レシピづくり大作戦
宿舎エリアでは、朝の6時と夕方の6時に昼と夜が切り替わる。
いわゆる 太陽の動きに伴う光量の変化がない。
それゆえ 第1メンバーは自分たちが居るのはダンジョン内であるということはすぐに気が付いた。
ただ どのダンジョンに居るのか?まではわからなかった。
また 場所に関する詮索は一切しないこと・許可なく場所に関する話しないことと契約に盛り込まれていた。
それゆえ、ミーちゃんから差し入れされた「家庭料理」の本を見ながら各自が食べたいものを選び、それをもとに、ポールが 栄養所要量の本を見ながら1週間分の献立を考えるときに、食材購入コストは一切気にしなかった。
ポールから渡された献立表を見てミーちゃんは考え込んだ。
「次からは 旬とか 材料を賞味期限内に使い切ることも意識した献立をたててね。
つまり キャベツは1個単位で使い切るとか」みーちゃん
「でも ダンジョン生産物なら 旬は関係ないんじゃないですか?」ポール
「旬を取り入れたほうが 食べる楽しみが増すじゃない?
それに 人工的な環境で過ごす人間にとっては、食事メニューがもっとも安上がりに 生活のメリハリにつながるわ」みーちゃん。
「わかりました。」ポール
「ところで みんなは もう ここがダンジョン内だと気がついているわけね?」みーちゃん
「はい」一同
「では、次なる課題に移ります。
1.旬を意識した1年分の献立を建てる
現在 使える食材リストはこれです。」リストを ポールの前に置いた
「 これ以外のものは ダンジョン内での栽培品種に追加することになります。」
「2.調理スタッフの教育とその成長記録の作成
3 従来品・追加品種ともに、ダンジョン内で栽培中のエネルギー移動を、
野菜の種類や生産条件ごとに計測し、
ローコストな栽培方法と
ローコストな献立を完成させる。
これは 今後の君たち 及び今後ダンジョンで生活する人たちに提供する献立の基本となります。
それゆえ コスト・栄養・食べる人の満足度のバランスの取れた献立1年分を
何パターンか作ってください。
それを 次の3年かけて検証します。
今年度の主な課題の一項目を以上3点とします。
なお、栽培過程のデータ取りを実体験して記録をとることにより
自動計測機器の開発と改善につなげますので、手を抜かないように」みーちゃん
「俺たちが 畑仕事をするのですか?」ジョン
ジョンの先祖は畜産家で、父は競走馬の生産牧場を営んでいた。
「畑スタッフは用意しているのだけど
あなたが自分で栽培してみて、その方法がダンジョン内での栽培方法として、スタッフの栽培方法よりも利点があれば畑スタッフに伝授するのもいいわね」みーちゃん
「俺の高祖父母(ひいじいちゃんの父)は畜産農家だったんです。
だからうちには 広い土地さへ確保できれば、
機械を使いまくって育てた大豆のミートや
工業生産でエネルギーを使いまくっているバイオミートよりも、
放牧した家畜の肉や卵のほうが環境にやさしいって家訓のような遺言があるんです。
なので、ダンジョン内で生産されている卵や魚肉類のエネルギーコストと植物性蛋白質の生産コストの比較をして、献立作りに貢献したいです」ジョン
「えっ? ここでは 職員に本物の肉や卵を食わせてくれるの?
俺 食ったことがない」アップル
「この1週間の間に 本物の鶏肉と卵が出ていた。
うちの実家は馬と一緒に鳥も育てているから、味は知ってる」ジョン
「セレブ~」ジョージ
「そりゃ 鶏肉や卵を買って食べてるお客さんはセレブかもしれない。
でも 生産農家の仕事ってのは 重労働で糞まみれ
飼料を育てなければいけないし
家畜のご機嫌を損ねると、蹴られたり噛みつかれたりつつかれたり大変だぞ
昔は もっとのびのびしてたらしいけど、今はとにかく場所がないから
家畜も世話係の人間も大変なんだよ。
人間は地下室でくらして、地上の家畜小屋の上を畑にしてさ。
だから ダンジョンの中で動物が飼育できるなら、それに必要なデータ取りでもプログラムでも 俺は何でもやるよ」ジョン
この世界では、一つの大陸に全人口が密集して暮らしているため、農場もまたビルディング形式です。
鉄筋のビル・壁面は大きなガラス
温度管理・空調管理をしながら植物を栽培。家畜を飼育
人間は地下で暮らし、農産物を地上のビル内で育てています
放牧場AとBは 牧草が育つのにあわせて交代交代に使っています
注)この世界の技術者は、複数の学位を持っている人が多い
みーちゃんが採用した人材も、プログラマーやシステムエンジニアの実務資格と技能だけでなく、その他の特技を持っている者がほとんど。
本日 夜8時に次話を公開します。




