up.(黙れ)


俺達の目の前に突然仮面に黒ローブの男が現れた、あまりに生きている気配がないのに見えてる景色からは異様に高圧的に見えるせいで脂汗が全身から噴き出した。


魔力循環をしているのに俺だけじゃなく、司も気づかなかった?!


「ど、ドントスピークイングリッシュ…」

「あぁ、すまない」

「お、日本語うまいね?お兄さん」

「おい、司。変な刺激を与えるな…殺されるぞ」

「正直、予想以下だが…予言に乗っとるのがルールだからな、仕方ない。そこの女」

「ほえ?私?」


司のほうを指差し、いつの間にか手に持っていた真っ黒な封筒を差し出してきた


「未来の愚者の円卓…おめでとう、第五席の座に座る権利を与える」

「え?愚者の円卓…?!司すげぇな!」

「どうせ飾りの第五席だ。断ってしまったほうが身のためだが…」

「飾り…?」


ピクリと司が反応し目の前の男を睨みつけた


「あぁ、第五席の役割は広報活動。我々、愚者の円卓は人のためになる活動をしているとアピールするためだけの席だ。だが今のお前如きならそこら辺の探索者のほうがマシだ。断ってくれ、いや…断れ」

「未来って…どれくらい先に私は愚者の円卓に?」

「予言によると3か月後、だが…今の調子だと我々の所に入られると困る。もっと修練しろ」

「やだ、私は第一席の座しかいらない。それに、柊と聖も私には必要だから二人と一緒に愚者の円卓を乗っ取る」

「乗っ取るか…面白そうだ、世界樹ダンジョンに挑むのは少し先に延ばすとしよう。予言は絶対と言ってもいいがな」


そう言って、ローブの男は砂になるようにして消えた


「な、なんなんだ?」

「愚者の円卓…まだ私には早すぎる…日本の中でもまだ上はいるってのに…!」

「予言とやらの世界では司は日本どころか世界のトップ5に入ってるってことじゃないのか?」


あまりにもコケにされていたからな、これが俺の精一杯の励ましだ


「でも『飾りの第五席』だよ?それじゃ入る意味がない」

「…なら飾りなんて言わせない程度には強くなるしかないな」

「ま、そういうことだね~」


手をヒラヒラとさせて司はドカドカと明らかに怒りながら歩いていた


「ただいま」

「おかえり~、今日はどうだった?」

「ん~…いつも通りかな?」

「そ、ならいいや。今日は冷凍食品だけど何食べる?」

「炒飯で」

「は~い、私は何にしようかな~?」


葵は冷凍食品の山を冷凍庫を開けて眺めながら色々独り言をつぶやく。その間に俺は部屋に戻って寝巻を回収して風呂場まで直行する


………


「聖たっだいま~」

「あ、司ちゃんおかえりなさい」

「お!聖ママだ~今日もお世話になります」

「良いのよ~」

「とりあえず、風呂入ってきな。おかえり司」

「うん!ありがとう。あ・な・た・♡」

「ヴォエッッ!早く入って来い」

「照れちゃっても~」


司…何か嘘くさい笑顔を浮かべながら母さんとハイタッチして風呂場に向かったな


「司ちゃん、良いことあったのかな?」

「いや、悪いことがあったなあれは」

「あんなに笑顔なのに?」

「あんな可愛くない笑い方は司の本心から出るものじゃないよ。夜飯の準備しとこ母さん」

「あんた、真顔でかっこいいこと言うわね~」


柊に聞いてみるか…?いや、もし隠し事だったらな…でも気になる…!


「あ?もしもし?」

『ん~?』

「声曇ってんな」

『今風呂だからな、用件は?』


風呂だからトンネルの中みたいに反響しまくってるのかとなんだか納得してしまった


「司に何かあったの?」

『ちょっとコケにされてな』

「は?誰に」

『愚者の円卓』

「噂をすればってやつか、何て?」

『未来、三か月後の愚者の円卓、『飾りの第五席』に選ばれた。けど今のお前を見たら予想以下だったから飾りにもならん、断れ~みたいな?』

「良い度胸してるじゃん。司をいじっていいのは俺と柊と美咲だけなのに」

『まぁ、司もやだって断ったしな。第一席しか興味ねぇよばーかって言ってた』

「それはまた喧嘩売ったね~…相手は?やっぱり強そうだった?」

『いや、分からんかった。けど逆にわかる。司の探知を搔い潜ったのに実力を測る要因がなかったからな。それほど隠す技術が高いのか…あれは化物だな正直』

「分かった、ありがとな」

『ん~』


電話を切って、俺はスマホを握り締めるしかできることが無かった

裏話ポロリ


愚者の円卓の席の数に結構悩んでました。奇数か偶数かすら決まらないまま。アニメをだらだら見てたらかっこいい五人組が出てきたので五席になりました


愚者の円卓の前の案ではタロットとかトランプなどのカード類が一番かっこいいと思っていたのですが、数が多いので少ない数にできそうな円卓にしたという…



感想とか頂けると筆乗るんで暇だったら書いていってください

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