表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集:私がダンジョンマスターになったわけ  作者: 木苺
(12)別居後の二人
PR
82/92

朝食後のみーちゃん:ケサランパサランとにゃ~ご

昔は「モーニングコール」という言葉にかっこよさを感じた。


安ホテルに泊まるくたびれた・経費の心配が付いて回る勤め人と違って

フロントから電話で起こしてもらえる(つまり高級ホテルで優雅に目覚める)エグゼクティヴ(できる会社員・重役)って感じで。


秘書に起こしてもらえるハイソな暮らしは別世界としても、エグゼクティブクラスなら 「頑張れば」手が届くかもしれないと夢見ることのできた「夢の世界」


ところが 現実は、今やビジネスホテルでも ベットボード付属の時計をセットすれば自動でモーニングコールが鳴る時代。

 ちょっと古いタイプのホテル(老舗というには庶民化しているが まあ 昔はそこそこの!だったところ)だと 枕もとの電話をセットすると、今でもフロントから人間がモーニングコールしてくれるけど。


 逆に派手な(でも 従業員の質が供なわない)新興ホテルだと、受話器をとれば「共通語なまりの民族語」の録音テープが流れてくる。


(一応ミーちゃんの世界にも 母語のちがう複数の民族がすんでいた。

 しかし 今では 共通語が普及して

 一部のエリートのみが 己の信条に従って 共通語を拒否して純粋な母語しか使わない生活を送っていた。それでも他言葉を理解していないわけではなかった。


 なので 共通語や他の民族語の癖やなまりの無い「純粋な母語」を使いこなせる人間は血統の良さの証明でもあった。


 さらに言えば なまりの無い共通語を話すこどもは、両親や親しい親族がトップクラスの教育を身に着けていることの証明でもあり、

 労働者階級の人間は たいてい祖先や両親の母語の影響を受けた少し癖のある共通語しか話せなかった。


 つまり 話し方を聞けば その人の氏・育ちがすぐにばれるというわけ。


 それが みーちゃんが 子供時代「言葉遣い」でさんざん苦労した理由の一つであった。

 「自分達と言葉遣いが違う=よそものの証明」でもあったので。


ちなみに「共通語なまりの民族語」というのは、エリートぶって民族語を愛好してみせても、子供のころになまりのある共通語しか話せない人たちに囲まれて育った人たちのほとんどは使うことばである。 つまり、この世界の大多数の人達と同じ雑種・混血系であるにもかかわらず、自分は純血種だと見栄を張りたい大嘘つきが使う言葉なのだ。


みーちゃんは、多数派である庶民こそが、国の大勢の決め手であり、「言葉のなまり」は家族史の反映であり、それもまた魅力ある個性の一つだと思っているので

己の出自を偽る似非貴族主義で他者を従えようとする連中を嫌っていた。


歴史や文化を担うことのむつかしさ・苦労を知ろうともせず、己の我欲のために 先祖の遺産をつまみ食いして踏みにじる下種の証明が「共通語なまりの民族語使用者」であると。

 もちろん 真剣に民族語を勉強していて 発音がうまくいかずに訛るのは、よくあることだから

本人がそれを自覚して使っている分には全く問題ないと 考えてはいたが。


用は 「言葉」をいかなる意図で用いるか、が重要なのだとミーちゃんは考えているのである。



ちなみに、ミーちゃんダンジョンで使用される言語は、生粋の共通語であり

お客様が純粋な母語を使用される場合に限り、生粋の民族語で接客をしている。


このことがまた ミーちゃんダンジョンが「テーマパーク」として人気が出た理由の一つであった。


「非日常的世界で受ける最高のおもてなし、それは共通語であれ民族語であれ、なまりも癖もない純粋な言葉で迎えられる王侯貴族の気分」なのだそうだ。

 これは 巷で噂されていることであって けっしてみーちゃんやダン菅が宣伝しているわけではない。


 なにしろ みーちゃんも心ある人も 「なまりや癖の差異に影響される差別意識問題」にうんざりとしていたから。

 それこそ 「マウントを取り合う獣は あらゆることをネタにしてのし上がろうとする下種」であることを示す一例でしかないから。



 生存に困らぬよう物質的豊かさを広げても、欲を出して争う

 不公平だという不満を生まぬように機会均等を実現しても、

 まだ他人を蹴落とそう・自分の権限を強めようという欲求に支配されて、

 他人の権利を損ねて自分にとって都合の良い不平等な社会にしようと画策を続ける人間たち、

 それが 遺伝子に組み込まれたヒト属の個性の一つと認めざるを得ない現実。


なので 理想を追うなら 必要最小限の必須要因を見極めておさえて、それ以外の部分に関しては目をつぶるしかないというのが、みーちゃんの指針であった。


なにしろ、略奪婚にあってミーちゃんを産んだハイソなお母さまと、野心の塊でのし上がった下層階級の父親に挟まれて育ったみーちゃんは、複数の階級に生息する人間の姿、理想論者の生態も下種な人間の生きざまも目の当たりに見て育ち、両者の良いところも悪しきところも強さも弱さも逞しさも知っている。


というわけで、国家機関の人間もまた、「純粋な共通語を使うこと」が必須であった。


◇ ◇


さて 本題にはいると、

ダンサンからの電話で起こされたみーちゃんの朝食後の心情

それは「とんだモーニングコールだったなぁ」である。

 そっから モーニングコールの思い出に頭がとんだのであるけれど。


もう1回寝なおそうかしら?と思っていたら、目の前に浮かぶ毛玉。



「ケサランパサラン」

突然聞こえた男声の発生源を求めてあたりを見回す。


すると 突然、お(やしろ)前でジャック達3人が拝礼するところから、ケサランパサラン誕生時の様子が頭の中に浮かび上がった。


「うわ~」思わず 両手で耳を抑えて外部からの干渉を防ごうとするみーちゃん



急いでケサランパサランに袋をかぶせる二ャーゴ


「刺激がきつい。

 癒し系なら もっと 穏やかに頼みます」 涙目のみーちゃん



(生まれたて・チューニングが必要・子猫のような可愛さ)

ミーちゃんの頭に浮かんだ言葉にこたえるかのように 袋の中から愛らしい言葉が出てきた。

「にゃ~ん ケサランパサラン」


ニャーゴが袋をとりのけると、

ふわふわモコモコ真っ白な毛玉があらわれ、みーちゃんのそばに近寄りたそうにモジモジ


みーちゃんが 思わずほっこりすると、ほほのそばにスッとやってきて、すりすり


「きゃーかわいい♡」と言いつつ「なんだこれ?」とつぶやくみーちゃん


「なんだかよくわからないもの」=ケサランパサラン?


ミーちゃんのつぶやきに コクコクとうなづくニャーゴであった。

 

「伝令役をするときは、周りをびっくりさせないように鳥とか蝶の姿になってね」

毛玉を撫でながらみーちゃんは 話しかけた。

 (う~ん 手触りが良いなぁ。)


「にゃ~ん」白い毛玉は三毛猫色に変身して ミーちゃんの手にすりすりした。

 (ミーちゃんの心に湧き上がる幸福感)


「移動するときは にゃ~ごにくっついて回ってね。

 私にくっついてると いろいろと気を遣うから。


 突然 姿を見せられても困るし。

 ただ姿を消されているだけだと 居るのか居ないのか?って考えちゃうから」


毛玉は にゃ~ごの頭の上に飛んで行ってそこでポンポンとはねたあと、

にゃ~ごの毛の中にもぐりこんだ。


にゃ~ごの頭の模様のようにうまく収まった。


「さすが ケサランパサラン♡」


みーちゃんは ニャーゴの頭とケサランパサランの体の両方を順番に撫でた。




「今日は休日なので 2度寝します。」ミーちゃんは宣言した。


ケサランパサランは ミーちゃんの希望をくみ取って ベットサイズを大きくし

にゃ~ごはミーちゃんの心情にそうように 白虎形態にもどって添い寝した。


「ケサランパサランがダンジョンコアの機能を持つってことは 極秘よ」

ミーちゃんからの念話に にゃ~ごも同意した。



(まさか こうなるとは思ってなかった)にゃ~ごのコアに残っていた元銀2の意識はつぶやき、にゃ~ごの意識に同化した。

 これからはにゃ~ごは にゃ~ごとして独立した人格を形成していくであろう、

 (元銀2の体験は にゃ~ごにとったら「昔読んだなにかの本の内容」程度の位置づけとなった。)



 元銀2の魂は、「ケサランパサランに同化」という形で眠りについた。



意識と魂の違いとはなにか?

 意識は体験を伴い方向性を持つ、時とともに形成されたり変化するものである

 魂というのは 「本質」というか「種」のようなものである。


ダンジョン生物のコアは、ダンジョン生物のエネルギー・活力の塊のようなものであるが

たまに 意識や魂を持つことがある。


ダンジョンコアは 意識を持ったエネルギー体ともいえる。

 そのダンジョンコアが持つエネルギーや意識は 分裂するのか循環するのかコピーできるのか?

 増殖するのかは不明である。


なお ダンジョンコアに意識があることや、ダンジョン生物に魂や意識が生じることがあることを これまで人間は誰も知らなかった。


みーちゃんは 無意識のうちに 意識や魂を持ったダンジョン生物の存在を感知してその存在を無条件に受け入れていたが、彼女はもともと意識や魂の問題を他人と話し合うタイプではなかった。

 そういうことを話題にすると 信仰や迫害など過激な問題が生じやすいと知っていたので

 その手の話にかかわらない・かかわりを作らないように気を使っていた。


 あえいていえば ミーちゃんダンジョン内のスタッフの個性はすべてプログラミングによるものと

人々には思ってほしいと考えていた。

 もともと みーちゃん自身は そういうつもりで ダンジョン生物を設計していたのだから。


 


ダンジョンコアがマスターに寄り添うための()(しろ)としてケサランパサランは生まれた。


「だってさ せっかくいい感じにダンジョンとして育ってきたのに

 ここでマスター交代とか マスターが壊れたりしたらいやだからさ」

ケサランパサランがこっそりとにゃ~ごにささやいた。


「僕たちは 実態を持たない存在としてあることも、

 実態を持とうとして自滅するのももううんざりだからさ、

 自意識をもったマスターにしっかりと育ててもらって、その刺激を楽しみたいんだ。


 だから 「適度な距離感・共存共栄」ってキャッチフレーズが気に入ったよ」


ケサランパサランに宿ったダンジョンコアの意識(の一部)が、にゃ~ごにささやく。


「だったら ダンジョン生物である僕たちの立ち位置はどうなるんです」にゃ~ご


「君たちだって 適度な距離感で自意識を持って活動しているじゃないか。

 こまかいことは 気にしない♡」」

ケサランパサランにさっと背中ひとなでされた感じがしたにゃ~ごもまた 眠りについた。



マスターであるミーちゃんの心を安定させ、今後とも 有能なダンジョンマスターとして活動させ続けるために? ミーちゃんに寄り添う役目をかってでたケサランパサラン=ダンジョンコアの意識の一部を持つエネルギー体。


このケサランパサランと、ミーちゃんの支えに成りたいと願った銀2の魂が転生した「にゃ~ご」


この二人が これから ミーちゃんと行動を共にする予定である、(たぶん)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ