転移関係の人員配置:レディ・ダンディ・ジェントル登場
・以前は、エレンとジャックがダンジョン生物の仕事上の総括をしていたが、
最近では、この二人がミーちゃんの秘書的役割が濃くなった。
今では、ジャッキー金達が、人間・ダンジョン生物両方のスタッフの配置や 転移系統全体を把握する方向に向かっている。
将来的には、ダンジョン生物の生成や健康管理係として「萌え(仮称)」を生み出すつもりだ。
・管理系の精霊のうち、クジャク型精霊ジャッキー金・銀に加え、緑も作った。
ジャッキー緑の頭には 緑の羽毛が冠型に生えている。
銀ちゃんたちが、Bゾーンのマスターエリアを拠点に、ダン菅との通信や客の移動・物流の統括を行なうの対して
緑グループはAゾーンにある転移陣を担当する。
・さらに 転移系スタッフとして、レディとダンディも生み出した。
◇
・お客様広場には、
ダン菅と行き来する転移陣が 出発用・到着用合わせて(10か所x往復)20個
各階層目的地(【3】D・【5】D・【3】宿・【7】宿)と行き来する転移陣が 行先別に2個・その往復で4x2x2の16個
合計36個の転移陣が現在常設されている。
その転移陣一つにつき
ジャッキー緑・レディ・ダンディが組となって、つく。
・ジャッキー緑は、2人一組で、一つの転移陣を担当し、勤務はシフト名AとBの1日交代。
仕事は その日の転移陣の稼働状況をすべてモニターし記憶するとともに
客の入退場を集計し、他の転移陣の稼働状況と突き合わせて、
ダンジョン内に不法滞在者(行方不明者)の発生の有無を確認する。
その個体名の名称は 緑(シフト名)(担当転移陣名)で表す
(例)
ジャッキー緑A本到:ダンカン本部から到着する転移陣担当シフトA
ジャッキー緑B【3】宿行:第3階層宿泊行き転移陣シフトB
総数36x2=72(人)
◇
・レディ:女性系精霊:ファッションフリー:転移陣操作
ファッションフリーというのは、大陸の服装の流行を加味して、基本の制服以外の恰好をしてもよいということ。
ただし ダンジョン生物なので、服を着替える(洗濯する)のではなく
外見を変える(洗濯不要)だけなので、その回数には制約がある。
・ダンディ:男性系精霊:スーツ姿(デザインは各自で選択可能)
出発転移陣では、(一つの転移陣につき5人体制)
転移陣室:客が転移エリアからはみ出さないように注意する
転移控室:次に転移予定人数の客を招き入れ、待機させ、転移陣室に送り出す
待合:出発予定者を受け付け、順番が来たら、受付順に転移控室に送り込む(3人一組)
到着転移陣では (一つの転移陣につき4人体制)
転移陣室:到着した客を速やかに控室に送る
転移控室:到着した客の 保安点検→チケット確認&乗り換え案内 のち 速やかに ロビーに送り出す(3人一組)
なお、貸出物品の取り扱いや土産者の販売などは ロビーで行なっている
ロビースタッフは、従来のダンジョン生物たち:第3階層宿泊行き転移陣シフトB
◇
・ダン菅からの到着転移陣のシフト(3交代制・毎日勤務)
7:30~12:45 12:30~15:45 15:30~18:30
レディ 10x3=30(人)
ダンディ10x3x4=120(人)
・ダン菅への出発転移陣シフト (4交代制・毎日勤務)
5:30~8:30 9:00~12:45
12:30~16:30~20:30
レディ 10x4=40(人)
ダンディ10x4x5=200(人)
「退場転移陣の午後版の勤務時間が12:30~20:30の拘束8時間は長いわねぇ」ミーちゃんは溜息をついた。
「どうしてそうなったのです?」ダンサン
「到着シフトは 客の切れ目に引き継ぎ時間も入れて うまくシフトが組めたの。
でも出発シフトは、【1】日帰り客の利用時間が1時~18時、ナイトタイムの利用時間が17時~20時でなので 夕方の5時~6時の時間帯がかぶってしまうのよ。」
「いっそのこと ナイトタイムの利用時間をしぼっては?
もともと あれは ダンジョン初期の特別サービスプランだったのでしょう?」ダンサン
「確かに 市民の皆様に ダンジョンに親しんでいただくためにと、
完全予約制で ダン菅支部単位での受付だったから、
日帰り枠が取れなかった市民の皆様が 予約なしで当日利用できるようにというサービス枠だったけど・・
今でも少数ながらも リピートしてくださる方々が居るのよねぇ。どの都市にも。
不特定多数の方々からの人気パークであることによる、大きな収入も大切だけど
持続的に利用してくださっている支持者の存在も大切にしたいので・・
やはり夕方の4時~8時の時間帯の1・2時間滞在型のナイトタイムは残しておきたいなぁと思うのよ。
ガッツリ遊びたい方は予約してでも来てくださると思うのよね。日帰りでも宿泊でも。
でも 日常的に訪問したい方々というのは、予約なしでフラッとあるいはちょこちょこ利用できる枠の存在を求めると思うから。
経営上、特に問題が生じない限りは 継続したいかなと」
「でも 運営上 労働時間の調整という問題ができているでしょう?」
「そうなのよ、いくらダンジョン生物にお任せといえども
やっぱり 人間雇用の場合の基準からあまりにも外れるのはねぇ・・」
というわけで、出発シフトの16:30の交代時間だけは 引継ぎなしとし、その他の時間帯の交代は、転移陣の止まっている30分間に ジャッキーによる集計や担当者の引継ぎを行うことにした。
◇ 各階層との転移陣担当シフト(転移陣の稼働時間+前後15分の引継ぎ集計タイム)
〇【3】D行転移陣
【5】D行転移陣
8:15~12:30 ~ 13:30~15:45(A・Bによる隔日勤務)
・お客様広場側
レディ2x2x2=8(人)
ダンディ5x4x2=40(人)
・階層側
レディ8人
ダンディ4x4x2=32(人)
【3】D→お客様広場
【5】D→お客様広場
9:15~11:30 ~ 12:30~17:15(A・Bによる隔日勤務)
・階層側:レディ8人 ダンディ40人
お客様広場側:レディ8人 ダンディ32人
〇【3】宿行転移陣
【7】宿行転移陣
9:45~15:15 (毎日勤務)
・お客様広場側
レディ4人
ダンディ20人
・階層側
レディ4人
ダンディ12人 (転移陣室1控室2x4基)
宿泊受付担当8人~12人:階層スタッフ
【3】宿→お役様広場 転移陣
【7】宿→お客様広場 転移陣
7:45~11:15 (毎日勤務)
・階層側
レディ4人
ダンディ12人(転移陣室1控室2x4基)
チェックアウト担当8人~12人:階層スタッフ
・お客様広場側
レディ4人
ダンディ16人
「ジャッキー緑やレディが体調不良で当日欠勤になった場合はどうするのですか?」ダンサン
「そのあたりの調整は 金ちゃん銀ちゃんのトップ2&ジャックとエレンにお任せですね」みーちゃん
「僕たちダンジョン生物は 誕生から消滅までの経時的変化はあっても 基本的に病気はしないことになっているからね」銀1が 開いた羽を前後に揺らしながら答えた。
◇
「そして最後が、お客様広場の外にある、【リゾート・イベントコーナー】行乗合発着場所の案内ですね。
ここの案内係は、燕尾服にシルクハットのジェントル(新しく作ったダンジョン生物)にしました。
ここの人員配置も金ちゃんにおまかせで シフトだけ、こちらで決めます」みーちゃん
【1】D 入8:15~12:15 12:00~16:15
【1】D生 退9:15~13:15 13:00~17:15
【1】DN 入 15:45~19:00
【1】N 退 16:45~20:00
【1】DS果 【1】DS鳥 入15:45~19:15
【1】S果 【1】S鳥 退5:45~7:15
【1】宿ホ 【1】宿フ 【1】宿ナ
入:9:45~15:15 (交互に途中休憩を入れる)
退:8:45~11:15
「ホテル行き担当者のところで、拘束5時間半で交互に休憩を入れるというシフトにしたのなら、さきほどの退場転移陣ででも拘束8時間の休憩をはさんだ交代制にしてもよかったのでは?」ダンサン
「形式的に5分~30分の休憩時間を入れて 個々人をバラバラに勤務させるのを組み合わせるシフトって、昔の国際大会のボランティアスタッフなどでよくやる方式だったらしいですけどねぇ。
あれって シフトを組むチームリーダーに人事負担を負わせる一方で
そのリーダーの資質がもろにスタッフメンバーの働きやすさ・働きにくさに影響するのよ。
いくらリーダー論やらスタッフトレーニング(雰囲気づくり)のレクチャーやったって・・
場所と時間に拘束されるストレスが軽減されるわけでもなければ
いつも流動的なメンバーでチームを組まされる対人ストレスが減少されるわけでもない、
むしろ 結成当時に研修という形で煽った職場としての一体感や責任感が 時間経過とともに低下していって、すべての問題が個人間の感情問題に置き換えられていくという最悪のチーム編成だと思う。
あれは ボスが手下を競争させて搾取する構造をカモフラージュするために作られたシステムじゃないかと思うくらいよ。
実際は、たぶん 軍隊方式の変化形で、
そこから軍人としての規範を抜いて、うわべだけリーダーシップ論やボランティア精神による自主性なんて言葉で飾り付けただけの紛いモノなんだろうと思うけど。
あれはモットーをまじめに受け止めた正直者の心が傷つく「人使い術」だと 私は個人的に思っています。
あげくのはてに まっとうな市民感覚をもって参加して心の傷ついた人のことを「ナイーブ」なんてラベリングして臨床家の餌にするなんてもう最悪よ。
そりゃ 極度に専門家として統制され訓練され規範が叩き込まれたスタッフばかりのチームや
基礎学力すらおぼつかない低レベ集団ならともかく、
ごく普通の人達を一般教養を身に着けた人を編成する労働チームとしては最低のやり方ではないかとと私は思っています
だから 勤務時間ごとに同じメンバーでチームを組む形式を私は重視します。
そのほうが チームの問題、職場の問題が個別に明確化する一方で 責任感や問題解決への意欲が高まりやすいと思う。
さらに 抜本的解決=チームの解体による手直しもやりやすいわ」
ミーちゃんの考えを聞いて ダンサンはまじまじと彼女の顔を見つめた。
(この人の経歴をもう一度洗いなおしたほうが良いかもしれない。
私は 今まで 彼女の何を見てきたのだろうか?)
◇ ◇
その日のうちあわせのあと、ダンサンは こっそりとダン菅本部の心理査定部に上記の疑問を問い合わせた。
担当者曰く「彼女は 生まれた時からダンジョンマスターとなるまでの期間に、異なる複数の社会的階級の中で生きてきているので、そのような見解を持つに至っても 何ら不思議はない。
むしろ 階級の異なる集団の中で 己を失うことなく柔軟に適応し、利益相反する各階級の見解を矛盾することなく自らの経験として受け入れていることが 彼女の個性である。
人は皆 各自の個性に応じた『生きにくさ』を抱えるのであるが、
彼女の場合、己の抱える「生きにくさ」が他者に害を及ぼす形で発現することはないので、全く問題ない」との回答であった。
(要は 反社会的人格や精神疾患を引き起こしやすい性格でなければ それでOkってことだよな)
ダンサンは 嘆息した。
彼が思っていたよりも 複雑だったミーちゃんの内面に気が付いて。




