17.え、本田の行方が気になるのは俺だけなのそうなの?
誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…
「それで、柊が行ってるダンジョンは階層数が化物レベルで多かったと?」
「そうそう!もう敵もすんごい強くて!」
「聞いてくれよ、こいつマジで危ない武器使いやがってよ。ほら例の約束の」
「あ~、あれホントに何のことか全くわからなかったから実物見せて説明してよ」
「いいよ~」
司は反省の色を少しも見せずにクロノノロイを取り出して聖に見せながら効果を説明する
「毎秒5%?!ほんとに大丈夫だったの?!」
「大丈夫大丈夫!永続回復の魔法使って死なないように注意してたし!」
「な?こいつふざけてんだよ。だからもう絶対使うなって言ったんだ」
「約束したから大丈夫だとは思うけど…本当に使っちゃだめだからね?」
「分かってるって~」
パソコンにカタカタと何かを打ち込みながら司は生返事をしてくる
「よし、こんなもんかな~」
「何してるんだ?」
「今日の動画を編集したの~、一応チェックして」
「お、おう…」
自分の姿とか声はあまり好きじゃないんだがな…
「うん、まぁいいんじゃない?」
司の編集した動画は前に見せてくれたパワーポイントのクソダサフォントを忘れさせてくれる程見やすい字幕、ちゃんと俺の名前や能力に関することを言っていた部分はカットという神様のような編集をしているのに面白かった
「はい、本人に許可いただいたので…今日の19時に出るようにしとこう」
「これで柊もモテモテ人生だね」
「それはないから安心しろ。ほら探索会議」
そういうと聖が奥の部屋からホワイトボードを引っ張り出してきた
「何で一般家庭にホワイトボードがあるので?」
「少し前に俺が買ったの。ちょっと色々考え事するときに書き出すと良い考えが浮かぶもんでさ」
「へぇ~、私も買おうかなダンジョンの中で探索会議するときに役に立ちそうじゃない?」
「「天才」」
司のホワイトボード購入がほぼ確定したところで俺達は本題に戻る
「まず、今後の探索の方針をそれぞれ出していこう」
「なら俺から、俺の当分の目標は魔力コントロールをものにすること、身体の重みに慣れること。あとは変身の使い方だな」
「じゃあ俺も、まだステータスわからないから詳しくは言えないけど…とりあえず自分の能力の把握、応用だね。ほとんど柊と同じ」
「私は夏休みが終わったら向こうに帰るからね~、とりあえずどれだけの層まで自分の力が通用するか試して見たいかな~」
「ふむ、まとめると…俺と柊は基礎を固める、司は実力試しってことか」
「そういうことになるね」
「ちなみに俺はなるだけ早く下に潜って金稼ぎまくりたいわ、葵もお小遣いとか欲しいだろうし」
それぞれで案を出しあう。どんなペースで探索していくか、階層が多いダンジョン探索の注意事項とかを俺達は話し合った
「柊は要領いいから多分夏休みが終わるころには大体魔力のコントロールはどうにかなってると思うけど、聖に抜かされないようにね?」
「俺が聖に敵うわけないだろ。こいつ何でもすぐにできるようになるんだから」
「いやいや、流石に感覚が物言うやつは時間かかるよ?」
「聖も目標は夏休み終了までにしとく…?」
「何で二人とも俺には厳しいの!?」
「お前ならできると信じてる。問題は俺ができるかどうかだ」
結局俺も聖も夏休み終了までには魔力コントロールが自由に出来るようになることが宿題となった
「聖じゃあな。司、行くぞ葵が夜飯待ってる」
「あ、うん。じゃあね聖」
「おうよ、またな~」
俺は司を連れて葵が待っている家に帰る。今日の夜飯は何になるのかな~…ってか司が来てから作るのが当たり前みたいになってきているな…冷凍庫の冷凍食品が泣いてるぜ…
「ただいま」
「おかえり~、今日はいつもより遅かったね」
「ちょっと聖の家で会議してたら想像以上に楽しくてね~」
「早く飯、俺は風呂に入ってくる」
司に召使いのように命令して俺は部屋に寝巻と下着を取りに行こうと階段に足をかけた時、肩に手を置かれた
「どうした?」
「そういうのって~…レディファーストだと思うんだよね~?」
「あ、大丈夫。俺は男女平等主義者だから男女に優劣は着けてないぞ!」
「いや、グッ!ってしなくていいのグッ!って。私もお風呂に入りたいな~?」
「えぇ…今日の夜飯のメニューによる。手伝えることがあるなら時間が潰せるからいいけど」
「今日は生姜焼きの気分だから、タレ作ってお肉漬けててよ。はい材料」
四次元ポケットならぬ四次元ポシェットからたれに使う調味料などを取り出して俺に渡してくる
「へいへい…あまり長風呂すんなよ。俺も早く入りたいんだわ」
「は~い」
司はニコニコ笑顔で風呂に向かっていった
「お兄ちゃんなんだかんだで司さんとか聖さんには甘いよね」
「そうか?今回は料理に俺にもできる作業があったからだぞ?」
「いや~、私だったら絶対にお風呂の順番とか譲らないじゃん。『湯船が汚れる~』とか言って」
「そうか?ちゃんと譲ってるはずなんだけどな~…」
その後もゲームをしている葵の話を聞きながら晩飯の準備を済ませた
「ふぃ~、いい湯じゃったわ~」
「んじゃ、すぐ上がるから準備しといてな」
「任せんしゃい!」
司と手を叩いてバトンタッチ、下着類を取りに行って脱衣場まで行く
………
「葵ちゃん、手伝ってくれる?」
「もちろん!」
ゲームのコントローラーをパッと置いて台所まで小走りでこっちにくる
「柊とはこうやって料理作らないの?」
「うん、私もお兄ちゃんも食材管理苦手だし…お金の管理とかもできないから料理より冷凍食材のほうがいいだろうってお母さんが」
「へぇ~食材管理はTSMBがあればどうにかなりそうだね」
「てぃ、てぃーえす?」
「TSMB、time stop magic bagの略」
「タイムストップ、って…あのポシェットみたいな?」
「そうそう!まぁ…ほんとに激レアらしいけど、判明してるのでも世界で100個手前って話まであるんだよ?」
「それを料理するためだけに使うのはちょっと忍びないですね」
「噂では闇取引とかでも出回っていたり~…鑑定に出さずに使用してるからカウントされてないだけでいっぱい使っている人はいるって説もあるらしいね」
葵ちゃんかわいいな~、ちゃっかりメモしてる。後で柊に教えてあげるのかな?何となく柊は知ってそうだけど…こういうのはみてると癒されちゃうなお姉さんやっぱり
「ちなみに、私のポシェットのことも国には知られてないから他の人に言わないようにね。バレたら大変だから…最近の研究者って結構強引だし…」
「どれだけ大変かはその虚ろな目を見たらわかるので言わないようにしておきますね…」
「ありがとう!そんな可愛い葵ちゃんには多めに生姜焼き盛り付けちゃう!」
「わ~い!司さん大好き!」
………
「でね~、本田がトラックの荷台に乗ったまま発進しちゃって~!」
「えぇ~!」
「腹減った~」
風呂から上がった俺はリビングの扉を開けながら言い放ったら丁度いいタイミングだったようで、司と葵がご飯を装って食卓に並べていた
「あ、柊、温かいうちに早く食べよ!」
「お兄ちゃん早く!」
「え、本田の行方が気になるのは俺だけなのそうなの?」
本田…ちゃんと元気に帰ってこれたのかな…
「いただきま~す!」
「「いただきます」」
「妙に元気がいいな司…」
「いや~今日は収穫が多いし葵ちゃんも可愛いしで嬉しくて嬉しくて!」
「い、いや~そんな…司さんにはまだまだ届かないって言うか…」
「お、生姜焼きの味付け天才チックだな、流石俺」
「「おい」」
他愛もない話をしながら学校の話をして俺達は晩飯をすぐに平らげてしまった
「あ、柊。そういえばAさんにデータ渡してたんだけど、また追加の動画来たけど今見る?」
「あ?あ~…今見とくか」
「じゃあちょっと前を失礼して…」
俺の前の机にパソコンをセットして、送られてきた動画を再生させる
「おい、俺の頭に腕乗っけるな。重い」
「あ~!女の子に重いって言った!デリカシー無男だ~!」
「うるせぇ動画の声が聞こえんだろ」
『こんばんは、Aです』
相も変わらず自己紹介から始まる動画はいつものようにホワイトボードに描いてある絵を使って説明が始まった
『今回の司さんの資料を見て分かったのは、同種を吸収するして起こる自強化。それと同種を吸収した後にできるようになるのかは不明だけど、分裂をすることができるということ』
まぁ、それは俺も考えていたことだ
『これを知性の高い人間がやった場合どうなるか。どこかの研究に似たようなのがあったはず…全く同じ自分が現れたらどうなるか、自己の崩壊が大体だと言われていたはず…はず。どちらも「自分が本物である」と主張するからだとかどうとか…柊がやったらどうなるかはわからないけど…これはあまりお勧めできない…けどボスとか間違いなく勝てない敵にぶつけるときなら問題ない。』
つまりあれか?あまり自分の分身と一緒にいるなってことか?
『今回の目玉は自強化のほう。スライムの状態で同じスライムを食べ続けていたら結構強くなれるんじゃないのかな…』
そう言って動画は終わった。また「じゃあね」も「またね」も終わる前の一言が無いまま動画が突然終わってしまった
「なるほどな。スライム食べまくれ!ってことか」
「そうだね~、って言うか今日の魔石は食べたの?」
「いや、まだバッグの中」
「ダンジョンの中で全部食べておけばよかったのに」
「いや、自分で集めたいって言うか…あれは全部換金して葵のお小遣いにでもと」
「あ、そういえばそんなこと言ってたね~…葵ちゃん!」
突然横にいる葵に話を振っているせいで葵がビクッと跳ねてゲームのリモコンを落としかけていた
「は、はひぃ!」
「こっちにおいで~」
「どうしたんですか?」
「はい、これお小遣い」
そう言って、司はポシェットの中から普段使いしてなさそうな分厚い財布を取り出して諭吉さんを5枚ほど葵に持たせた
「ふぁ?!え?!これ…は、どういう…?」
「いや~、柊にお願いした対価に何が欲しいって聞いたら『葵にお小遣いやってくれ』って言うから~」
「あ!言うなよ…」
「何で?良いこと言ってるじゃんお兄ちゃん♪」
「キモッ…鳥肌立つからやめて」
「こ、こんなに貰えません…!お兄ちゃんも何か言ってよ!」
「これぐらい俺でも稼げるようになってやる」
「違う、そうじゃない…」
「もっと欲しかったら言ってね?私自分で使うこと殆どないからこのお金」
まぁ、独り立ちするまでは親が払うって感じの家庭だしな司の所は、てか司の家は少し裕福だから司が働かなくても楽々過ごしていけるほどの資金力あるしな。元々のお小遣いで足りているのだろう。自分の稼ぎはまだ使ってなかったとかそんなところか?
「私的にはちょっと中学生には持たせ過ぎかな?ってぐらいは渡してるつもりではあるけど…あと4倍までは渡せるから」
「やめろ、葵はお前のヒモじゃないんだ」
「これでも貰いすぎです…!お兄ちゃんこんな大金何に使えばいいの?!」
「ほら、服欲しいとか前言ってたしそういうのに使えば?葵も俺もほとんどお小遣いほとんどもらえる機会ないし前に言ってたじゃん」
「え!葵ちゃん服欲しいの!?買ってあげようか!」
「待ってください!」
お小遣いの使い道に迷うとはうちの妹はまだまだ真面目だな。俺ならお菓子とジュース買いまくって豪遊してるところだ
「確かにお小遣いの使い道で服を買うのを出したのに、それをまた買ってもらうってなるとちょっとな?もし訳ないんだわ多分」
「全然いいのに…柊は全然いいでしょ?」
「おう!貰えるもんは貰っとく主義だ」
「私が良くないんです!」
俺と司の話の逸らし技術で葵が断る流れを断ち切って、俺と司は寝に行くことにした
「じゃ、葵お休み」
「お休み~葵ちゃん」
「二人ともおやすみなさい!」
手を嬉しそうに振りながら少しお金を握っている手が震えてるのはちょっと可愛らしくも面白いな
「ありがとな、あんな金額もあげてもらっちゃって」
「良いのいいの!私だと宝の持ち腐れみたいなもんだし!ほら見てよこの分厚さ!」
ちょっと細い国語の教科書ぐらい分厚い束を俺に持たせてくる
「うっわ…そりゃ金銭感覚バグってくるわけだ…」
「いらないダンジョン産の道具とかも売れるしね!」
「どんなの?」
「懐中電灯より明るい光を出すボールペンとか?」
「いらねぇ…」
設定ポロリ
・どんな人がタイプ?
柊:ぐちぐちうるさくない人
司:聖みたいな人
聖:なんだかんだで引っ張ってくれる人
美咲:落ち着いているけど面白い人
葵:人のために労力をいとわない人
美晴:趣味が合う人
感想とか頂けると筆乗るんで暇だったら書いていってください