13.私が作るのは確定なのねそうなのね…
誤字脱字があったら報告してもらえたらありがたいです…
結局、聖と俺は一緒に保健室で今日のテストを解いて帰ったとさめでたしめでたし
「で?司、俺に納得のいくように弁明できるんだろうな」
「うん、まずは…」
司の話をまとめる君の仕事によるとこういうことらしい
昔からの知り合いからある日連絡が来る『テレビで言ってた舎弟って誰の事?』
↓
舎弟君はダンジョンに最近行き始めたらしいと口が滑る
↓
『その舎弟君のために私ができることはないのかな?』というわけで…
↓
『ステータスを見せて!戦闘スタイルとかのアドバイス出すお!』に任セロリ
↓
やっべ!ユニークのことまで送ってもうた!
というわけらしい
「は?」
「え?」
「お前これで俺が納得すると思ってんのかよ」
「いや、まだここからです…」
そういうと、ポシェットの中からタブレットを取り出して俺に画面を見せて再生する。画面の端から真っ黒なローブに仮面をつけ、変声機を付けた男か女かもわからない人が出てきた
『こんにちは、Aです』
「え、なにこれ」
「見てるとわかるよ」
『柊さんのユニークのことは誰にも言わないから安心して』
「お?ため口だなこいつ」
「「聖黙って」」
「はひ…」
『柊さんの変身について司ちゃんにまとめてもらった情報をもとに戦闘の仕方を考えてみたので…最後まで見て』
「ストップ」
「はいはい…」
画面を操作しながら司が命令を聞いてくれる
「お前、俺の変身の情報まとめたって言ってたよな」
「あ、はい」
「見せてみろ」
「仰せのままに」
すると次はパソコンを取り出してパワーポイントを起動させる
「始めるよ?いい?」
「パワーポイントのフォントがダセェなおい」
「それ思った、なんで熱血みたいなフォント?」
「はいそこ、うるさいよ。静かに」
「「ハイ」」
俺と聖は静かに司のパワーポイントに集中する
「まずですね、柊さんのユニーク、変身の名前から考察していきたいと思います~。変身と言えば!はいお二人!」
「戦隊もの?」
「プリキュア?」
「はい、論外!ダンジョンのあるこの世の中で変身と言うと…魔物な訳ですよ!」
ターンッ!とエンターキーを押しながらなかなか迫真なプレゼンをしてくる司に俺と聖はノリで着いていく
「次に私は柊の使っている様子から、できそうな動きを考えたわけです」
すると、俺の名前が書いてある人型の絵が骸骨に変身した後すぐにスライムに変身するアニメーションが流れる
「…このように、骸骨からスライムのように、変身している状態で他の魔物に変身が出来ると思われます」
「試したことは?」
「ないな、そんなこと考えもしなかった」
「それ以外にも、変身するまでの時間の短縮。これも結構戦闘中での使用を考えると課題になってくるかと思われます」
「変身するまでの時間の短縮って言われてもな~」
「もし短縮できないなら変身するための時間稼ぎだね」
「まぁそれなら出来ると思うが」
周りの敵倒して安全な状態で変身しましょうねってことだろう。多分
「まとめ、もっと情報があればもっと細かく戦い方や応用の仕方が出てくるってことよ」
「ふむ…え、これAとかいうやつに送ったの?」
「うん」
「それでよくAさんも戦闘指南の動画送ってきたな」
確かにと聖が横で苦笑いをしながら司の準備の手伝いをしている
「さて、動画に戻るよ?」
「おん、見せてみろ」
「俺も勉強になるところあるかもしれないからよく見とこ~」
タブレットの画面をタッチして動画が再生される
『まず、スライム…あの子はピョンピョンと跳ねて移動、それに加えて溶解の攻撃。この二つができると思うから、応用…スライムの溶解液を飛ばせないか試してみて、ボスとかで出てくるデカいスライムは飛ばしてくることもあるし…まとめ、あなたの今の課題は跳ねての移動をスムーズにするための足腰の強化、溶解の応用』
そして動画が終わり、司が次の動画の準備をしつつさっきの動画について話し合う
「ご丁寧にホワイトボード使って教えてくれたな」
「足腰の強化ってなにすればいいんだ?スクワット?うさぎ跳び?」
「うさぎ跳びでいいんじゃない?ピョンピョン飛んでればスライムになっても違和感なくできるでしょ」
「あとは溶解液を飛ばせるかどうかだな」
「それは後で検証するとして…次」
「はいはい…」
丁度準備が終わった司が次の動画を再生させる
『こんにちは、Aです』
「またあいさつした」
「「聖黙って」」
「ハイ」
『次はスケルトン、スケルトンは頭が弱点だから。第一に頭を守ること、骨だけだけど人体と扱いは似ているはずだから道具を使うか体術を学ぶのが一番早い…でもスケルトンはいつもフラフラして体を動かしにくそうだから、その動かしにくい状況に慣れるのも大事…まとめ、あなたの今の課題はスケルトンの身体に慣れること、道具の使い方か体術を学ぶこと…』
ホワイトボードの可愛いスケルトンの絵と共にAさんが消えて動画は終わってしまった
「さっきから終わるの突然だね~」
「まぁ、そうだね」
「既視感だな、まぁ俺の今の課題は分かったし…とりあえず家の中ではスケルトンで生活しておけばいいってことか?」
「やめといたほうがいいと思うけど…?」
苦虫を噛んだような顔で俺のほうを見ながら司が止めに入ってくる
「でもそれ以外で慣れろって言われても」
「葵ちゃん驚いちゃうよ?」
「葵はダンジョンに早く行きたいっていうタイプの奴だし、ゲーム好きだ。すぐスケルトンが居る生活にも慣れるだろ」
「魔力の扱いが馬鹿になってるからムキムキスケルトンだよ?家の物壊しちゃうよ絶対」
「そうだった…マジで魔力が扱いづらいのウザいんやが」
「いつか慣れるよ、どうにかなるなる♪」
「畜生めが…!」
「俺も体は重くなってるからな、ナカーマナカーマ」
魔力循環のおかげでいつも身体能力が上昇しているような状態だったせいで余計に体が動かしづらく感じる、これは早く慣れないと今後の生活に支障をきたすぞ…
「と、言うわけで…今後はこのAさんがサポーターに着いてくれるようになりました~!パチパチ~」
「おめでとう柊」
拍手しながら祝われているせいでまるで誕生日をお祝いされているような感覚になるがそれより俺には言わないといけないことがある
「あ、えっと…なんというか…俺その人とちょっと合わない」
「え」
「ありゃ」
「何て言えばいいんだろうな…いや、変に濁していうのもあれだから言うけど。その人、雰囲気が美咲なんだよ」
「「どこが!?」」
「フードで隠れて分かりにくいが長髪、突然切れる動画、一々丁寧なあいさつするし。わざわざ俺の手伝いしたいって言うのも訳わからん、この人見るたびに美咲思い出すのは流石に辛い」
「あ~まぁ確かに。言われてみると美咲に似てんな」
「でも美咲はその…死んだでしょ?そんなことあるわけなくない…?」
司もまるで正体を知らない。このAという人物は確実に俺達のことを昔から知っている人物で間違いない。最悪の場合、美咲本人…或いは美晴ちゃんか…?とにかくそこら辺の人物のはずだ
「司、こいつのことどれだけ知ってるんだ?」
「本名は知らない…性別と年齢。あとは顔以外なら…」
「あまり確証がない物ばかりだな」
「リアルにあった時も変声機つけてたし」
「喋り方の癖は?美咲に似てなかったか?」
「どうだろ…話してた内容は覚えてるけど、話し方までは…」
「「使えねぇ…」」
「ちょくちょく思うけど私の扱い雑だよねそうだよね!?」
「変に考えすぎるのもよくない」ということで俺達はあえてその後、この話はしなかった
「なんか成り行きで柊がユニーク持ちなの知ってしまったな…ごめん」
「あ~聖にはいつか言おうと思ってたから問題ない」
「誰にも話さないから安心してくれ」
「おう、司も昨日はごめんな、ちょっと言いすぎた」
「ちょっとじゃなかった気がするけどまぁいいのいいの~!私が悪かったし」
「はい、仲直りの握手」
聖に手を引っ張られて俺と司は握手をさせられる
「うんうん。よかったよかった」
「いっつも思うんだけどさ、握手ってちょっと子供っぽいよね」
「なんでか仲直りするとき握手させたがるよな」
「なんで?いいじゃん。仲直りの握手。俺は仲直りっぽくて好きなんだけど」
こいつ…!真顔だ!マジで言ってやがる!
「ま、まぁ…このAさんの連絡先は俺が持ってるから。何かあったら俺に言ってくれ」
「何でお前が持ってるん!?」
「昨日色々あってな」
「その色々が知りたいんだが?!」
ちょっと良くわからないが聖はAさんの連絡先を持っているらしい
「ま、いっか。聖を通してその人とやり取りすればいいし」
「自分から直接はしないのね…」
美咲のことを思い出すからあまりあの人とは関わりたくないし、聖が持っててくれれば聞きたいことも聞けるし全く問題ないな
「仲直りしたし…今日はこっちに泊まる日だけど、こっちに泊まっても問題ない?」
「大歓迎だ。司の飯うまいし」
「私が作るのは確定なのねそうなのね…」
「え、俺も夕飯食べてっていい?」
「別にいいけど、手伝いしてよ?」
「任せろ、柊よりは役に立つ自信がある」
「おい待て聖、お前にはキンキンに冷えたひき肉をハンバーグの種になるまで手で混ぜることはできまいて…」
「余裕」
「なん…だとっ!?」
………
今日は期末テストで早帰りだったけど友達と話してるうちにいつもの時間になってしまった…友達の力って強い
「ただいま~」
「「「おかえり~」」」
「今日の夜飯は鍋らしいぞ」
「葵ちゃん、お邪魔してます」
「おぉ!いつの間にか仲直りしてるし!みんな仲良くうちにいるのも久々じゃん!」
「手洗ってきな~」
しばらく聖さんとお兄ちゃんの二人しか居なかったから三人同時で居るのが珍しいし、料理もしている。幼稚園以来の光景だ
「私は何手伝えばいいの?」
「残念だが手伝うことはない!」
「葵ちゃんは好きなゲームでもやってるといいさ~」
「って言ってもあんたら二人も食器出しただけでしょ!ここにずっといるだけなら邪魔!」
「「は~い」」
結局私とお兄ちゃんと聖さんで某人気配管工レースゲームをすることになったのだった
………
「「「「いただきま~す」」」」
「久々だな~、この人数で食卓囲むの」
「そうだね~。お母さんもほとんどいないし、お父さんも結構前に死んじゃったしね~」
「「お、重い…」」
冗談で言ったつもりが結構触れちゃいけないところではあったようだ
「冗談冗談。でも久々じゃないか?このメンバーで飯一緒に食ってるの」
「あ~まぁ確かに。最後は小4の時か?」
「いやいや、小6の時の駄菓子屋の前でペペロンチーノにもラーメンにもなるやつ食べた時以来だね~」
「何でお前らそんなに細かく覚えてんの…?怖いって」
聖も司も記憶力お化けだ。聖に至っては今までの出来事殆ど覚えてるとか言ってた時期あるし、厨二病かもしれんけど
「あ、そうそう。俺の誕生日もう少しじゃん?」
「いつだっけ?」
「あと2週間後だね」
「また近いな~」
丁度夏休みに入って一週間経ったかな?ぐらいか
「柊がやったみたいに誕生日にダンジョンに行きたいんだけどさ、司はその時いるの?」
「ん~…微妙なラインだね~流石にyoutubeの動画の撮り溜めもなくなってるかもしれないから」
「俺使ってもいいからさ~、三人で初めてのダンジョン探索してみたいんだよ」
「お前可愛いこと言うな…」
「それならいいよ~。柊も一緒に出てよ」
「えぇ…変声機と仮面とローブ用意してくれるならいいよ」
「え!私も出たい!」
結局、司の動画に葵も含めた四人で出ることになり、やる内容は司が考えるらしい
「お前、変な内容にするなよ…?」
「任せて任せて!楽しいやつにするから」
「こいつの楽しいとかいうやつは大体狂ってるから怖いんだ…」
「無茶なのはやめてね…?」
「大丈夫大丈夫!」
最近の司を見てつくづく思うが、なんだか愛されキャラみたいになってんなこいつ…いつの間に変な成長を遂げたんだ?人の心理とか学んでるんじゃないか?
「じゃあ!反響良かったら私がこっちに来るから定期的にこのメンバーで動画とることにしよう!そうしよう!」
「俺達もyoutubeする?ゲーム実況とか」
「聖、あまり舐めたことしないほうがいい気がするぞ」
「あ、私少しだけ動画出したことある」
「「「!?!?!?!?!?」」」
この子何言ってるの?!この子何言ってるの!?(大事なことなので二回)
「って言ってもゲーム画面だけだよ、声も私の声は入ってなかったし」
「どんな動画だよ…」
「結構前に誰も見つけたことないレアアイテム見つけて…それを自慢兼お知らせということで出したの…」
その後、こっそり葵の出した動画を見たが、コメント欄が結構褒めちぎってた
設定ポロリ
・駄菓子屋で絶対に買うお菓子
柊:グレープ味の長いキャンディー
司:すっぱいいろんな味があるスプレー
聖:きな粉が付いた当たりはずれのあるやつ
美咲:棒アイス
葵:ガム
美晴:ぐるぐる巻きのキャンディー
感想とか頂けると筆乗るんで暇だったら書いていってください