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短編集:私がダンジョンマスターになったわけ  作者: 木苺
(12)別居後の二人
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失地回復を狙うダンサン

ダンサンは 立ち直りが早い。


机に頭を打ち付けた翌日には、いかにして巻き直すか?と戦略を立て始めた。


う~む


 ①色仕掛けで みーちゃんを落とす・・私のポリシーに反するな。

   そもそも私は 恋愛そのものに興味はない。

   ミーちゃんと一緒に仕事をするのが楽しかったのであって、

   彼女とどうこうしたかったわけではないのだ。


   結果的に、彼女が持つ人間的魅力や思いやり・気づかいに満足をしてしまったが・・

   あの居心地の良さがなくなったのは残念に思うが・・


   あれは お互いのパートナーシップの副産物だから、

   

   無理やり彼女を動かして手に入れられるものではない。 ゆえに却下


 ②社長の椅子を狙う・・やってやれないことはないが面白くない。

   ダンジョン経営に(まさ)るワクワク感が得られるとは思えない。


 ③ダンジョンマスターに転身する

   そうすれば みーちゃんと マスターどうし連携がとれるかもしれない

   いや その前に マスターつながりで仲良くなる方が先かな?



ダンサンとしては、この第3案が一番気に入った。

 と同時に 一番 ぶっ飛んだ案だと思った。


(しかし 余人が考え付かないようなことにチャレンジするのが一番面白いと思うようになったのだ、ミーちゃんの影響で。


 いや むしろ 今までの自分は慎重すぎて、本来の自分の志向を抑え込んでいただけかもしれない。

 ならば 本来の自分?新しい自分の在り方に挑戦するのもありかもしれない)


と思ったダンサン。


問題は

 マスターを必要とする ダンジョンやダンジョンコアがあるか?


 ダン菅職員を ダンジョンマスターにすることに否定的な現在のダン菅の風潮

  

 ダンジョンマスターになっても 現在のダン菅職員としての特権は手放したくない

  ならば・・ どういう方策をとればよいのだ??


 ダン菅の規約違反に問われないように 慎重に行動するべし!・・これ重要!


◇ ◇


すでにダン菅担当者としての自己の在り方を問い直すのではなく

転身の道を模索し始めたダンサン


変わり身が早いというか、これくらいの切り替えの早さがないと 出世しないというか・・


それでも一応 ダンサンなりに ダン菅担当者としてのこれまでの己の在り方を反省はしたのです。

 自分は ダンジョンマスターとしての気苦労を、自分が担当したマスターたちに負わせて

 自分は アドバイザーとしての立場から、ダンジョン経営のワクワク感を楽しんでいた。

 その結果、マスターたちに せわしない思いをさせてしまった。

と。


そして ダン菅担当という優越的地位+倫理や信頼関係を重視する自分のスタンツから、

逆に 「自分が担当した担当者たちとの信頼関係=相手にぎりぎりまで無理をさせる関係」を構築してしまったのではないかと。


その結果が、「ダンジョンの育成における、ダン菅担当者としての業績」につながったのである以上、自分は ダン菅担当をやめて 社内転職を図るべきであろう、

なぜなら 自分のスタイルを変えてしまったら、ダンジョン担当としてこれ以上の業績を上げられないだろうから・・


それに みーちゃんはすでに自立に向かっているので、これ以上『手駒』として動かすことができない=自分にとっての面白みが失せた。


だから 新たに 自分が情熱を注げる対象が欲しい。


と思ってしまったのであった。



ダンサンは あくまでも自分のスタイルにこだわる男であった。

 会社にとって あるいは人間関係においての最適解をめざすのではなく、


 あくまでも 自分の楽しみ(ワクワク感がえられること)と自分のポリシーやスタイルを守ることを優先する男であった。


 だから クライアント(=担当中のダンジョンマスター)が 自分にとって魅力ある存在であれば、情熱を注ぎ、 結果として献身的働きもするが

 クライアントが成長して、「クライアントとの関係」が己にもたらす魅力が薄れると、次なる情熱の対象を求めてしまうのであった。


相手を支配して自分の欲求を満たそうとはしない

自分の欲のためにクライアントの成長を妨げない

 そういう 倫理観はしっかりと持ち合わせている男ではあったが

相手とともに成長していく柔軟さには 乏しかった。

 業績を上げ続けるための柔軟さはふんだんに持ち合わせていたが。


それは ワクワク感は好きだが リスクは避けたいというダンサンの基本的人生観のせいかもしれない。


己のスタイルを変えることは、それまで得てきたものを失う危険を伴う。

 ある意味 ダンサンの頑固さは、「高潔且つ有能な職員」であり続けるために

 必要不可欠な要素であった。


 だからこそ 何があろうと 状況に流されず、困難をものともせずに正しさを追求しつつ 業績を上げ続けることもできた。


 言い換えるなら 「まっとう」であり続けるために背負ったリスクは、常人以上のものであった。そのことを ダンサンは自覚しつつ、そのリスクだけは背負ってきた。


 だからこそ、変に柔軟さを発揮して、己のその職務におけるスタイルを変えることは、

 職場における過去の政敵に漬け込まれる隙ともなることも理解していた。


ゆえに・・自分のスタイルにおけるダン菅担当者としての限界を感じた時

転身するしかないという結論に達したともいえる。



◇ダンサンの決意◇


 ミーちゃんダンジョンの担当者として、ミーちゃんがマスター就任10年を迎えた時、彼女にとって 納得のいく選択ができるように補佐するのが、今、これからの己の責務であろう。


 しかし ダン菅職員としての人生は その後も続く

だから 己の次なるステージに向かって 今から準備を始めなくては!


 とりあえずの目標: ダン菅職員として 私もダンジョンマスターになろう!!


 現在の課題:

  ダンジョンマスター就任10年後について、ミーちゃんがいかなる展望を持っているのか?、その意向を確認しなくてはいけないが・・


  「追い立てられている」という圧迫感を与えずミーちゃんと面談すること


  ダン菅職員の誰かに「マスター就任10年後に向けた準備に入っている」動きを察知され

  藪蛇にならないようにいかにコンタクトをとるか?


 それが問題だ!


(ビジョンなしでの面談は 苦手なんだよな、俺。

 だからって 明確なビジョンをもって面談すれば、「誘導してる・圧迫してる」と受け取られるようだし・・


 おまけに、うかつなコンタクトにより、「ミーちゃんからマスター権限を取り上げよ」とか「ミーちゃんマスターにxxさせよ」なんて指令がダン菅から飛ぶようなことがあってはならないのだから・・)


 うっ 困った>< 


 どこをどう配慮して 何に気を使って面談をセッティングすればよいのだ?


おまけに ダン菅担当である私と 対象マスターであるミーちゃんとの間が ぎくしゃくしているなんて勘繰られないようにカモフラージュもしておかなければならないしな・・。

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