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短編集:私がダンジョンマスターになったわけ  作者: 木苺
私がダンジョンマスターになったわけ
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ある夜の出来事

「この星で一番広いダンジョン用地の獲得おめでとうございます!」

頭上でパカッと割れたくす玉から 下りてきた垂れ幕には そのように書かれていた。


「これって くじ引きというより やらせでは?」


「宣伝スチル撮影用です。くじびきとくす玉は」

最初に角度45度のおじぎで迎えてくれた中年のおじさまが教えてくれた。

 彼の名前はシツジ―

 今日から10年間 もしくは私が彼をお払い箱にするか ダンジョン経営がこけるかいずれか一番早い事態になるまで 私のサポート係をしてくれるそうだ。


これから10年間 ダンジョンにこもることになるので、とりあえず身辺整理をした。


まずは 退職届

持ち家は荷物置き場としてそのままに、ただし外からの目視点検と補修は手配した。

一応10年分前払いで。

さらに火災保険と地震保険も10年分前払い

固定資産税も10年分前納

その他の税金保険料などは ダンジョン経営者は最初の10年間免除らしい。


よかった 自宅の保全措置で私の貯金はすっからかんになったから。

なぜそこまでして 自宅保全にこだわったか? それは おいおいわかると思う。


・・・


あれやこれやと準備で忙しくしていたある日、突然私を振った男が予告もなくおしかけてきた。


呼び鈴をピンポンピンポンピンポンしつこくならしたあげく 大声で人の名前を連呼し始めた無礼者。


おまー夜10時に 女性の一人暮らしの 閑静な住宅街の それなりの庭付き戸建ての前で なにをしとんのじゃ?


防犯君が作動して警察が来てキャツを連行していった。


なんでも私が突然退職したのは、私が失恋ショックでやけを起こしたのではないかと心配になったからだと、警察で騒いだそうな。


しかしながら 不適切な時間にアポなし突撃をかまし、そもそも私とは一度しか会話をしたことがなく その会話たるや「ねえ君 今夜付き合わない?」「ごめんなさい。今日は予定が」「なんだよ お高く留まりやがって このブス」の3センテンスのみだったということは すでに勧誘銀行を通して警察にあらかじめ登録してあったので、彼の言い分は認められず 留置されたそうな。


きゃつはあくまでも自分の言い分に固執したので、裁判終了まで留置3か月。

下った判決は

①女性に対する言葉の暴力

②デートの申し込みを断られたことを逆恨みしてストーカー行為(私の住所を 職場の人事課の女性を脅して聞き出した)

③騒乱罪(深夜の路上で騒いだ)

④警官への暴行(逮捕に逆らった)

⑤女性全体への粘着した攻撃性と激高型が問題

とされ

3年の服役後10年間の保護観察処分となった と後で法務局から連絡が来ました。


さすが勧誘銀行、宝くじ特賞獲得対象者への念入りな聞き取り調査を有効に活用してくれました。


もっとも 私の調査担当官は、「飲みに行こうと誘われて断ったのがなぜ失恋になるのか?」とかなり何度も聞き返してきましたが。


「だって 片思いの方から声をかけられて、たまたまその日は残業予定だったからことわっただけで、侮辱されたうえ罵倒されたんですよ、しかもすごまれて怖かったぁ!

 あんな人にあこがれてたなんて!

 わが身のふがいなさが加わって 重度の失恋です!」


「そういうもんですかねぇ。」と首をかしげていた唐変木がシツジ―さん。


「しかし なんで 死にたい!につながるんです。?」


「だって 真面目に仕事をしているだけなのに、給料日には事務職員から『なんで俺より給料が高いんだ』って嫌味言われるし、同僚女の子は 職場の男性をひっかけるネタに利用するために私の悪口を捏造するし、あげくのはてに・・ですもん。

世をはかなんで自殺したくもなるけど、死んだら余計に悪口言われるだろうなぁと思ったらそりゃないよ~と思ってあまりの情けなさに 包丁買う代わりに宝くじを買ったんです」


「包丁くらい 家にあるでしょ? なぜわざわざ買う必要が」


「だって いつもお肉や野菜を切っている包丁で自分を刺すのって気持ち悪くないですか? 人生最後に使う道具は真新しいものがいいじゃないですか」


「はぁ」


なんてアホな質疑応答を潜り抜けた甲斐があったものです。


ちなみに 私の話だけでは、ほんとにそんな馬鹿な職場があるのか?と半信半疑だった勧誘銀行の方々は、(一応うそ発見器では 私は「情緒安定 ストレス耐性強大 ただし過労気味 正直」と判定されていたそうです)ストーカー男の行状を見て、私の勤め先の人事面を調べ、確かに私の言葉通りの会社であったと理解して、すべての金融機関に対して その会社との取引停止を命じたそうです。

 すなわち 人事管理不適切により淘汰されるべき企業との烙印が押されたわけです。 ヤレヤレ


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